準・メルクル&国立音大オケのマーラーを聴いた

神様は僕をお見捨てにならなかった(笑)。
国立音楽大学オーケストラが準・メルクルの指揮によりマーラーの「復活」を演奏するという情報を得て、当日券目当てに会場に向かった。17:30から販売開始ということだったのでその少し前に到着すれば良いだろうくらいに考えて家を出た。
そして17:25頃に無事会場に到着。驚いた。既に100人以上の列。インターネットの情報によると当日券は60枚だったので一瞬ヒヤリとした。とはいえ、何とかなるだろうと数十分並んで待った。ところが、18:00過ぎに「この辺りに並んでいる方々はキャンセル待ちです」というスタッフからのアナウンスが・・・。いよいよ心配になったが、それでも根気よく待ち、ついに整理券をいただいた。何と40番!!それからまた数十分の時が過ぎ、開演5分前に当日券売り場の方から最終アナウンスが入る。「39番までの方に何とかチケットをご用意することができましたので、代金をご用意ください。40番以降の方は申し訳ないですが、整理券をお戻しの上、お引き取り下さい」と。「は?冗談だろ?(笑)」と耳を疑った。まぁでも整理券を途中で放棄している輩も数人はいるだろうとすぐに帰らず、待った。そしてついに、チケットが手に入った。根気よく待つことも大事だな、と。自分の運を信じることだな、と。(笑)

ということで、久しぶりにマーラーの実演を聴いた(いつから聴いていないのか記憶にないくらい)。チケットもぎりと当日券さばきに時間がかかったようで10分近く押しての開演。文字通り満席。デッドな会場ではあったが、大き過ぎず小さ過ぎず、最後方の右通路側という舞台の全景を捉えることのできる嬉しい席での「復活」交響曲!素晴らしかった。

国立音楽大学第117回オーケストラ定期演奏会
2012年7月16日(月・祝)18:30開演
国立音楽大学講堂大ホール

オルガン・プレ・コンサート(18:00~)
・フランク:コラール第3番イ短調
小林弘(オルガン)

こちらのプレ・コンサートは前述の状況により聴けず。

・マーラー:交響曲第2番ハ短調「復活」
澤畑恵美(ソプラノ)
加納悦子(アルト)
国立音楽大学合唱団
準・メルクル指揮国立音楽大学オーケストラ

準・メルクルの指揮はお初。学生オケを丁寧な指揮でコントロールする様子と割合と直線的で即物的な解釈が予想通りだったので、決して僕の好みのマーラーとは言い難いが、何せ「復活」交響曲は大好物の曲なので、そんなことよりも久方ぶりに生で触れられた喜びと、ギリギリまで待って何とかチケットをゲットした喜びが相まって本当に心震えた。
国立の合唱は評判通りだし、それよりもオーケストラが瑕はあるものの本当によく健闘していた(金管群がんばってたなぁ。正面のティンパニ奏者が演奏中以外ほとんどヘッドに耳を当てたりして楽器を気にしている様子だったけど何かあったのだろうか?)。

それと、おそらくこれまで僕がうっかりしていたのだろうと思うが、バンダのホルンやトランペットが舞台裏と表を始終行き来し、終楽章で舞台の上手と下手に分かれて主題を奏する様子を初めて(?)見て、見事なステレオ効果と奏者の堂々たる吹きっぷりに感心させられた。リヒャルト・シュトラウスの作品などもそうだが、マーラーの音楽の視覚的効果というのはかなりのものだ(やっぱり実演じゃないとこういうところまではわからない)。

よみがえる、よみがえるのだ
心よ、いまこのとき!
心よ、地からあるはばたきが
お前を神の下へと運びゆく!

本日の教訓。待つこと。諦めないこと。


3 COMMENTS

雅之

こんばんは。

メルクル指揮国立音楽大学オケの「復活」、聴けてよかったですね!!

>バンダのホルンやトランペットが舞台裏と表を始終行き来し、終楽章で舞台の上手と下手に分かれて主題を奏する様子

>マーラーの音楽の視覚的効果というのはかなりのものだ

そうなんですよね。マーラーの交響曲は随所にそういうところがあるから、実演を聴く経験が絶対に欠かせませんよね。

今回私が聴いた「千人」でも、第1部や第2部のクライマックスで、ホール後方の左右高所で吹かれたバンダのトランペットやトロンボーン群や、舞台上には姿を現さない第2ソプラノ(ファウストの救済をこい願うグレートヒェン)など、じつに神々しく効果的でした。

私が今回聴いた「千人」ですが、2日目はなお一層出来が良く、今年3月にご一緒に聴きに行ったダスビのショスタコ:7番の感動に匹敵するか、あるいは上回ったかもしれません。日本語字幕もテクストの理解を深めることができましたし、非常に得るところが多い充実したコンサートでした。

仕事に疲れた頭で書いていて、妙なことが閃きました。
マーラーの分裂気質は、まさにこの病んだ現代社会が抱える分裂気質そのものなのではないかと・・・。
卑近な例で喩えると、「千人の交響曲」は、衆議院選挙で大勝した時の夢と高揚感に溢れたイケイケ民主党。
現在の民主党は、交響曲第10番での引き裂かれた苦しみ状態か、あるいは・・・。

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。

>私が今回聴いた「千人」ですが、2日目はなお一層出来が良く、今年3月にご一緒に聴きに行ったダスビのショスタコ:7番の感動に匹敵するか、あるいは上回ったかもしれません

「復活」ももちろん素晴らしかったのですが、僕は今回の「千人」の方が一層羨ましいです。聴きたかったなぁ。

>マーラーの分裂気質は、まさにこの病んだ現代社会が抱える分裂気質そのものなのではないかと

確かに!民主党の例は面白いですね。何だかそんな気がします・・・(笑)

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ジョイツイ

こんにちは!私は中国のジョイツイです。今夜北京で準のマーラーの第六番を聞く予定です。ネットで資料を探し、そしてこの文章をよみました。けっこう面白い経歴です。いま、夜の演奏を楽しみにしています。(*´∀`*)

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