メンデルスゾーンとブラームスのトリオ

mndelssohn_brahms_trio_chung.JPG昨年に引き続き9月11日(土)に多治見市文化会館で「愛知とし子ファミリーコンサート(仮称)」が開催されるが、今年はどうやら僕がナビゲーターの大役を果たさなければならなくなるようだ。舞台上で話をすることは全く苦ではないが、何せ音楽の専門家ではない人間が偉そうに勝手なことを語っていいものか、細かいところまでしっかりとチェックする聴衆がいて揚げ足をとられないかと今から冷や冷やしている。とか何とか言って、「早わかりクラシック音楽講座」ではもう丸3年も好き放題話をしてるじゃないかといわれればそれまでだが(笑)、勝手を知った少人数を相手にするのと不特定多数を相手にするのとは訳が違う。あと半年あるからせいぜいしっかり勉強して備えようと思っている次第。

制作物の関係で3月中にはプログラムを決めなければいけないのだが、今回は多治見市近辺在住の音楽家の皆様とコラボレートするという企画ゆえ、二重奏あり、三重奏あり、歌ありという構成になる。愛知とし子はここ数年室内楽演奏を熱望していたので、(抜粋になると思うが)こういう形で早くも実現化していくとは彼女の「運」というのは大したものである。ちなみに、当日ヴァイオリンを弾いてくださる加藤菜津子さんの希望で、メンデルスゾーンかブラームスのトリオを披露することになりそうなのだが、いずれも甲乙つけがたい名作で、できれば両方やってもらいたいなどと思いながらもどちらにするか迷いに迷っているところだ。雪解けの初春を感じさせる開放的で恋愛の真っ最中という印象を与えるメンデルスゾーンに、初秋の何とも寂しげな失恋したばかりのような孤独感を表出するブラームス。二人の大作曲家のいわば「真逆」の音楽を2つ並べて聴いてみると意外や見事に調和するのだから面白いものである(まるで正反対の性格をもった兄弟のよう)。

面白いことに、その2つの楽曲をカップリングした音盤を、先日採り上げたチョン・トリオがかつて発表していた(そういえばこのCDは昨年タワーレコードのユニバーサル・ヴィンテージ・コレクションで廉価で再発された)。

メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番ニ長調作品49
ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番ロ長調作品8
チョン・トリオ
チョン・キョンファ(ヴァイオリン)
チョン・ミュンファ(チェロ)
チョン・ミュンフン(ピアノ)

メンデルスゾーンに限って言えば、キョンファがかつてトルトゥリエとプレヴィンとで録音した演奏の方が圧倒的にすばらしい。もう30年近く前アナログ・レコードでこの3人のヴィルトゥオーゾの演奏によりメンデルスゾーンの素晴らしさを知った僕は、キョンファが兄弟トリオで再録音したニュースを聞いたとき、狂喜乱舞した。そしてそれを即座に購入したものの、聴いてみて何だかがっかりしたことを思い出した。

何だろうなぁ・・・、兄弟ゆえの「まとまり」感が物足りないのか、それこそ雅之さんが常々おっしゃる「個性の強い名手3人の臨時編成での名演が成立しやすい」ことがこれによってまた証明されるように思える。チョン・トリオだけ聴くと十分名演なのだが、トルトゥリエ&プレヴィン盤と聴き比べてみるとそのことが手に取るようにわかるのだ。この2枚、カップリングが異なっているのでいずれにせよ両盤持っていた方がよさそうだ。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
「愛知とし子ファミリーコンサート(仮称)」、日頃、愛知とし子さんの実演に接する機会の少ない私にとりましては、本当に楽しみです。加えて岡本さんによるナビゲーター!、加藤菜津子さんのヴァイオリンもぜひ聴かせていただきたいですし、9月11日が、今から待ち遠しいくて堪りません。愛知とし子さんには、室内楽及び歌曲の伴奏の活動も、ソロ活動とともに、どんどん拡充していただきたいです。そして、地元中部地方での活動も倍増していただきたい!!
>チョン・トリオだけ聴くと十分名演なのだが、トルトゥリエ&プレヴィン盤と聴き比べてみるとそのことが手に取るようにわかるのだ。
私もこの二盤については、同じことを感じています。
すると、ピアノ三重奏曲という曲種とは、「三大テノール」のようなものですか!!(笑)
The 3 Tenors – Kawa no nagare no youni
http://www.youtube.com/watch?v=ysrQKod0Yc4
以前岡本さんが、ブログで書いておられた、ベートーヴェンの弦楽三重奏曲のことについても、今朝は思いだしました。
ベートーヴェン 弦楽三重奏曲ト長調 第4楽章Presto
http://www.youtube.com/watch?v=iDJKEg_HTAA
難しい3人の人間関係を構築することこそ、「三人寄れば文殊の知恵」ではないですが、人間関係の醍醐味かもしれませんね。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
9月11日は多治見が熱くなりそうですね(笑)。
皆様に楽しんでいただける企画にしたいと思っております。
>ピアノ三重奏曲という曲種とは、「三大テノール」のようなものですか!!
おー、見事な喩え!そうかもしれません(笑)。
確かにベートーヴェンの弦楽三重奏曲採り上げましたね。2008年5月24日です。
http://opus-3.net/blog/archives/2008/05/post-337/
この日のコメントで雅之さんは三重奏と四重奏のコンセプトの違いをはじめて言及されたんですね!コメントをいただくようになって、初めて講座に来ていただいて、そのすぐ後です。もう2年近く前!懐かしくなりました。
>難しい3人の人間関係を構築することこそ、「三人寄れば文殊の知恵」ではないですが、人間関係の醍醐味かもしれませんね。
同感です。

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