イッセルシュテットのブラームス

brahms_schmidt_isserstedt_ndr.jpg自分自身を内観し、深掘りしていくことは重要だが、誰かのサポートの下で行うことが一層大切。

なぜ早く成果をあげる必要があるのか。利己的な観点でなく、利他的な観点で考えると、1分1秒でも早く他者のサポートをした方がより高いシナジーを生むから。

素直で伸びる人は「直感力」にも長けている。

「問題」に直面すると人は誰しも自分に意識が向き、しかも解決できないとますます悩み、悪循環のスパイラルに入り込んでしまう。「問題」にぶち当たったときこそ、他者のことを考え、思うようにすれば意外に簡単に解決の道が拓けるものだ。

あくまで個人的なメモ・・・、本日得た気づきのいくつかである。

先日、タワーレコードの店頭でシュミット=イッセルシュテット&北ドイツ放送交響楽団のブラームス全集を見つけ、思わず手にとった。なにせ4枚組ボックス・セットがたったの990円也。こういう価格破壊は大歓迎(それにしても安過ぎるが・・・)。少しずつ時間を見つけて聴いているのだが、本日第4交響曲を聴きながら気づいた。何と指揮者死去の1週間前のライブ録音なのである。死期が目の前に迫っているとは思えない火を噴くような迫力、いや、というよりだからこその最期の輝きのような飛び切りの壮絶な音楽がかき鳴らされる。

ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98
ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮北ドイツ放送交響楽団(1973.5.21Live)

かつて(1876年43歳)ブラームスは次のように嘆いたことがあるらしい。「結婚すればよかったと思うこともあるんだよ。もう10歳くらいの男の子がいてもおかしくないんだから。そりゃ楽しいだろうよ。でもなぁ、適齢期の頃には地位がなくてね。今じゃもう遅すぎるし」(ブラームス回想録集①「ヨハネス・ブラームスの思い出」P116)まだまだ可能性のあるうちから諦めの境地に入っているような文句だが、シュミット=イッセルシュテットの紡ぎ出す第4交響曲を聴いていて、ブラームスの男性としての強靭な精神力と精力を感じさせてくれるものだから、もう少し自信を持って粘ることができたら彼の人生と作品の質も随分変わったんだろうなと少し残念な気がした。

とはいえ、もしもブラームスが結婚していたら明らかに現存のような作品は書いていないだろうからまぁ、それはそれで良かったんだろう(あくまで他人事だが)。

「ワークショップZERO」第1日目を終えた。
気づきの多いとても意義深い会。
ここには、人の人生を変えるだけの力がある。

5 COMMENTS

雅之

おはようございます。
ご紹介のイッセルシュテットのブラームス交響曲全集、LP時代に既に出ていて(1980年代前半)購入し聴き、たいへん気にいっていたことを懐かしく思い出しました。それが990円とは!!なんと失礼な値段でしょう(笑)。しかし、こういうのを聴くと、イッセルシュテットもベームやクーベリック他当時の多数の名指揮者同様、セッション録音では真価のわからない、ライヴの人だったと思うばかりですね。
なお、ブラ4も、自分の演奏参加経験での種々の思い出が多く詰まった曲です。
ところで、『現代ギター』8月号
http://www.amazon.co.jp/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E3%82%AE%E3%82%BF%E3%83%BC-2010%E5%B9%B4-08%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E9%9B%91%E8%AA%8C/dp/B003UH7HEM/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1283116796&sr=1-3
の、「渡辺和彦のa tenpo日記」〈R.シューマン生誕200年、シューマン夫妻とブラームスの“闇”について考える〉( 66~67ページ)はじつに興味深い文章でした。購入され、全文お読みになることを強くお薦めしたいです。文中採り上げられていたホリガーによるCD、早速入手し聴いてみました。素晴らしかったです。
・・・・・・クララとブラームスとの往復書簡は純粋に音楽的合意のもの以外は、両者合意のもとに、あるとき大量に焼却されたと嘆き、糾弾する研究者もいる。
(中略)
・・・・・・完全に完成した(シューマンの)作品を、「故人のためにならない」と決断したり(ヴァイオリン協奏曲の場合)、楽譜の後半を未公開にして主題だけを発表するに留めたり(〈最後の楽想/天使の主題による変奏曲〉)、初演まで終えていた小品集のすべての楽譜を完全破棄(!)してしまったり(〈チェロとピアノのための5つのロマンス〉1853年11月初頭完成、13日?初演)、というクララとブラームスの行為の正当性は、やはり問わねばならない。後世に判断を委ねるという選択肢は、ありえなかったのか。せめて「100年後に公表」の段階で保留しておくべきだった。焼却された楽譜の中に、何か深刻な暗号が隠されていたという可能性は、本当にあるのか。シューマンは音名を暗号化する癖があった(C音とA音によるClalaの主題など、該当例多数)。
 こうした問題にファンタジーを添えて返答したのが、今年2月に本当に久しぶりに来日してオーボエ演奏を披露したハインツ・ホリガー指揮によるアルバム『C・シューマン&ホリガー作品集』だ(ECM/ユニバーサル UCCE7510。2010年2月新譜)。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3576356
 このCDの内容は重く、濃い。演奏・録音されているのは、クララの作品と、楽譜を焼却されたロベルト・シューマンの作品へのオマージュであるホリガー作〈チェロとピアノのためのロマンセンドレス〉、そしてロベルト・シューマンと本当によく似た精神の薄明時代を生きて死んだ同時代の天才詩人、ヘルダーリン(1770~1843)の存在とその作品にシューマン最晩年のピアノ曲集〈暁の歌〉(1853年。幸い楽譜は破棄されずに残った)を重ね合わせた、「ロベルト・シューマンの曲とフリードリヒ・ヘルダーリンの詩に基づく〈暁の歌〉」。
 「シューマンの心の病は音楽的にも病だったのか?」。これへの返答は医学ではなく、音楽で判断するしかない。ホリガーのアルバムは、クララとブラームスに対する返答と抗議の表明になっていて感動的だ。
 「シューマン生誕200年」。3つの映画はどれも見るに値する。映画では完全に避けて通っている最も重要なテーマについては、音楽で考えてみるしかない。「楽譜破棄」問題が正式に証明されたのは、1980年代になってからであるという。
 シューマン夫妻とブラームスの3人に横たわるロマンの闇は深い。

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岡本 浩和

>雅之様
こんにちわ。
そうですか、LP時代に聴かれていましたか!僕は存在すら知りませんでした。(そもそもイッセルシュテットにそれほど興味を持ったことがなかったので)
>イッセルシュテットもベームやクーベリック他当時の多数の名指揮者同様、セッション録音では真価のわからない、ライヴの人だったと思うばかりですね
おっしゃるとおりですね。ぜひともライブに触れてみたかったです。
ところで、ご紹介の「渡辺和彦のa tenpo日記」〈R.シューマン生誕200年、シューマン夫妻とブラームスの“闇”について考える〉、実に興味深いです。誰の立場からみるかによって状況も考えもまったく変わってしまいますからね。ブラームス派の僕にとってはなかなか複雑です(笑)。
ホリガーのアルバムも聴いてみます。

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ふみ

こんばんは。
イッセルシュッテトのブラームス素晴らしいんですね。彼についてはベートーヴェンの1,2,8番なんかの小規模作品の録音が大好きだったのでブラームスについてはノーマークでしたがチェックしてみます。
>「問題」に直面すると人は誰しも自分に意識が向き、しかも解決できないとますます悩み、悪循環のスパイラルに入り込んでしまう。「問題」にぶち当たったときこそ、他者のことを考え、思うようにすれば意外に簡単に解決の道が拓けるものだ。
これに関しては大いに賛同です。しかし、イチローが以前に興味深いことを言っていました。彼はチーム状態や自身の成績が振るわない時はあえて自分のこと「だけ」を考えるそうです。その理由は、人間は自分や周りが上手くいかない時に周りを気にすると一層自分のリズムを壊し、負のエネルギーが働き悪循環に陥ってしまうためだから、だそうです。だからこそチーム状態が悪い時はメンバーにあえて自分のことだけ考えるよう進言するそうです。そうすることで個々のメンバーが徐々に良いリズムを生んでいき最終的にはチーム全体が活性化する、ということだそう。
この考えもチーム競技をしてた自身の身としてはなるほどなと感じざるを得ない論理でした。チームを成り立たせているのは個々の人間の性格や能力ですからね。

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岡本 浩和

>ふみ君
こんばんわ。
同じ理由で僕もノーマークでした。いやそれにしても第4は特に素晴らしいです。
>周りを気にすると一層自分のリズムを壊し、負のエネルギーが働き悪循環に陥ってしまうためだから、だそうです
なるほど、イチローのいうことも一理あります。確かに周りの目を気にしだすとリズムを壊してしまうでしょうね。ただし、周りを気にするという行為の中には、周りと比較するというどちらかというとネガティブな意味合いと周りのことを想うというポジティブな意味合いの二つがあると思います。
「他者のことを考え、思うようにする」というのはあくまで純粋に他者に意識を向けるということなんだよね。スポーツには全く詳しくないですが、どんなものでもこれは大切なポイントだと思うのだけど・・・。

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雅之

>だからこそチーム状態が悪い時はメンバーにあえて自分のことだけ考えるよう進言するそうです。
それがイチロー流の「他者のことを考え、思うようにする」優しさですね。パラドックス!!

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