慈雨

brahms_piano_concerto_1_piano_duo.jpg今日の台風に伴う雨は恵みの雨という感じ。
昨日は本当に身体がきつかった。日蝕以降の磁場の問題や選挙の影響などもあるのだろうが、セミナーの後半は講義をしながら倒れるかと思ったくらい(もちろん参加者にそんな素振りは一切見せていないが)。
朝起きて、昨日までの喧騒とうって変わって、すっきりした空気。もちろん8月末日とは思えない涼しさ(どちらかというと寒いといったほうが正しいかも)。もうすぐ秋の気配かな・・・。

夜、旧友二人が来宅。久しぶりにお手製の菜食料理を振舞って歓談。気がつけば日付が変わる直前。時間の経過は本当に早い。明日はもう9月である。
秋の夜長のブラームスということで、今日は珍しい音盤を。作曲者自身によるピアノ協奏曲第1番の1台4手連弾版。

ブラームス:
・ピアノ協奏曲第1番ニ短調作品15(作曲者自身による4手連弾版)
・ワルツ集作品39
クレール・アバーソルド、ラルフ・ネイウィーム(ピアノ・デュオ)

僕は昔から管弦楽曲のピアノ編曲版(ソロでもデュオでも)をことのほか好む。複雑なオーケストラの音色をたった1つの楽器で表現しながら、決して単色にならず、色彩感豊かな音楽として蘇らせる編曲者の腕の見せ所というところが好きなのだろう。もちろんそれは再現するアーティストの感性や力量にもよる。凡演もあれば超絶名演奏もある。それでも、特にピアノ・デュオという分野に関しては、各々力を持ったピアニストががっぷり四つに組みながら、ある時は火花を散らし、またある時はぴったりと寄り添いながら楽想を綴っていくという、その雰囲気、光景、姿がとても好きなのである。
もう3年前になるが、わずか2年間とはいえ愛知とし子が*AK* the piano duoというデュオを組んで開いた3回のコンサートは大変な名演奏揃いで、今一度彼女がああいうパートナーを見つけて、デュオ活動を再開してくれないものかと切に願っている。
1回目のラフマニノフの組曲第1番はいまだに忘れられないほどの迫力あるプレイだったし、ルトスワフスキのパガニーニ変奏曲も良かった。2度目はガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」がメイン・プログラムだったっけ。3度目は・・・、そうストラヴィンスキーの「春の祭典」である!自分の個性を前面に押し出して互いが主張をし、ぶつかり合いながらも、最後は調和に導かれていくような「関係」の演奏というのはどんな時も刺激的である。

ところで、件のブラームス。そもそもこの音楽は若きブラームスがクララ・シューマンを想いながら書き上げた傑作だが、ピアノ独奏付の交響曲といわれるほど分厚いオーケストレーションと超絶技巧を要するピアノ・パートの掛け合いが聴きどころで、10代の頃、初めて聴いた矢先から僕の宝物になった音楽である。スタジオでの録音ゆえ、少々大人しめに、堅実に演奏している点が気になるといえば気なるが(もっとお互い挑発し合えと言いたい!)、響きはとてもシンフォニックで、これはこれで非常に楽しめる。第2楽章の「愛の囁き」は、まるでクララとブラームスが本当に目の前で連弾しているのかと錯覚を起こすほどだ。もちろん第1楽章、第3楽章も聴きもの。

ちなみに、およそブラームスらしくない愛らしいワルツ集。献呈されたハンスリックは「真面目で無口なブラームスが・・・ワルツを書いた」と驚いたという。こちらも息の合った名演奏である。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
>今一度彼女がああいうパートナーを見つけて、デュオ活動を再開してくれないものかと切に願っている。
私は愛知とし子さんのデュオ活動は未経験ですので、聴かれた方が羨ましく、いつかぜひ聴いてみたいと願っております。その場合、ストラヴィンスキーの「春の祭典」を一番聴きたいのですが、ご紹介のブラームスもいいですね。
それと愛知とし子さんには将来、室内楽の他、シューベルトなどの歌曲伴奏などにもチャレンジしていただけないですかねえ? ボストリッジと共演した内田光子みたいに・・・。
>日蝕以降の磁場の問題
私見では、全く関係ないと思います。
よく、こういうことを気にされるスピリチュアルを重視される方が、
自然放射線や、
http://www9.ocn.ne.jp/~k-hp1234/kamoku/housyasen/2003/sizen/sizenhousyasen.htm
http://www.fepc.or.jp/learn/houshasen/seikatsu/shizenhoushasen/index.html
送電線、携帯電話、パソコン、CDプレーヤー、その他家電製品、無数の放送局、無線などから、この瞬間も私達の体を通過している電磁波の人体への影響についてまるで無関心なのが、私には不思議です。
いずれにしても、季節の変わり目、お体を大切に!

返信する
岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>その場合、ストラヴィンスキーの「春の祭典」を一番聴きたいのですが、ご紹介のブラームスもいいですね。
同感です。作曲者編の交響曲とかこの協奏曲とか、ピッタリだと思います。
>愛知とし子さんには将来、室内楽の他、シューベルトなどの歌曲伴奏などにもチャレンジしていただけないですかねえ?
僕もそう思います。ただ、これは相応の相手がいないと話になりませんからね。そういう人が出てきたらやってくれるんじゃないでしょうか。
>よく、こういうことを気にされるスピリチュアルを重視される方が、自然放射線や、送電線、携帯電話、パソコン、CDプレーヤー、その他家電製品、無数の放送局、無線などから、この瞬間も私達の体を通過している電磁波の人体への影響についてまるで無関心
そうですね。スピリチュアルを重視する人の多くはとても偏ってますからね。精神世界を理解、受容することは重要だと思いますが、そればかりになると危険ですね。バランスが大切だと思います。

返信する

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む