ポジティブ心理学講座

handel_trio_sonata_holliger.jpg人は意外に自分のことを知らないものなんだと。例えば、今現在の自分の身長や体重を正確に言える人がどれだけいるだろう?あるいは、3サイズだって正確に言える人は少ないかもしれない。当の僕も、身長はともかく今日現在の体重は答えられなかった。「自分を知る」ということをテーマにセミナーに何年も関わってきたがゆえ、「自分を知る」ということを少々大袈裟に、あるいは哲学的に捉えてきたきらいがあるが、「自分を知る」とはそんなに上段に構えて取り組まなければいけないことでもないんだということにもあらためて気づかされた。もちろん、過去を振り返り、掘り下げ、「人間力」という観点から自分を追究し、「知る」ことは重要である。しかしながら、今の自分がどんな状態、状況なのかを単にデータとして「知る」こと、そう普通に「自分自身に興味を持つこと」ってもっともっと大切なことなのかもしれない。

晴香葉子さんの「ポジティブ心理学講座~基礎コース」を受講し始めた。一つ一つのお話がとにかくわかりやすく面白い。晴香さん曰く、自己実現、いや、というより人がそれぞれ幸せに生きていくためには、まず自身のメンタリティーを整え、自己理解を深め、そして環境をしっかりと整理、設定した上で具体的な目標設定をすることが大切なのだと。なるほど、確かに、です。

90分の講義の中で、本日受けた一番の衝撃。「他人も過去も変えられる」のだと。僕はセミナーの中でもことあるごとに「他人と過去は変えられない」と謳ってきた。変えられるのは現在であり、それに連なる未来なのだと、そしてあくまで自分自身を変えられるだけなのだと語ってきた。ところが、ポジティブ心理学では、時間は描いた未来から始まるという考え方であり、まず未来をイメージし、そしてそのイメージに向けて「今」をコントロールすることで起こる「事実」が過去となるという考え方なのである。同じように、自分が変われば他人も変わるのだから、他人は変えられると。素晴らしい!とても勉強になりました。ありがとうございます。

ヘンデル:トリオ・ソナタ選集
ホリガー木管アンサンブル
ハインツ・ホリガー、モーリス・ブルグ(オーボエ)
クラウス・トゥーネマン(バスーン)
クリスティアーヌ・ジャコテ(チェンバロ)
永島義男(コントラバス)
(録音:1981年10月25日~26日、東京、コロムビア第1スタジオ)

J.S.バッハとG.F.ヘンデル。同時代に生きた2人の大作曲家の音楽を比べてみると、非常に近しく感じられる点がある半面、まったく違った印象を受ける部分もたくさんある。昔から僕は圧倒的にバッハ派だったが、昨今はヘンデルの「大らかで、淀みのない、喜びに満ちた音楽」が時に恋しくなる。このホリガー率いるアンサンブルによるトリオ・ソナタ集などその最たるもので、小躍りしたくなるほどの旋律とリズムの宝庫。まさに「音楽の世界に遊ぶ」とはこのことだと指し示してくれるような音盤だ。

自分の身の周りに当たり前のように存在する幸せをいかにみつけるか、そのあたりが幸せな人生を送るための最大の秘訣であり、秘策のようだ。
毎日こうやって音盤を聴き、ブログを書いていられるのも、産み育ててくれた両親はもちろんのこと、これまで支えてくれた(あるいは今も支えてくれている)多くの人たちの存在のお陰であり、そしてそもそも日本という国に、そして今この時代に生まれたからなんだという「事実」にこそまずは感謝をしよう。


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
ヘンデルを聴くと活力・元気をもらえます。大好きです。
今夜は、ヘンデルと同じくらい好きな、テレマンの魅力についてご紹介しましょう。
私がテレマンの音楽の楽しさにハマったきっかけは、10年以上も前、音楽評論家・渡辺和彦さんの「名曲の歩き方」(1998年 音楽之友社)という本を読んだことでした。私は基本的に、バッハ、ヘンデルを除く、作曲家の人生がよくわからないバロック以前についてはあまり関心がないのですが、テレマンだけは、この本の下の文章(183~185ページ)で、一挙に興味を持つようになりました。
・・・・・・テレマンの楽しさにとりつかれたことがある。それぞれの作品が変化に富み、異なる形態の曲が次々に現れるので、聴いていて飽きない。
(中略)
なぜマンネリに陥らなかったのだろう。伝記を読むとテレマンはそうとうに変な人だ。作曲だけでなく、楽譜の印刷や出版に必要な活字拾いまで自分でこなし、その宣伝・販売のためのキャッチコピーをみずからひねりだしたりもする。それに精神力がタフ。たとえば、奥さんと死別し(1710年)、それから再婚した二度目の妻マリア・カタリーナ・テクストルという女性などは、後で大借金をこしらえた上にスウェーデン士官と駆け落ちをして姿をくらましている。するとテレマンは、それを半ば題材にしたような、悪妻が大活躍するオペラ《ピンピノーネ》(1725年)を創作してハンブルク市民の前に披露する。これはCDも出たことがあるし、1984年6月には東京室内歌劇場が舞台上演している。
テレマンという人は、基本的に才能があるのはもちろんだが、作品に応用できる事項ならば、プライヴァシーだろうが恥だろうが、何でもかんでも使う強靭な精神の持ち主だったようだ。ドイツ各地、フランス、イタリア、イギリスの情報や流行にも詳しく、今で言うジャーナリストの感覚を備えていたので、新しいアイディアが次々と湧いてくる。何でもひとりでできる。スーパーテレマン。
聴き手にとってはもちろんだが、演奏する側に回ると、テレマンの音楽はいっそう楽しい。「魂を揺さぶる」作品を残したわけではないが、手を変え品を変え、次から次へと意匠の異なる作品を提供するサーヴィス精神を持ち合わせている。その音楽は基本的に明るく、健康的で、前向き。・・・・・・
ねっ、「早わかりクラシック音楽講座」で採りあげてみたくなりませんか?(笑)
彼には膨大な作品がありますが、まずは、本日ご紹介のヘンデルの録音同様、ホリガーが演奏しているCD2枚を・・・。
『忠実な音楽の師』より ホリガー木管アンサンブル(ホリガー、トゥーネマン、ジャコテ)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2638425
「無伴奏オーボエのための12の幻想曲」(原曲:無伴奏フルートのための幻想曲) ホリガー
http://www.hmv.co.jp/product/detail/762089
私は「基本的に明るく、健康的で、前向きな音楽」を聴きたいときは、テレマン、ヘンデル、ハイドンがいいです。でも、基本的に健康的で明るい彼らの音楽の中にも、ちゃんと聴けばしっかりと光と翳があります。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
テレマンについてはほとんど何も知りません。
しかしながら、ご紹介いただいた文章を見ると興味深いですね。
確かに「音楽講座」で採り上げたくなります(笑)。
少しずつ勉強してみたくなりました。
>基本的に健康的で明るい彼らの音楽の中にも、ちゃんと聴けばしっかりと光と翳があります。
同感です。佐治晴夫先生が、人生と楽曲の構造と似ていると書いてらっしゃいましたが、すべて陰陽あってのものですね。

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