ブルックナーのピアノ作品集

bruckner_piano_works.jpg大学講座の研修会で、「どうすれば学生の内定率が上がるか?」という議題で話し合った。一朝一夕に解決する生易しい問題ではないが、今の世の中を変えるために、そして明日の日本を背負う若者を育てるために微力ながら貢献せねばという想いからほんの少しだけ僕なりの意見を言わせていただいた。定かではないが、内定率が低い大学、あるいは内定がなかなか出ない学生に限って、その親子関係に問題がありそうだ。親がそもそも現状をあまりに知らないという事実。または親離れ・子離れできていないという現実。子どもの頃から何にでも口出しして、子どもが自分で考えなくなっているということ。さらには、子どものことを決してほめないという環境。まずは親を教育せねば・・・、長い時間を要するが、成果をあげるためには根っこから、そんなことを考えさせられた時間だった。

ほめられて伸びる人は多い。長所と短所は表裏一体。人間の性質なんてそうは簡単に変わらないのだから、短所は受け容れ(見ないようにするというのでは決してない)、長所を自覚して伸ばす、ひとりひとりがそんな考え方、生き方ができたら世の中もっと変わるだろう。

夜、「才能開花勉強会」。今回は、「さあ才能に目覚めよう」を使用し、自身の「5つの強み」を持参していただいた。結果は見事。誰の結果を見ても納得させられる。自分の強みを知ることで自信が生まれる。そして次に他者との関係。少なくとも身近な人の「強み」を把握することはとても大事であることをお伝えした。「なぜこの人はこういう行動をするのか?」、その疑問が一気に氷解するだろう。自分を知り、他人を知ることで、関係の壁が見事に低くなる。「ストレングス・ファインダー」は人間関係を円滑にする偉大なツールになり得るかもしれない。

ブルックナー:ピアノ作品集
ヴォルフガング・ブリンナー、ミヒャエル・ショッパー(ピアノ)

1850年~1868年にかけて、つまりブルックナーが26歳から44歳にかけて生み出した初期の作品集。大器晩成型の作曲家ゆえ、これらの作品はすべて初期作品ということになる。かれこれ10数年前にCDショップで見かけて手に入れた音盤だが、ブルックナーにこのような作品があったこと、しかもそれを律儀に録音したアーティストやレーベルが存在したことに驚愕した。

もちろん後の交響曲や宗教音楽に比して、特に云々する特徴のない音楽が続くが、それでも1860年代の作品には、ブルックナーらしい野暮な響きながら音楽的拡がりのある楽曲があり、こういう時代があったからいくつもの偉大な交響曲が書けたのだということが如実にわかり、「天才」の萌芽が垣間見える作品が確認できることが大いに勉強になる。

ちなみに、この作品集を聴いて僕が感じたこと。ブルックナーが最も影響を受けた作曲家はシューベルトであろうということ。実に美しい旋律。それがとりとめもなく延々と続く、そういう錯覚を覚えさせるところ、そんなところがかの歌曲王のよう。


3 COMMENTS

雅之

おはようございます。
教育の問題は、子供をビジネスの世界で大成功させるのか、平凡なサラリーマンとしての安定性を求めさせるのか、科学技術・学術・芸術・スポーツ分野での独創性で抜きんでた花を開かせるのか、一流の職人として育てるのか、などによって、理想の教育方針や家庭環境は異なって当然なのに(ステージ・パパ・ママだって芸能・スポーツ分野では正しい)、部外者が画一的に議論しがちなのが大問題だと私は思っています。日本相撲協会の改革に成功したビジネスマンが乗り出すようなもので、そこには価値観の相違による、いろんな問題を含んでいそうです。
また、日本の世襲議員、2代目社長などの多くが、正しいといわれる英才教育を受けてきたにもかかわらず、なぜあんなにひ弱またはアホや腑抜けや世間知らずになるかを、よく考えられたことがおありでしょうか? 大した教育を受けてこなかった多くの叩き上げ創業者と、どこが違うと思いますか?
いずれにしても、今の日本を作った元凶は我々から上の世代にあります。でも、当事者たちはみんな負の部分には完全無視、頬かぶり、能天気!!
「したたかと 言われて久し 栗をむく」
「俗論は 潮騒のごと 雲の峰」
「菖蒲湯を 王者のごとく 浴びにけり」
「人生は解けず 節句の祝酒」
「恩讐を忘れあっぱれ 鯉のぼり」 中曽根康弘
ああ、いいよなあ。私も浮世を離れ、一刻も早くそういう境地になってみたいものです(笑)。
ご紹介のブルックナーのピアノ作品集のCDは知りませんでした。ぜひ聴いてみたいです。私には未知の領域です。
※ヴァント&ベルリン・ドイツ響のCDで感動してから、シューベルト「ザ・グレイト」に、もう何回目かわかりませんがハマっています。
最近聴いた次の2種類のSACDは、ヴァントやケンペに勝るとも劣らない、同曲屈指の名盤だと思いました。
クーベリック&バイエルン放響
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1785227
ミュンシュ&ボストン響
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2504947

返信する
雅之

教育の問題、舌足らずかもしれませんので、少し補足しておきましょう。
親が子供に期待する方向と、子供がなりたい職業や本来の才能が違う場合、親子の対立が生じがちです。
だからこそ、「才能開花勉強会」といった試みは、親子で体験させることがいいんじゃないでしょうか? 第三者が、「子供さんはこういう方向の才能がありますよ」って本人にも親にも言っていただくことは、すごく参考になりますし、これは世の中の潜在的ニーズも多いんじゃないでしょうか?
私などもそういった機会を作ってくだされば、とり急ぎ高一の息子とぜひ参加したいと思っているところです。ぜひぜひ!!
どうですか? ずいぶん建設的な締めになったでしょ。こうでなくちゃ!ですね(笑)。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
こんばんわ。
>部外者が画一的に議論しがちなのが大問題だと私は思っています。
>日本相撲協会の改革に成功したビジネスマンが乗り出すようなもので、そこには価値観の相違による、いろんな問題を含んでいそうです。
おっしゃることごもっともです。しかしながら、教育に限らず、今の現場は得てしてそういうことが多いです。いわゆる一部の優秀なMBA取得者がビジネスシーン(に限らず様々な分野)で活躍したことにその発端があるのかもしれません。ビジネスを専門的に学べば通用するという幻想があるんでしょうね。
>多くの叩き上げ創業者と、どこが違うと思いますか?
机上の空論か実践での学びの違い、もっと言うなら人間関係でもまれたかそうじゃなかったかの違いのように僕は思います。
>今の日本を作った元凶は我々から上の世代にあります。
はい、同感です!
ところで、「ザ・グレイト」ですか!長らくきちんと聴いていません。久しぶりに正座して聴いてみようかなぁ。
>最近聴いた次の2種類のSACDは、ヴァントやケンペに勝るとも劣らない、同曲屈指の名盤だと思いました。
こちらも未聴です。聴いてみたいです。
>「才能開花勉強会」といった試みは、親子で体験させることがいいんじゃないでしょうか?
なるほど!それは名案です。ありがとうございます。今、強み発見のツールとして使っている「ストレングス・ファインダー」は残念ながら20歳以上でないと受けれないので、他の方法で考えてみたいです。

返信する

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む