癒しの喜多郎

Kitaro_Oasis.JPGまだヒーリング・ミュージックというジャンルが確立されていない頃だと思う。初めて喜多郎の音楽を聴いて、電子音にもかかわらずとても癒された。ロック音楽でもビートルズの音楽くらいは聴いていただろうが、少なくともその当時はクラシック音楽一辺倒だったのである意味とても衝撃的だった。それはちょうど大学に入学した1983年のことだからもう27年も前のことである。Rising Sun(朝の祈り)に始まり、Aqua(無限水)を経、ラストナンバーでタイトル曲でもあるOasis(オアシス)に至る10曲のシンセサイザー音楽は、人の魂を揺さぶるリズムと清澄で美しいメロディに溢れていた。

ブックレットに寄稿されている小泉文夫氏の言葉がよりこのアルバムへの興味を引き立てる。

・・・
最も手の込んだ技巧を使いながら、最も根源的で単純な美しさを感じさせる音楽となっている。シンセサイザーは、或る意味で、人間を音の原始時代に蘇らすものだが、喜多郎の目はそれを見すえているように見える。
それに、長岡秀星のイラストがすばらしい。この原画のコピーを見たとき、このレコードを是非聴いて見たい、という決然たる欲求が生まれた。

KITARO:OASIS

喜多郎3枚目のオリジナル・アルバムは鮮烈な印象を世間に与えた(と思う)。今となってはほとんど真剣に耳にすることはなくなったが、久しぶりに繰り返し聴いてみた。少なくともこのアルバムには随分「思い入れ」があることがわかった。懐かしさと同時に決して古びない「心の音楽」がここにあったことを思い出させてくれた。

不要なものを捨て、嵩張るものをコンパクトにしようと多数の録画ビデオをDVDにダビングする作業を始めた。手始めに「別府アルゲリッチ音楽祭2002」からデュトワとアルゲリッチによるラヴェルの協奏曲とムソルグスキーの「展覧会の絵」。さすがにそれぞれ十八番ものだけあり、聴き応え十分。それと、朝比奈先生が亡くなった当時に録り溜めた「芸術劇場」など一連の追悼番組(亡くなったその日に朝日放送で放映された番組は年末の休暇で実家に帰省していたためオンタイムで観ることはできたのだが、録画ができなかったことが悔やまれる。テープで残っているものでは2002年1月6日に放映されたNHK芸術劇場での「指揮者・朝比奈隆さんをしのんで」が亡くなった1週間後のものということになる)をひとつひとつ大事にDVD化しようと考え、こちらもまずはハードディスクに落とす作業を始めた。ともかく気の遠くなるような作業。

今年初めて大学に出講。「キャリア・デザイン」に関するレポートの発表会で20名の学生のプレゼンを聞き、評価する。人前で話をするのは苦手なようだが文章は意外に得意とする学生がいるかと思えば、プレゼンテーションは見事だったのにそのレポートを見ると稚拙な文章構成でいただけないという学生もいる。どうしたものか・・・。


4 COMMENTS

雅之

おはようございます。
「ヒーリング」とか「癒し」とかいう言葉は、軟弱なイメージだし、安易に使われ過ぎるような気がして、必ずしも好きではありません。
「スピリチュアル」になると、何でもありの似非科学の香りが濃厚なのが、「何だかね」です。「スピリチュアル」を生業としている人は、なぜ物理学など、科学のしっかりとした裏付けの延長線上で霊的現象を捉えようとしないのでしょうか? いつだって疑問です。
例えば、「心」だって筋肉を動かすのと同じで、体内の電子の流れが掌っています。
http://www.slg.ne.jp/contents/wh8_5_4.html
電気が流れれば、そこには必ず電磁波(電波)が発生します。我々の脳は放送局のように、心の微弱な電波を外部に送信しているはずです。それを受信するラジオを作れば、「テレパシー」や「オーラ」の仕組みが解明できるのだと私は思っていますが、誰もそんなことはおっしゃいません(笑)。真面目に研究してみる価値はあると思いますが・・・。
なにも、目に見えない神秘は「霊」だけではありません。この瞬間も我々の体を通過する無数の放送局の「電磁波」も、地球さえ簡単に通過する、宇宙創生起源のものや、超新星爆発からや、太陽からの、大量に降り注ぐ「ニュートリノ」も・・・、本当のところは誰もその正体を掴んではいないのです。
>シンセサイザーは、或る意味で、人間を音の原始時代に蘇らすもの
小泉文夫氏の言葉は、深い意味からも納得です。
喜多郎といえば、昔NHK特集「シルクロード」の音楽に魅せられていたくらいの体験しかありませんのであまり記憶になく、多くを語れません。ご紹介のCDは、ぜひ一度改めて聴いてみたいです。
私がこの「ヒーリング」路線で好きなのは、シンセサイザーとアコースティックと声を融合させたEnya です。
「Shepherd Moons」
http://www.hmv.co.jp/product/detail/674973
ここから、シベリウスの4番以降の交響曲や「タピオラ」の路線との相互乗入れが、私の中では可能です。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
何事もバランスが大事ですよね。目に見えない世界は間違いなく存在しますが、精神世界に傾きすぎるのも問題ですし、逆にそういうものは一切信じないというのも残念なように僕は思います。
所詮人間が聞いたり見たりしているものは実際に存在しているもののごくわずかな部分に過ぎないですから。
「スピリチュアル」を科学のしっかりとした裏づけの延長線上で捉えて語れれば素晴らしいですね。でもそういう学者はなかなかいません。
>それを受信するラジオを作れば、「テレパシー」や「オーラ」の仕組みが解明できるのだと私は思っています
おー、それは凄いです。ぜひチャレンジしてみていただきたいですね(笑)。
ところで、おススメのEnyaはいいですね。僕も一時期はまりました。しかしシベリウスとの乗り入れが可能というのは斬新です。僕には思いもつかなかったです(でもおっしゃりたいことはわかります)。

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雅之

こんにちは。珍しく「昼コメント」です。
>「スピリチュアル」を科学のしっかりとした裏づけの延長線上で捉えて語れれば素晴らしいですね。でもそういう学者はなかなかいません。
この件では、ソニーの超能力研究が有名でしたよね。
http://commutative.world.coocan.jp/blog/2008/01/post_472.html
CDを開発した技術者のひとり、天外 伺朗こと土井利忠のソニー在職中の著作、《「超能力」と「気」の謎に挑む―「宇宙のしくみ」の根本原理に迫る》 (ブルーバックス)
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E8%B6%85%E8%83%BD%E5%8A%9B%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%80%8C%E6%B0%97%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%AC%8E%E3%81%AB%E6%8C%91%E3%82%80%E2%80%95%E3%80%8C%E5%AE%87%E5%AE%99%E3%81%AE%E3%81%97%E3%81%8F%E3%81%BF%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%A0%B9%E6%9C%AC%E5%8E%9F%E7%90%86%E3%81%AB%E8%BF%AB%E3%82%8B-%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E5%A4%A9%E5%A4%96-%E4%BC%BA%E6%9C%97/dp/4061329545/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1263870814&sr=1-1
などは、とても興味深い読み物でした。
余談ですが、私と同い年の寅年の年男で、脳科学者の茂木健一郎は、くだらないテレビ番組に出て泡銭ばかり稼がずに、今年こそ真面目に万人を納得させる研究をしろ!と、喝を入れておきたいです(笑)。

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
昼コメントありがとうございます。
僕は10年くらい前に天外伺朗氏の「宇宙の根っこにつながる生き方―そのしくみを知れば人生が変わる 」を読んで感銘を受けたのですが、著者がソニーの社員だったことは当時知りませんでした。天外氏=土井氏という事実を知ったときは衝撃でした。
井深さんや盛田さんがいらした頃のソニーのあの勢いはトップの本当の意味での柔軟性に起因していたのでしょうね。天晴れです。
あと茂木さんについてのご意見ごもっともです。
「喝!!」ですね(笑)

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