真面目と不真面目の混在

mozart_early_symphonies_harnoncourt.jpg3年半前のノートに記されたメモ書きを見て、「あれっ」と思った。今年の2月か5月あたりに「危険」な兆候がありそうだと。あくまで氣学的な見地で、しかも僕の星回りが「九紫火星」ということで以前先生に見てもらったときに書きなぐったもののよう。昨日までがいわゆる2010年5月ということになるのだが、振り返ってみて驚くような、または本当に深刻な状況は訪れていない。むしろ淡々と時間は過ぎ去って行った。

気質的に、自分が好きな仕事は徹底的にのめり込みできるのだと。一方、苦手な仕事は積み重ねていくのが無理な人が多いのだと。なるほど、「継続は力なり」を座右の銘に掲げているが、苦手なことにはほとんど注力してこなかった。まさに「逃げ癖」のようなものがあったように思う。

ともかく「難しく」考え過ぎず、シンプルに。阿呆になりなさい、と(笑)。

真面目と不真面目の混在性質は、モーツァルトが生み出した夥しい数の音楽にも見て取れる。モーツァルト愛好家の神学者カール・バルトは、彼の音楽をして「重みが浮かび、軽さが限りなく重い」と評しているが、言い得て妙。日常の振る舞いからシンプルで阿呆になりきれるところにどうやら「深み」を誘発する何かがありそうだ。

1年4ヶ月に及ぶウィーンへの2度目の旅のさなか、オペラ「バスティアンとバスティエンヌ」は書かれたのだが、同じ時期、12歳のモーツァルトは3つの交響曲を書いた。いずれもメヌエットを持つ4楽章構成の洒落た音楽だが、アーノンクールが見事に少年アマデウスの心の機微を捉えている。基本的にモーツァルトの音楽は明るい。うきうき感、躍動感に満ち溢れた佳作でありながら、ふとした瞬間に悲しげで虚ろな響きが聴こえてくるところが、あらゆる感情を一つの作品に詰め込むことができたモーツァルトの天才性とでもいおうか、そういうものが既にこの時点で認めることができるところが何とも素敵である。

それにしても1年4ヶ月もの間、馬車での移動の連続で、母親にも会うことができず、しかも父の厳しい目が光っている中での演奏活動であり、作曲活動のわけだから、相当なエネルギーを費やしただろうことが容易に推測でき、モーツァルトがわずか35歳で亡くならなければならなかった理由も何となく理解できる。

モーツァルト:初期交響曲集―音楽と手紙―
ニコラウス・アーノンクール指揮コンツェントゥス・ムジクス・ウィーン

作曲当時に書かれた手紙の内容はドイツ語ゆえ残念ながら意味を解せない。モーツァルト初期の作品はほとんど真面目に聴き込んだことがないが、やっぱりモーツァルトはモーツァルトだ。真面目と不真面目の混在性・・・。

2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
>今年の2月か5月あたりに「危険」な兆候がありそうだと。
羨ましいことです。私は年中「危険」な兆候です(爆)。
>ともかく「難しく」考え過ぎず、シンプルに。阿呆になりなさい
はい、わかりました。じゃあ、今夜は、ロッシーニの12歳の時の信じられないような名作、弦楽のためのソナタ集(全6曲)で、モーツァルトに反抗するだけにします(笑)。
※昔から大好きな演奏 イタリア合奏団のCD
http://www.hmv.co.jp/product/detail/753253
(↓勉強になるサイトです)
http://www.eonet.ne.jp/~basshaus/rossini-stringsonatas.htm
だけどよー、こら、ロッシーニ少年! ヴィオラを無視するなよな!!
ロッシーニ少年「五月蠅い! 黙れ、くそクラヲタ親父! 大きなお世話だってんだ! ベーだ!!」
!!! ちょうど反抗期だったか?!

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
ロッシーニのこの作品はほんとに信じられない名曲ですよね。
イタリア合奏団のものは特に美しい良い演奏だと僕も思います。
サイトのご紹介もありがとうございます。
>ちょうど反抗期だったか?!
!!(爆笑)

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