自己開示

sibelius_sparf_forsberg.jpg明日から新年度が始まる。希望に胸を膨らませながらも、新しい環境に身を置くことになる若者たちの多くは、不安と緊張が入り混じる複雑な心持だろう。そういう僕も週末は例年のように新人研修が入っているし、来週からは大学の授業が本格的にスタートするので、良い意味での緊張感で満たされている。

新しいことを始める時、あるいは新しい人たちに出会う時、人はいろいろな考えや感情をもつ。僕は子どもの頃引っ込み思案で、どちらかというと大人しい、そして人見知りする性格だった。何を怖れていたのか今となっては理解に苦しむ面もあるが、山奥の狭いソサエティの中で生まれ育ったということも影響しているのだろう、目立たず遠慮がちに、そう、ともかく「できるだけ安全に生きよう」と小さくなっていたのではないかと思うのである。

それがどこでどう間違ったのか、大学入学と同時に上京し、しかも一応名の通った会社に入ったものの3年で辞め、ほとんど誰も知らないような当時いわゆるベンチャーだった(というよりほとんど家内制手工業的)会社に転じて、人にモノを教えるなどという職に就き、さらにはそこを飛び出して、最終的には自力で生きようとしているのだから、怖いもの知らずといわれればその通りのような生き方になっていて面白いものである。

良く言えば楽天的、悪く言えば何も考えていない。陰気なくせに暢気な性格がそういう生き方を後押ししたようなものである。

ところで、自律的に生き、そして皆がつながる―いわゆる共生ということが今の僕の仕事をするテーマであるが、それは結局自分に言い聞かせていることで、とにかく依存的に生きてきた自分を反省し、来るべき明るい未来に向け夢や目標を持ってやりきろうと、平成22年度の幕開けを前に今一度思った次第である。

今日もシベリウスを聴いた。繰り返し何度も・・・。

シベリウス:ヴァイオリンとピアノのための作品集第1巻
・2つの小品作品2(原典版)
・2つの小品作品2(改訂版)
・「スカラムーシュ」作品71より愛の情景
・2つの小品作品77
・4つの小品作品78
・6つの小品作品79
・ソナティナホ長調作品80
ニルス=エリック・スパルフ(ヴァイオリン)
ベングト・フォルスベルク(ピアノ)

シベリウスの音楽は、オーケストラ作品にこそその真髄があると思うのだが、それほどメジャーではない、余程のファンでない限りあまり知られていないであろう室内楽作品やピアノ作品にも佳曲が多い。スパルフが録音したこの音盤も美しく可憐なメロディの宝庫で、何度聴いても聴き飽きない。とことんまで自分自身を開放できなかった作曲者が、ヴァイオリンという楽器を通して、自らの意思や感情を開放しているかのような大らかさ。何とも素晴らしい作品集である。

3 COMMENTS

雅之

おはようございます。
シベリウスの、ピアノやヴァイオリン、規模の小さい弦楽アンサンブルなどの小品・佳曲は、このごろ益々好きになりました。山道の岩場にひっそりと咲く高山植物の花のように気品があり、掛替えのない愛おしさを感じて止みません。御紹介の盤、私も愛聴しているのですが、これも吉松隆さんの影響が大きいのかもしれません。いずれにしても素敵です! シベリウス作品への愛は募る一方です。岡本さん、これからもこのブログでシベリウスのお薦め音盤、時々採り上げてくださいね(微笑)。
私の本日のお薦めは、やっぱりシベリウスの第一人者、舘野泉さんのピアノによる名演・名盤「アイノラのシベリウス」(CANYON CLASSICS)、これは少し前、SACD版が発売され私も購入しました。とてもいい録音で堪能してます。
http://hp.ponycanyon.co.jp/pchp/cgi-bin/PCHPM.pl?TRGID=PCHP_SKH_1010&CMD=DSP&DSP_SKHBNG=200700001309&DSP_SKHKETSEQ=001
吉松さんつながりでもう1枚!
「吉松隆:アイノラ抒情曲集-piano Works」 舘野泉 Etc
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2522678
この中の、左手だけで弾くフィンランディア 「3つの聖歌~左手のための フィンランディア賛歌」なども、素晴らしい聴きものですよ。
※ところで、ころっと話は変わりますが、先月、不思議な話を耳にしました。
私の友人は仕事を通じ、世界の代表する女性ヴァイオリニスト、チョン・キョンファのマネージャーと知り合い、そのコネで、4月にニューヨークで極秘裏に開催される彼女のディナー付私的コンサートのチケット3枚を、1万円/枚、計3万円と、格安で購入できることになったんです。
友人は彼女の熱烈なファンなので、同じく熱烈なファンである音楽趣味仲間二人とともに、喜び勇んでチケット3枚を購入しました。
チョン・キョンファは、チケット3枚、計3万円を払って聴きに来てくれる熱心な日本のファン3人のことを知り嬉しくなり、マネージャーに、「5000円だけ割り引いてあげて!」と言いました。ところが、マネージャーは5000円では3等分できないと勝手に考え、2000円を彼ら3人への当日の食事の豪華なデザート代に回し、3人には1人1000円ずつ、計3000円だけ返しました。
この結果、3人は1人9000円ずつ、合計で2万7000円を支払ったことになりますが、これにマネージャーがデザート代に回した2000円を足しても、2万9000円にしかなりません。残りの1000円はどこに消えたのでしょう? 
熱烈なファン3人は、この不思議な超常現象を知り、チョン・キョンファが、演奏で皆を催眠術にかけ陶酔させるための秘伝の魔力を使ったんだと口々にいいますが、本当にそうなんでしょうか? 彼女の実演を聴いたことのない私には、ちょっと信じかねますが・・・。
今日は4月1日ですよね(笑)。

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岡本 浩和

>雅之様
こんにちは。
>山道の岩場にひっそりと咲く高山植物の花のように気品があり、掛替えのない愛おしさを感じて止みません。
ぴったりの表現ですね。僕もこれから勉強するようなものですので、こちらこそいろいろと教えてください。
舘野さんの「アイノラのシベリウス」は名盤ですね。僕も好きです。吉松氏の方は未聴ですが、シベリウス・フリークの吉松作品は興味深いです。機会あったら聴いてみます。
あと、キョンファ絡みの不思議なお話し、興味深く読ませていただきました。見事な数字のトリックです(笑)。

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