スクロヴァチェフスキ&N響の第九

汝の魔法の力が
時流に厳しく分け隔てられていたものを
再び結びつける
すべての人々が
汝の柔らかな翼の下で
みな兄弟になる

久しぶりに第9交響曲の実演に触れた。ひょっとすると最後に聴いてから10数年経過しているかもしれない。もはや余程のことがない限りベートーヴェンのシンフォニーをメインにしたコンサートを訪れることがなかったということだろう。しかしながら、やはり9つの交響曲はどれひとつとして見逃せない。ましてや年末の風物詩としての第9となるとなおさら。大きなNHKホールがほぼ完全に埋め尽くされた本日の公演は傘寿の指揮者による「余裕綽綽」のパフォーマンスだった。例によって、ホールは・・・、辛い。1階左寄りの6列目という通常なら好条件の席であっても十分に音が届かない。凄演だということが手に取るようにわかるのだが、何だか大きな箱にオーケストラがそのまま突っ込まれ、その中で懸命に演奏をしているような、何とも歯痒い音。やっぱりこれは残念としか言いようがない。

NHK交響楽団「第9」演奏会
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調作品125「合唱つき」
2011年12月25日(日)15:00開演
NHKホール
安藤赴美子(ソプラノ)
加納悦子(アルト)
福井敬(テノール)
福島明也(バリトン)
国立音楽大学(合唱)
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮NHK交響楽団

前置きは横に置いて・・・。
実に良かった、素晴らしかった(ただし、好みという点からいうとちょっとこじんまりまとまり過ぎかな、と。少々時代遅れなのだろうけれど、もっと重心の低い堂々たる解釈が好き)。
さすがに90歳近い年齢のスクロヴァチェフスキのステージを行き来する際の足取りは覚束ないけれど、指揮台に上がるとまったく別人モード。第1楽章から熱のこもった演奏が繰り広げられるが、特筆すべきは第3楽章以降。あの夢見るようなアダージョの、割合に速めのテンポで颯爽と進めながらそれでいて物足りなさを残さないテクニックはさすがに老練の極みとでもいうのか。そのままアタッカでフィナーレに突入、「歓喜の主題」が出る頃にはもうすでに前のめり・・・。この際、細かいことを云々するのは止す。

ところで、合唱の歌詞が今日ほど響いたことはなかったかも。今こそひとりひとりが意識改革、ひとつになるべき時。ベートーヴェンは200年近く前に既に現代を予感していたのか・・・。


3 COMMENTS

雅之

こんばんは。

スクロヴァチェフスキは若い頃、音符をやや短めに解釈するところなどが、セルのようなタイプだと評されたことがあるそうですが、いくつか聴いた彼の実演も、たしかに録音で聴くセルと似ているところはありましたね。スケールは小さくても、例えばベートーヴェンのスフォルツァンドには有利だと思います。私は好きなタイプです。彼の振ったショスタコも良かったです。

しかし、年末の「第九」は、演奏をあーだこーだ云々すること自体野暮だといいますからね。そもそも曲の思想が、そういう低次元じゃあないんでしょうね(笑)。

もっと言やー、歌ったもん勝ち!! 同じ〇〇なら歌わにゃ損損!!
アマチュア万歳!!!

よし、ひとつ今夜は負けずに俺も歌うぞ〜!!!!!!!!

風呂出で 詩へ寝る 月輝る 粉健
とホテル 会う末 理事 生む
ビルベ と 0点 夫追い得る 取るん健
貧無理死へ 台ん 入り人産む

台寝 津会うベル ビン出ん 微出でる
バス出い 詣で 酒取れん 下駄いると
ああ冷 麺支援 ベル出ん 鰤うでる
暴大ん 残ふてる 風流げる 場いると

矢 ベル 青稲 塗る 合い寝 図入れ 座居ん
寝んと 会う夫 出夢 得る 出んルンと
運飛 べ留守 兄 下来んと 出る 酒手入れ
倍寝んと 実費 合う酢 出い膳 文と

急瀬 合符 字 運す 運と 利便
愛念 風呂入んと 月賦流太 い武 藤飛
ぼう 留守泊ると 出む ブル無 下 技便
うんと出る 毛得るぷ 首手いと 歩折る 碁っと

座糸  生む 種るん元 ミリ大年
出い膳 楠 出る 癌つ縁 ベルト
鰤うでる いいベル無 捨てるねん 津得ると
蒸す 愛ん 利減る 負当てる 忘年

入ーる 酒手入る つと 兄出る ミリ大年
あ姉スト ドゥー電 子ぇぷ増える ベルト
図符 印 二位ベル無 捨てるねん 津得ると
いいベル 捨てるねん 蒸す 得る 忘年

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
今回はとにもかくにもホールの問題だと思います。
どうも僕はNHKホールが苦手でして・・・。
できればサントリーかせめてオペラシティで聴いてみたかったです。

それと、スタイルですが確かにセルに似ているかもしれませんね。なるほどショスタコなんか面白そうですね。

>年末の「第九」は、演奏をあーだこーだ云々すること自体野暮
>もっと言やー、歌ったもん勝ち!! 

同感です。素晴らしい邦訳(爆笑)をありがとうございます!
これがあれば僕も歌えます!!

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