不滅のロック・ミュージック!ベートーヴェンの第7交響曲

beethoven_7_toscanini_nypo.jpg第36回「早わかりクラシック音楽講座」終了。例によって講座の詳細は追ってサイトにアップする予定だが、さすがにベートーヴェンの第7交響曲は人気曲だけあり、2種(不滅のクレンペラー盤と先年発売され相当話題になったカルロス・クライバーのライヴ録音)の音盤を聴き比べたが、いずれも甲乙つけ難い演奏で、ご参加いただいた皆様にも3時間をたっぷりとご堪能いただけたようだ。皆さんの好みは、6:4でクライバー盤に軍配が挙がったが、指揮者の演奏スタイルなどは各人の趣味の問題ゆえ、気分と状況に合わせていろいろと聴き、それこそ音楽を自分のものにするとよりクラシック音楽の世界が広がってゆくと思うので、これを機にクラシック音楽に興味を持つ人たちが増えてゆけばよいなとあらためて思った。

それにしても大音量で、そしてみんなでホールに居座るように聴くCD鑑賞というのは乙なものである。クライバー登場時の聴衆の堰を切ったように流れ出す圧倒的な拍手喝采と演奏そのものの生々しい(観客の咳払いなどのノイズなども含め)推進力は他を完全に圧倒する世界を描き出す。フィナーレなどまるでロック・ミュージックである。

その後に聴いたクレンペラー&フィルハーモニア管の有名な録音も、並べて聴くことで一層その意味が、そしてその存在意義がわかった。聴後の感想で参加者のひとりが「もう一度クライバー盤を聴いてみたくなった」とふと漏らしていたが、それは、二人の指揮者の解釈がそれくらいに違っていると同時に、実は内側のエネルギーという点ではほぼ同質のものがあるという証ではなかろうか。ちなみに、講座の中で当時のベートーヴェンの個人的心境を説明するのにウゴルスキの弾いた「エリーゼのために」を聴いていただいた。このあまりにも有名な音楽に「切なさ」を感じたのは初めてだと、とある女性から終了後にアンコールで聴かせてほしいと声がかかった。確かに・・・。40歳のベートーヴェンが18歳の娘に恋をしたときに書いたのであろうと推測されるこの不滅の名曲を50歳を過ぎてメジャー・デビューした奇才アナトール・ウゴルスキが演奏するとこんなにも「深い」音楽と化してしまうのかと誰もが夢中で耳をそばだてていた。

ところで、本日は何を隠そう僕の誕生日である。あっという間の1年だ。実は4月から現在の住まいを完全にオフィス化し、住居を別に構えることにするのだが、オフィス・スペース以外は「エルーデ・サロン」と銘打って、支援型レンタル・スペースとして生まれ変わる。誕生日とサロンのお披露目という両方の意味をこめて講座終了後パーティーを開いた。たくさんの美味しいお酒やプレゼントをいただきありがとうございます。何よりYさん(男性です!)がご自分で初めて焼いたという自家製のパウンドケーキ!これは実に美味しかった。重ね重ねありがとうございました。

ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調作品92
ハイドン:交響曲第101番ニ長調「時計」
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲作品56a
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団(1936&29録音)

迎え酒のように、また突然トスカニーニの第7交響曲が聴きたくなった。それも有名なNBC響とのものではなく、1936年4月にニューヨーク・フィルとカーネギーホールで録音した古い方の音源でである。1930年代60代後半のトスカニーニの演奏は気迫に満ち満ちており、録音こそもっと良ければ最高だったのだろうが、それでも鑑賞には十分に耐えうる音質で、聴けば聴くほどその凄味がじわじわと伝わってくる名演奏である。おそらく当日カーネギーホールに居合わせた聴衆は卒倒したのではないかと思われるほどのエネルギーなのである。

僕は若い頃トスカニーニのよさがまったくわからなかった。もちろん古い録音だけを聴いて良し悪しを云々するのは馬鹿げているのだが、歳を重ねてゆくにつれ日増しに彼の音楽造りの素晴らしさが手に取るようにわかるようになってきた。本当に実演で聴いてみたかった・・・。


11 COMMENTS

父より

誕生日おめでとう 誕生日で思い出すのは 予定日が22日なので21日に水口の大久保産医院へ診察に送った 父はそのまま会社へ行ったが母は診察の結果陣痛が遅いので 薬をもらって知り合いのおじさんに送ってもらって帰宅 入院の準備や夕食の準備をしてから父が帰ってきたのが11時頃 すぐに実家のばあちゃんを迎えに行ってそのまま病院へ行った 陣痛が段々強くなって朝7時58分無事出産 体重2900G 身長49S 胸囲29S 頭囲33,5S 元気な子供が生まれた あれから4?年よく生長したなぁ 良いお嫁さんに出会えて良かったなぁ(にこにこ)重ねておめでとう 

返信する
ふみ

お誕生日おめでとうございます。
本日は参加できずに申し訳ございませんでした。素晴らしい講義だったようで正直残念です(笑)
ベト7は通俗曲になってしまいましたね。個人的にはケーゲル/SKDなんかお勧めですが聴く頻度も極端に少なくなってしまったので最近の新譜なんかは全く分かりません。改めてこういった通俗曲も聴かなきゃと思いました。
就活が終わり次第、講座には参加させて頂きたいと思います。

返信する
雅之

お誕生日おめでとうございます。そして、益々のご発展、お慶び申しあげます。
ベト7及び誕生日を祝する曲の組合せで、私のお薦めの1枚を・・・。
ベートーヴェン:交響曲第7番、ワーグナー:ジークフリート牧歌 他
バルビローリ&ハレ管弦楽団
http://www.hmv.co.jp/product/detail/979188
バルビローリで素晴らしいのは、ブラームスやマーラーだけじゃないです。ぜひ御一聴を。
ところで、通俗って何でしょう。ベートーヴェンの交響曲はクラシック音楽の座標軸の中心にあると思っている私にとっては、ベートーヴェンの交響曲を通俗というなら、商業上成立するクラシック音楽の演奏会やCDは、全部通俗です。

返信する
岡本 浩和

>お父さん
こちらこそ育ててくれてありがとう。
産んでくれてありがとうとお母さんにも言っておいてください。
それと誕生時の詳細なデータをありがとう。詳しい状況を初めて知りました。今更ながら幸せで楽しい家庭で育ったなぁととし子ともども感謝しています。
不束者ですが、今後ともよろしくお願いします。

返信する
岡本 浩和

>ふみ君
おはよう。久しぶりのコメントをありがとう。
ケーゲル&SKD盤は未聴です。聴いてみないとです。ありがとう。
就活成功させてぜひまた講座に顔を出してください。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
お祝いコメントありがとうございます。
バルビローリのベートーヴェンも残念ながら僕は聴いたことがありません。おススメとあらば聴いてみます。いつもありがとうございます。
そうですよね、昨日の講座でも話したのですが、ベートーヴェンの9つの交響曲はクラシック音楽の座標軸の中心」ですよね。
そうだとすると確かに「通俗」という言葉が不明瞭になります。
メディアでとりあげられてあまりに有名になり過ぎ、にわかファンが多くなると、ほかの8曲を聴いたことがないという事態になりかねないですからそういうことは避けてほしいですね。

返信する
志穂

岡ちゃん、一昨日は披露宴~二次会まで駆け付けてくれて
どうもありがとうございました!
おかげで最高の思い出が創れました。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
沢山の人に囲まれ、泣き笑った一日。
一生モノの宝物です。
ケンジと「本当によかったね」と話しました^^
そして、お誕生日おめでとうございます。
岡ちゃんは
年を追うごとに若くなっていく気がするよ(笑)
これからも、夫婦ともども末永くお付き合い
どうぞよろしくお願いいたします。
また、上海行く前に遊ぼうね、岡ちゃん♪

返信する
岡本 浩和

>志穂
ありがとう。
先日はお疲れ様。
良い結婚式だったね。ちなみに三次会まで行ったよ(すぐ帰ったけど)。
こちらこそこれからもよろしく!

返信する
岡本 浩和

>もっち
ありがとう。
鹿児島からご苦労さん。
薩摩揚げ美味しかったよ。パーティーでみんなに食べてもらったけど、全員絶賛でした。また頼みます(笑)。

返信する
アレグロ・コン・ブリオ~第3章 » Blog Archive » 比較するべからず

[…] ベートーヴェン: ・交響曲第4番変ロ長調作品60(放送録音) ・交響曲第7番イ長調作品92 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 第7シンフォニーはロック音楽だということは前にも書いた。壮年期のベートーヴェンが、これほどまでに自己を解放し、さらけ出した記録はそうそうにない。それをまた20世紀の不滅の指揮者が見事に再現しているところが奇跡だと思えてならない(有事だったことがこの演奏の成り立ちに拍車をかけているのかも)。 […]

返信する

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む