清廉潔白であることが正しいのか?

mendelssohn_trio_beaux_arts_trio.jpg僕は、幼少の頃、魁傑という力士がことのほか好きだった。特に、優勝決定戦で北の湖を倒して優勝した一番は思い出深い。実に身軽な動きでありながら、後の千代の富士とは違った「危うさ」を秘めており、彼の相撲の取り方そのものに「陰陽」があった。

その魁傑関も放駒親方として日本相撲協会に大いに貢献されたことだろうが、先般理事長に就任された。その途端にスキャンダルを書き立てようとするマスコミの姿勢というのはいかがなものなのだろう?角界の内側についてはこれまでほとんど表沙汰にされたことがないが、何ゆえ今になってこうも叩かれるのか?裏の世界とつながっていることがそれほど問題なのか?(そんなことを言ってしまえば、つながっていない世界などないように思うのだが・・・)

今の時代、どの世界においても「正しい」ことが求められる。でも、「正しいこと」って何なのか、60億の人がいて60億通りの考えがあるなら、残念ながら答など何時まで経っても出ることはない。

僕の個人的な意見は、何事もそれでうまく回っているならいい、ということ。どちら側にも主張があり、どちらも正しい。こうあらねばならないという「常識」なんて糞食らえ。大崎からの帰路、山手線の吊広告を見てそんなことを考えた。大局観で物事を見るという姿勢、それが何より重要だ。

先日、多治見市文化会館でメンデルスゾーンのトリオの譜めくりをしたことは書いた。あれが実に刺激的な経験で、機会があればまたやってみたいと思った。リハーサルの折、ヴァイオリンの加藤菜津子さんが参考にした音盤がボザール・トリオのものとカザルス・トリオのものだと聞いて興味を持った。Youtubeでルービンシュタイン、ハイフェッツ&ピアティゴルスキーを観て、神憑り的なこの超絶技巧的演奏により「メントリ」の素晴らしさを再確認した。ともかくいろいろな演奏を比較試聴してみたいという想いが募った。

メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番ニ短調作品49&第2番ハ短調作品66
ボザール・トリオ

「常識」的な演奏に少し落胆する。既製のトリオにおいては「調和」が全面に出過ぎるところが面白みに欠ける点。三重奏というのは個性的なソリストが互いに火花を散らし合いながら結果的にひとつなってゆくのが理想的。あまりに予定調和的な演奏だと、一種安心感はあるものの、何度も聴く気になれない。

「常識」って何だろう?そんなものは人間が創りだした幻想・・・。あってないようなもの。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
一流の芸術家、芸能人、スポーツ選手といった人たちを見ていると、一般人の考える「常識」とはかけ離れた世界で存在感を示し生きている、水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくる「妖怪」のようではないでしょうか。恐れられていたり、変わっていると思われたり、一般人に催眠術のような妖術をかけて陶酔させたり泣かせたり笑わせたり、少々の悪さもしますが、基本的には極めて愛すべき存在だと思っています。
むしろ、本当に恐ろしいのは「妖怪」ではなく、私達「一般人」のほうだと痛感させられるばかりです。
>「正しいこと」って何なのか、60億の人がいて60億通りの考えがあるなら、残念ながら答など何時まで経っても出ることはない。
同感ですね。
かつて「マン」や「セブン」での金城哲夫の脚本が秀逸だったのも、そうしたことに子供心にも気付かせてくれる台詞が節々にあったからですよね。
ウルトラマン 第30話『まぼろしの雪山』脚本より
イデ隊員:「犯人は君だな。なぜあんなことをやったんだ。ボクたちが誰だか知っているのか」
雪ん子:「何でもかんでも怪獣呼ばわりして殺してしまう、恐ろしい人たちだわ!」
イデ隊員:「恐ろしい人たち? 違う。我々科学特捜隊は、人類の平和を乱す怪獣だけを退治するんだ」
雪ん子:「嘘!ウーを殺しに来たクセに!」
イデ隊員:「ウー!?君!猟師が見たというその怪獣は、本当にいるのか」
雪ん子:「ウーは怪獣じゃないわ!」・・・・・・
(下サイト参考)
http://3rd.geocities.jp/bya_kuya2007/ULTRAMAN/no30/ultraman301.html
(DVD)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2791216/ref/2791217_6
たとえ人間の開発によって不利な立場に追いやられても、古くからいる地霊には地霊の論理があるというわけです。そしてそれは宮崎駿作品の主題にも受け継がれていますよね。
この論でいけば、マスコミ業界で働く方々も、彼らの報道に同調する人々も、「何でもかんでも犯罪人呼ばわりして世間から抹殺してしまう、恐ろしい人たち」ということになりますかね(笑)。ちなみに魁傑は昔から私も好きでしたし、彼の出身は妻の実家のすぐ近所(山口県岩国市)です。
Youtubeの、ルービンシュタイン、ハイフェッツ&ピアティゴルスキーによる「メントリ」、圧巻ですね!! おっしゃるように神憑り的ですね。
なぜか映像を観て、大相撲の昔の名取組を連想しました。考えてみれば相撲の取組も、東西両力士と行司の「トリオ」によって作られる作品といえるかもしれません。
※9月11日の多治見のコンサートは心から楽しみにしております。大至急チケットの申し込みをいたします。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>むしろ、本当に恐ろしいのは「妖怪」ではなく、私達「一般人」のほうだと痛感させられるばかりです。
>かつて「マン」や「セブン」での金城哲夫の脚本が秀逸だったのも、そうしたことに子供心にも気付かせてくれる台詞が節々にあったからですよね。
ご紹介のウーの話、子どもの頃は深く考えなかったのですが、大人になって再放送を見、衝撃を受けたものです。本当に何でも怪獣扱いしてしまう人間とは恐ろしい生き物ですよね。
>マスコミ業界で働く方々も、彼らの報道に同調する人々も、「何でもかんでも犯罪人呼ばわりして世間から抹殺してしまう、恐ろしい人たち」ということになりますかね
確かに!!
>考えてみれば相撲の取組も、東西両力士と行司の「トリオ」によって作られる作品といえるかもしれません。
おっしゃるとおりですね。相撲もすっかり最近は見なくなってしまいましたが、そういう観点で見るとより面白くなるかもしれません。
多治見でまたお会いできることを楽しみにしております。

返信する

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む