Mike+the Mechanics:The Living Years

mike_mechanics_living_years.jpg10年一昔というが、月日の経過は実に早い。コンサートやドキュメンタリー番組の録画をしたVTRコレクションを少しずつDVD化する作業を始めたことは昨日も書いた。朝比奈先生の一連のドキュメンタリー番組を久しぶりに見返してみると、画面に登場する人のほとんどが今や故人となっていることに吃驚した。例えば、没後1ヶ月あまりの2002年2月9日に朝日放送で放映された「朝比奈隆不滅の音楽の輝きのために」は、その2日前に開かれたザ・シンフォニーホールでの「音楽葬」のシーンから始まる。長男の千足氏によるベートーヴェンの第7交響曲第2楽章の演奏の他、登場するのは唯一の弟子である林元植氏、そして若杉弘氏に岩城宏之氏、外山雄三氏などの姿。しかも番組のナレーターは岡田真澄氏だし、冒頭では先日亡くなられた森繁久弥さんが遠くを見つめながら「惜しい人を亡くした」とコメントされている。10年という年月を経ると世の様相が激変するというのも頷ける。

そういえば、先生が亡くなられた直後の1月6日にNHKで放送された芸術劇場追悼番組で外山氏が朝比奈先生のお人柄を表すエピソードを述べられていた。それによると氏は先生から「自分の腕を磨くだけでは駄目だ。ともかく後進の指導により一層力を注げ」としばしば諭されていたらしい。人から人へ確実にバトンが受け継がれ、物事は進歩進化してゆく。人はたくさんの「命」のサポートを得て生かされている。先生の言葉からそんなことが感じられた。

先日のセミナーに参加していただいたYさんからの嬉しいメール。
「そして何より、自分に関わってくれている方々のありがたみを改めて実感しました。いろんな人が関わり合ってこれまで成り立ってきたと思うと、”世界”ってなんだかすごいですね。岡本さんの話を聞いていたら、自分が壮大な中に存在している気持ちになって、世界人口は68億でも、実際はもっとたくさんの人とつながってきたというのは、とても信じられない、嘘のようなホントの話なんだなと思います。」

朝比奈隆&大阪フィルの珍しいヨーロッパでのライブ演奏、ベートーヴェンの第7交響曲を久しぶりに聴いた。86年10月のチェコ、ブラティスラヴァ音楽祭での実況録音である。朝比奈協会による頒布非売品のため音質には若干の問題もあるが、演奏は驚くほど瑞々しい。それにフィナーレの怒涛のアッチェレランドは聴き応え十分で、一般的にいわれる「80年代中頃の朝比奈は不調だ」説はどこ吹く風。今日はこの音盤について書こうとも思ったが、あえて止めておく(いずれ別の日に)。

genesis_we_cant_dance.jpg久しぶりにmatsuricaを訪れた。何だか随分進化しているようだ。棚に置いてあった「天使の祝福カード」を手にとってパラパラと一瞥。おススメの音楽が章毎にピックアップされており、しかもその音楽がジャンルを問わず挙げられているのが面白い。いずれ手に入れてじっくり読んでみよう。その本の中で推薦されていたのが、ジェネシスの実質的ラスト・アルバムに収められている”No Son of Mine”。これは本当に名曲である。途轍もない神々しい音楽である(実は歌詞はとてもシビアな内容なのだが・・・。)。何度繰り返し聴いても心身が歓びの雄叫びをあげる。身体も心も躍る。ジェネシス、いやフィル・コリンズの最高傑作なり。

Genesis:We Can’t Dance

ついでに、ジェネシス関連でもうひとつ。マイク+メカニクスのセカンド・アルバムに収録されている”The Living Years”。まるで「親和」の歌である。涙なくして聴けず・・・。

Mike + the Mechanics:Living Years

Every generation
Blames the one before
And all of their frustrations
Come beating on your door

どの世代の誰もが
何でも親のせいにする
あらゆる欲求不満が
噴き出すんだ

I know that I’m a prisoner
To all my Father held so dear
I know that I’m a hostage
To all his hopes and fears
I just wish I could have told him in the living years

父の愛情を一身に受けていた僕はまるで囚人のようだった
父の期待と不安を全て一身に背負いこんだ人質だった
父が生きているうちにこんな本当の自分の気持ちを
伝えることができただろうか

Crumpled bits of paper
Filled with imperfect thought
Stilted conversations
I’m afraid that’s all we’ve got

欠陥だらけの思いでいっぱいになった
紙切れをくしゃくしゃにするように
堅苦しい会話になることが恐かった

You say you just don’t see it
He says it’s perfect sense
You just can’t get agreement
In this present tense
We all talk a different language
Talking in defence

ある人は全く理解できないという
またある人はそれは正常な感覚だという
こんな緊張状態だったら
気持ちをひとつになんてできないよ
自己防衛しながら話すなんて
違った言語で話してるようなものさ

Say it loud, say it clear
You can listen as well as you hear
It’s too late when we die
To admit we don’t see eye to eye

大きな声で、はっきりと言おう
そしてできるだけしっかり聴こう
生きているうちに語り合うことの
大切さを知ることって大切だ

So we open up a quarrel
Between the present and the past
We only sacrifice the future
It’s the bitterness that lasts

現在と過去の間で
葛藤を起こせば
未来が犠牲になるだけ
それは人生の最後まで残る苦しみだ

So don’t yield to the fortunes
You sometimes see as fate
It may have a new perspective
On a different day
And if you don’t give up, and don’t give in
You may just be O.K.

だからただ運命に身を任せちゃいけない
時に運命に翻弄されるにしても
次の日には新たな展望が見えてくるかもしれないのだから
あきらめず、負けずにいれば
良い時もやってくるんだ

Say it loud, say it clear
You can listen as well as you hear
It’s too late when we die
To admit we don’t see eye to eye

大きな声で、はっきりと話そう
そしてできるだけしっかり聴こう
生きているうちに語り合うことの
大切さを知ることって大切だ

I wasn’t there that morning
When my Father passed away
I didn’t get to tell him
All the things I had to say
I think I caught his spirit
Later that same year
I’m sure I heard his echo
In my baby’s new born tears
I just wish I could have told him in the living years

父がこの世を去ったその朝
僕はそこにいなかった
僕が言いたかったことは何一つ
父に伝えることができなかった
何年か後に
ようやく父親の魂に触れた気がした
新たに生まれた子どもの泣き声に
父の声がこだましているようだった

Say it loud, say it clear
You can listen as well as you hear
It’s too late when we die
To admit we don’t see eye to eye

大きな声で、はっきりと話そう
そしてできるだけしっかり聴こう
お互いが生きているうちに語り合うことの
大切さを知ることって大切だ

(岡本意訳)

2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
朝比奈先生関連の映像を沢山お持ちのようで、羨ましい限りです。確かに当時のドキュメンタリー番組は貴重だと思います。コンサートのライヴ映像も、先生独自の弦のボウイング指示等、見るたびに解釈上の様々な発見もできるでしょうし、一生捨てられませんね。
最近、先生の演奏、どんどんSACD化されてたくさん出ているでしょ。
一例↓
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1401671
全部買いたいんですが、お金と置くスペースが全然ありません(涙)。事業仕訳を実施し、あまり聴かないCDは容赦なく売却して、SACDを買う予算を捻出しようと思案中です。これからは先生の演奏を楽しむ時は、SACDハイブリット盤とDVD映像です(といいながら、映像はブルーレイがメインになりつつあったりしますが・・・)。
ジェネシスも、SACD・ハイブリット化がどんどん進んでいます。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000SO7IPI?ie=UTF8&tag=planeteast-22&link_code=as3&camp=767&creative=3999&creativeASIN=B000SO7IPI
ビートルズの最新リマスター盤はすべて通常CDということを考えても恵まれています。
古い吉田拓郎や南沙織の音源が抜群に良くなってたし、ジェネシスもSACDでじっくり聴いてみたいものです。
でも、お金とスペースと、聴くための人生の残り時間が少ない・・・。
“The Living Years”、ふと父親の立場でも聴くようになった自分に気が付きます。俺も、もうそんな年齢か・・・。
1分、1秒でも家族と語り合う時間を大切にしなきゃ!、大量のCDを聴く人生の残り時間なんか無い! ほとんどのCDはいらない。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
90年代以降は朝比奈先生関連のテレビ番組を頻繁に録画していたものですから結構所有してます。
DVD化しますので、いずれ雅之さんにも差し上げますよ。特に亡くなられた直後の追悼番組は貴重な映像満載です。時間がかかると思うので、気長にお待ちください。
朝比奈先生の音源のSACD出てますねぇ。僕も全部欲しいですが、なかなか手が回りません。同じく事業仕分けですかねぇ。
ジェネシスのも欲しいです・・・。きっと良い音で鳴るんでしょうね。
>1分、1秒でも家族と語り合う時間を大切にしなきゃ!、大量のCDを聴く人生の残り時間なんか無い! 
これもバランスですかね。人間ひとりになる時間も大切です(笑)。

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