寒い日にシベリウスを

sibelius_tapiola_jarvi_85.jpgゴールデンウィークに東銀座のain-soph3階のルームにて1dayスペシャル・セミナーの開催を計画している。通常のセミナーとはまた違った切り口で、というよりそのダイジェスト版という意味合いも含め、「共感」、「受容」、「癒し」などをテーマにプログラムを組む予定である。

3月末とは思えないほど寒い。静岡では積雪があったそうだし、わが実家の滋賀県でも降雪があるとのこと。こういう異常気象は地球の悲鳴ととらえてよいのだろうが、それにしてもこれだけ温度差が激しいと風邪をひいてしまう人たちも多いようだ。今夜も1件アポイントがあったが、先方が風邪をひいたらしく予定が流れた。

基本的に子どものころから僕は丈夫である。これまで大病の経験もないし、滅多に風邪をひくこともない。それに、基本的にひとりで仕事をやっていると簡単に寝込むわけにはいかないので、少なくとも健康だけには相応の気を遣うようにしているというのが大きいかもしれない。チベット体操もそれゆえだし、暴飲暴食をしないというのもそのため、きちんと睡眠をとるということも然り。

特に朝晩は冷え込むが、こんな日には北欧の巨匠の名曲が妙に聴きたくなる。森の神を讃えた渾身の名曲「タピオラ」、そして弦楽合奏の美しい調べを持つ「アンダンテ・リリコ」。

ジャン・シベリウス:交響詩「タピオラ」作品112、弦楽オーケストラのための即興曲「アンダンテ・リリコ」
ネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団

ヤルヴィはエーテボリ響と2種の録音を残しているが、新旧の間には10年の隔たりがある。新盤の評価が高いように思うが、僕はかつての「思い入れ」のせいか旧盤の方を好む。深化という意味では当然後年の録音の方が勝っているのだろうが、北国の冷たい漆黒の領土に神なる一条の光を感じさせてくれるのはこの85年盤の方だと思うからだ。いや、ひょっとるすると、「タピオラ」に続く「アンダンテ・リリコ」が、厳しい真冬の情景の後に少しずつ拡がる暖かい春を演出するような効果をあげているのかもしれない。「タピオラ」の直後の「リリコ」がたまらず喜ばしく、嬉しくなるのである。

明日で3月も終わり。新しい年度に向け、ワクワク前向きに行こう。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
ヤルヴィはエーテボリ響と2種のシベリウス録音についての御見解には同感です。私も録音も含め旧盤のほうが好きです。御紹介のCDも、素晴らしい曲の配列ですね。
>「タピオラ」の直後の「リリコ」がたまらず喜ばしく、嬉しくなるのである。
第4交響曲~第5交響曲に連なる、冬から、日の出、雪解け、そして一斉に春の訪れも最高ですが、「タピオラ」の直後の「リリコ」、このかすかな「春の予感」も、じつに味わい深いです。
この2~3か月、私の心の中心には、ずっとシベリウスの交響曲がありました。最近、渡辺暁雄&ヘルシンキ・フィルの1982年ライヴ録音のCDが、1,050円と廉価になっていますが、これは私にとって究極の1枚です。この年の彼らの日本公演のいくつかを、当時のシベリウス好きの友人と、私は聴きに行っておりますので・・・(この時聴いた7番は、生涯最高のシベリウス体験と自信を持って言えます)。
シベリウス 交響曲第4番、第7番 渡辺暁雄&ヘルシンキ・フィル
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2683422
このCD、某評論家が褒めちぎっている、ベルグンド&ヘルシンキ・フィルのCDより、確実にずっと心のこもったいい演奏だと確信していて、この1枚だけでも、渡辺暁雄氏は、史上最高のシベリウス指揮者のひとりだったのだなあと、今頃になってつくづく感慨にふけるのです。
カラヤンについても触れさせてください。カラヤン&ベルリンPOの残した無数の音盤で、吉松隆さんも絶賛する1965&67年ステレオ録音のシベリウスの第4~第7番及び「タピオラ」他
http://www.hmv.co.jp/product/detail/775087
は、私にとっても思い出深く、カラヤンで最も好きな演奏で、上記渡辺さんのシベリウスとともに、無人島にもっていきたい10枚の音盤の中には絶対入れたいです。特にこの演奏で聴く6番~7番~「タピオラ」(Disk
2)は、「銀河鉄道の夜」や、オーロラや、漆黒の森や、様々な景色が想い浮かび、いつ聴いても私を異次元に連れてってくれます。
シベリウスについてはコンサートで出会うファン層も大好きで、これはブルックナーの◎◎教原理主義的で頑(かたくな)なブルックナーのマニア層より、格段に好ましく思います。
「シベリウスが聴ければブルックナーはもういらない」、朝比奈先生には申し訳ない気持ちでいっぱいですが、これが現時点での私の偽らざる心境です。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
渡邊暁雄&ヘルシンキ・フィルのライブを聴かれているんですね!羨ましいです。82年といえば僕はちょうど浪人中で、実家にいましたし、それどころではありませんでした。史上最高のシベリウス指揮者の実演、聴いてみたかったです。
吉松さんが推薦するシベリウスの後期作品集いいですよね。
>「銀河鉄道の夜」や、オーロラや、漆黒の森や、様々な景色が想い浮かび、いつ聴いても私を異次元に連れてってくれます。
同感です。
>「シベリウスが聴ければブルックナーはもういらない」
なるほど、おっしゃりたいことはよくわかります。
それくらいシベリウスというのは唯一無二ということですね。

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