やっぱり男って弱い?!

elgar_cello_concerto_du_pre_bbc.jpg男は未練がましい。
女はあっという間に吹っ切れる。
男の側から振る場合はさほど問題にならないが、女からのそれとなるとややこしい。最悪はストーカーという状態に陥るのだが、女性のストーカーというのをあまり耳にしないことを思うと、やっぱり「しつこい、諦めきれない」というのは男性特有の性質なのだろう。

母親の胎内から生まれ出てくる時、赤ちゃんは一体どんな心境なのだろう?泣き声は不安の象徴だという説もあるが、やっぱり母体と切り離される不安感から声を発するのだろうか?

そういえば、僕も子どもの頃、母親の影をずっと追っていた(ように思う。今から考えるとだが)。特に長男という境遇もあろう、幼い頃の「関係」が満たされていなかったのかどうかそのあたりは不明だが、ともかく「切り離された感」が極めて強かったのだろうと思う。とはいえ、これまた長男の宿命で、思ったことをそのまま素直に伝えるということができなかった。「じっと我慢の子」、そんな子どもだったのである。

僕はよく「寛容」だといわれる。しかし、裏返せば「我慢強い」ということに過ぎない。ほとんど「爆発」もしないが、大人になるにつれ理性が働いてそうなっているのか、それとも「成長」して、本当に「寛大」になれているのか、全く定かでない。いずれにせよ、日常ほとんどストレスを感じないのだから、抑圧しているわけでもないのだろう。できるならこのまま自然体でゆっくり歩みたいものだ。

多発性硬化症という難病との長い闘いの末42歳という若さで亡くなったジャクリーヌ・デュ・プレの演奏が時折聴きたくなる。10年ほど前、彼女の伝記をもとに映画化された作品を観て驚いた。音楽家としては超一流の彼女も、ひとりの人間としては人格障害とまではいわないまでも、相当に問題のある人(いわゆる極度のアダルト・チルドレンだったようだ)だったことが描かれており、衝撃を受けた。

幼少時のストロークの是非が、人間のその後の人生をこれほどまでに左右することを考えると、親の子どもを育てる義務、あるいは「育て方」ということについて深く考えさせられる。あまりに厳格に抑圧的に育てると、人間は「人間らしい(日常生活レベルで)」側面を失ってしまうようだ。

エルガー:チェロ協奏曲ホ短調作品85
ジャクリーヌ・デュ・プレ(チェロ)
サー・ジョン・バルビローリ指揮BBC交響楽団
(1967.1.3、プラハでの実況録音)

デュ・プレはエルガーの協奏曲によって一躍スターダムにのし上がった。16歳の少女による悲痛な響きは20世紀大英帝国を代表する大作曲家の最後の大作を即座に有名にした。この音楽を生み出した直後に作曲者は最愛の妻アリスを亡くすことになるのだが、まるでそのことを予知したかのような「心の慟哭」が聴かれる。妻を亡くして以降、エルガーはそれまでのように大作を書くことができなくなった。芸術家にとって相方の存在というのは相当に大きい(誰にとってもそうか・・・)。
男はやっぱり弱い。女はやっぱり強い。

※第40回早わかりクラシック音楽講座では、エルガーのこの曲をメインに採り上げる予定。
◆日時:8月21日(土)15:00~18:00
◆会場:エルーデ・サロン
◆費用:¥3,000
・お申込みはこちら


3 COMMENTS

雅之

おはようございます。
この5月は、岡本さんがお持ちの興味と、今の私の関心事が全然一致しない日が多く、そんな日はとてもコメントが書き辛らかったです(それでもジャズの即興演奏みたいな気分で、その日のテーマをもらえば、何かかんか関連付けて書けちゃうもんですが、ずいぶんテーマとコメントが遠い、苦しい日もありますよね・・・大笑)。
じつは、5月連休明けからは、エルガーの交響曲第3番のアンソニー・ペインによる補筆完成版の輸入スコアを取り寄せ、毎日のようにCDを聴きながら細かく研究していました。この版は、すばらしくよい出来で、ペインの仕事は、多くのスケッチの集積をエルガー最晩年の味わい深い屈指の名曲に昇華させることに成功していると心底思っています。
>妻を亡くして以降、エルガーはそれまでのように大作を書くことができなくなった。
そういう意味では、交響曲第3番は、女流ヴァイオリニストのヴェラ・ホックマンの存在に刺激を受けて作曲されたとも言われていますね。やはり、どんな芸術家も、インスピレーションとエロスとは密接につながっているということでしょう。
エルガーについての学びで、大変感謝しなければならないサイトがあります。
日本エルガー協会公式サイト 「エドワード・エルガー/希望と栄光の国」です。
http://washichi.hp.infoseek.co.jp/index.html
因みに、第2回「エルガーと彼を巡る女性たちとの音楽」の内容は、
http://washichi.hp.infoseek.co.jp/labo/ladies/ladies.htm
といった感じで、とても詳しいです。
第3回 「交響曲第2番~屈折した最高傑作」も、同じ変ホ長調の、ベートーヴェン「英雄」との似た作曲経緯等についての【「エロイカ」交響曲とエルガー「第2」】等、この曲の理解を深めるために必読だと思います。
第4回 「エルガー&ペイン/交響曲第3番」は、私の最も興味のあるテーマについて知識を深めることができましたが、尾高/札響による日本初演についての別ページでは、重要なテーマ等をMIDIで聴くこともできます。なお、尾高/札響の演奏は以前にもご紹介いたしましたが、CDで市販されており、ヒコックスのSACDとならんでお薦め盤です。
デュ・プレのチェロ・コンについては、もう今回は何も申し上げません。
今後も岡本さんから「講座」を頂点に、熱く語っていただきましょう(笑)。  

返信する
岡本 浩和

>雅之様
こんにちは。
>今の私の関心事が全然一致しない日が多く、そんな日はとてもコメントが書き辛らかったです
>何かかんか関連付けて書けちゃうもんですが、ずいぶんテーマとコメントが遠い、苦しい日もありますよね
こうやってほぼ毎日コメントをいただくようになって2年超ですが、テーマから遠かろうが近かろうが、随分勉強させていただいており、半ば麻薬のようになっております(笑)。よくよく考えると雅之さんとは、両手(ひょっとして片手?)で数えられるほどしかお会いしておりませんが、会って話すのとはまた違ったニュアンスがあり、とても感謝しております。まぁ、僕が発信し続ける以上は何とかがんばっていただきたい(笑)と思います。
>エルガーの交響曲第3番のアンソニー・ペインによる補筆完成版の輸入スコアを取り寄せ、毎日のようにCDを聴きながら細かく研究
雅之さんのこういう熱心なところは本当に頭が下がります。エルガーについてはご紹介のサイト、僕も重宝しております。ただし、色々な意味でまだまだエルガーについては知識が浅いので、今後とも様々ご教示いただきたいと思っています。
それにしてもこの歳になってようやくエルガー開眼の兆しが見えてまいりました・・・。

返信する
アレグロ・コン・ブリオ~第5章 » Blog Archive » 本当のデュ・プレ

[…] だいぶ前にバルビローリ卿と録音したエルガーの協奏曲の名盤(1965年録音)を採り上げた。あるいは、BBC響とのプラハでのライブ録音も繰り返しよく聴く。そして、デュ・プレによるエルガーのこの名曲にはもうひとつ忘れてはならない名録音がある。それは、70年録音のバレンボイム指揮によるフィラデルフィア管弦楽団とのもの。本日は、先述の映画のサントラ盤から。 […]

返信する

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください