愛の音楽家

elgar_enigma_gardiner.jpg晴香葉子先生の「ポジティブ心理学カウンセラー・講師養成コース」も今日で6回目。カウンセラーにとって大切な「ポジティブ・フィードバック」について教えていただく。ネガティブなことでもポジティブなことでもとにかく率直に伝えることが大切だということ。もちろん相手に「想い」があるからこそのフィードバックであり、クライアントが傷つかないようにいかに効果的に伝えるかが重要だということだ。

そういえば僕は昔から「一言多い」タイプである。言わなくても良いことをついぽろっと言ってしまったり、笑いをとろうとブラック・ジョークを織り込んだつもりが、しらけるどころか相手を怒らせてしまったり・・・。おそらく幼少の頃は手がつけられないくらいおしゃべりで、おせっかいで、親は結構恥ずかしい思いをしていたのではなかったか・・・、微かではあるがそんなような記憶が頭の片隅にある。

その反動かどうかは不明だが、小学校に入り、学年を重ねるにつれ、だんだん大人しくなり、中学に上がる頃にはほとんど自分の内側を表現しない、無口どころかいわゆる「殻に閉じこもった」少年になっていた。もちろんいわゆる「自閉」ではないから、友達もたくさんいたし、普通に誰ともコミュニケーションはとれていたのだが。でもどこかで常に「孤独」を感じる、実は「寂しい」少年だったように思うのだ。

音楽を聴き始めたのも、寂しさを癒す意味があったろうし、そういう意味では現実からの逃避の手段として「音楽」というものを利用していたようにも思える。今でも僕はプライベートではあまり人に多くを語らない。というよりしゃべることがないし、いざ自分のことをしゃべらなければならない状況になると、一気に頭の中が真っ白になってしまう。いずれにせよ少なくとも仕事上ではクライアント、あるいは生徒を傷つけないよう気をつけねば。結局、いかに相手と信頼関係を早々に築けるかがポイント。

「愛の音楽家エドワード・エルガー(水越健一著)」
日本では唯一と言ってよいエルガー伝だが、ことのほか面白そうだ(残念ながら僕は現時点で未読)。ウェブに掲載されている「まえがき」を読むと、エルガーの真摯で誠実、純粋で、しかも愛に溢れる人柄が手にとるようにわかり、彼の音楽がなぜかくも我々の心に直接響き、伝わるのかが理解できる。

「多くの歴史上の偉人や音楽家たちが華々しい異性遍歴を繰り広げたのに対して、エルガーは終生一人の女性を愛し続け、命のやり取りを掛けた凄まじい修羅場に遭遇することもなかった。」

言葉で「想い」を伝えることは極めて難しい。時に真意が伝わらない時もあるから。でも、音楽でなら愛する人に「想い」を伝えることは容易いのかも。

エルガー:
・序曲「南国にて(アラッショ)」作品50
・序奏とアレグロ作品47
キュッヒル四重奏団
・ 「ソスピーリ(ため息)」~弦楽、ハープとオルガンのためのアダージョ作品70
・自作の主題(「謎」)による変奏曲作品36
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

以前も採り上げた音盤だが、これはいつ何時聴いても心が洗われる名演だと思う。久しぶりに聴いて確信した。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
「一言多い」ブラック・ジョークを・・・。
戦後生まれの我々日本人は、全体としてはもう充分に「ポジティブ」だったのではないでしょうか? 
故渡辺美智雄元副総理大臣は、かつてこう言いました。
「日本人は真面目に借金を返すが、アメリカには黒人やヒスパニックなんかがいて、破産しても明日から金返さなくてもよい、あっけらかのかーだ」
「積極的」「楽観的」「都合の悪いことは見て見ぬ振り」「長年にわたる問題先送り」の結果、今や天文学的膨大な財政債務を抱える日本も、アメリカに勝るとも劣らない、そして誰も責任を取ろうとしない「あっけらかのかー」の国になりました。
私の家内の曾祖父は、旧海軍の潜水艦の艦長で、真珠湾攻撃にも参加した後、南洋で戦死したのですが、潜水艦で曾祖父を補佐された後生き延び、戦後某民間企業の社長・会長になり、昨年紺綬褒章を受章された伊藤進さん(95)の、インタビュー記事が、今年1月、家内の故郷の地方紙に連載されていました。その記事の締めくくりの言葉が、とても心に残っていますので、ご紹介いたします。
「今の日本、あまりにもモラルが低下して恥ずかしい。これからの日本は、外国から紳士の国と思ってもらえる国民になってほしい」
「もっと安心して付き合える日本人になってほしい。日本人は都合が悪くなるとウソをつく。政治家もそう。私のモットーは『逃げるな』『ウソをつくな』『数字に強くなれ』。これは私が考えたものではなく、キャノン販売の滝川清一社長の言葉。日本のこれからはもう少し紳士の国になってほしい」(《日刊いわくに》2010年1月3日~29日連載『死地くぐり抜けた戦地のパイロット』より)
さて、こちらも(かつて紳士の国だった)英国の作曲家・エルガーに開眼の兆しの岡本さん、エルガーを岡本さんのお好きなブラームスの延長線上でお聴きになるのも、いいと思いますよ。その意味で、とっても素晴らく感動的な解説(笑)をご紹介します。
・・・・・・《エニグマ変奏曲》と《ハイドンの主題による変奏曲》は、トシの離れた姉妹作だ。前者の第6変奏でヴィオラが、第13変奏などでクラリネットが活躍するのを聴くと、エルガーが「イギリスのブラームス」と呼ばれる理由も、よくわかる。
《ハイドン変奏曲》のフィナーレ(パッサカリア)も大詰に近付くと、テーマが短調に転じてまず木管に出現。それを弦楽器が受け継ぐと、やはり短調に移された「ハイドンの主題」の断片を管楽器が吹く・・・・・・と、にわかに暗い雰囲気が一掃される。アウフタクトの上昇音階を伴って、ハイドンの主題が原調で復帰。何事もなかったような顔をして最上声部を受け持つのは、ピッコロ。この一瞬を待ち望んでいたかのように初めて鳴るのは、トライアングル。飄々として清々しく、これぞ耳の悦楽。
《エニグマ》にも、ピッコロの清々しい用法がある。第8変奏。クラリネットに始まる優雅なメロディが再現されるとき、フルートの上に6度平行でスッと重なって旋律線のバトンを受け継ぎ、それをヴァイオリンに渡すまで、しばし高音域で虹の弧を描く。フルートのみで吹かせるにはレジスターが少し高すぎただけだ、なんて無粋なことをいうなかれ。小さな横笛を使って、主題をふわりと宙に漂わせることのできる瞬間があったことを、たぶんエルガーはブラームスから、学んでいたのだ。・・・・・・
「200CD オーケストラの秘密―大作曲家・名曲のつくり方」 (金子 建志  編集 立風書房)P232 木幡一誠氏の名解説より
http://www.amazon.co.jp/200CD-%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%81%AE%E7%A7%98%E5%AF%86%E2%80%95%E5%A4%A7%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E5%AE%B6%E3%83%BB%E5%90%8D%E6%9B%B2%E3%81%AE%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8A%E6%96%B9-%E9%87%91%E5%AD%90-%E5%BB%BA%E5%BF%97/dp/4651820425/ref=sr_1_3?ie=UTF8&s=books&qid=1275342550&sr=1-3
なお、改訂新版も出たようです。
http://www.amazon.co.jp/200CD%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%81%AE%E7%A7%98%E5%AF%86%E6%94%B9%E8%A8%82%E6%96%B0%E7%89%88-%E9%87%91%E5%AD%90-%E5%BB%BA%E5%BF%97/dp/4054044646/ref=sr_1_2?ie=UTF8&s=books&qid=1275342550&sr=1-2

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>今や天文学的膨大な財政債務を抱える日本も、アメリカに勝るとも劣らない、そして誰も責任を取ろうとしない「あっけらかのかー」の国になりました。
本当に情けなくなりますね・・・。
伊藤進さんの言葉も重みがあります。戦前の日本を知っている方は皆同じような思いを持たれているのでしょうね。
>ブラームスの延長線上でお聴きになるのも、いいと思いますよ。
ありがとうございます。「エニグマ」と「ハイドン・ヴァリエーション」の共通性には気づきませんでした。なるほど、確かにそういわれて聴いてみると一層親近感が湧きます。ご紹介の書籍も魅力的ですね。ありがとうございます。

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