ジャニスの祈り

Janis_joplin_pearl.jpg才能を発掘し、その才能を活かす仕事ができるかどうかは結局自分自身の問題だ。得てして人は都合よく考えるもの。クリエイティビティ溢れる人は枠に収まらず、アウトロー的な生き方を好むが、アウトローさ加減が中途半端だとそのうち不安になり、行き詰ってしまう。これまでの洗脳かどうか、「隣の芝生は青く見える」如くどうしても他人と比較して劣等感を覚えてしまう。

灯台下暗し、「答」は自分のうちにあるにもかかわらず、外を探し続ける。答などやっぱり出ようはずがない。「自律的に生き、かつ共生する」というのが僕の理想とする生き方だが、アーティスト肌の人ほどそういうものを求める。自信があるかないかというより勇気があるかないかだけ。いつ始めるのか?何年か準備してから、という答が返ってくる場合が多い。しかし、「今」だと僕は思う。チャレンジすること。それには、素直さがどうしても必要になる。中途半端に道草を食っている人間に多いパターン、それは「頑固」ということ。人の言葉に素直に耳を傾け、ともかく即座に行動を起こす、それが「うまくゆく」秘訣だ。

もう何度も書いていることだが、ワークショップZEROでは、「ありのまま」、「自然体であること」をテーマにする。確かにそうありたいと誰もが願う。やりたいようにやればいいではないか。何ができるかを見つめ直し、社会に提示できることを真剣にやっていけば良い、ただそれだけだと僕は思う。

Janis Joplin:Pearl

ジャニス・ジョプリン死して40年。このラスト・アルバムは1970年の9月に録音がスタートしているが、10月4日に彼女が急死したことにより中断を余儀なくされた。もちろん、歌声を録音している時点では本人自身死ぬ予定ではなかったから、1曲1曲が鮮烈で、エネルギーに満ちており、繰り返し何度聴いても「やる気」を与えてくれる傑作。1曲目の「ジャニスの祈り(Move Over)」を初めて聴いたのは大学1年生の時。振り絞るようなハスキーな声と人とは思えない気迫に一瞬戸惑いながらもすぐ夢中になった。

5曲目の「生きながらブルースに葬られ」は、歌なしのままインストゥルメンタルで収録されているが、本人不在の楽曲が遺書のように聴こえ、涙なくしては聴けない。

ジャニスはいつも自信がもてなかった。どこにいっても疎外感を感じ、常に孤独と闘っていた。それこそ”Message in a Bottle”を送ってあげたい、そんな想いを起こさせる。彼女ができたことはただ「歌をうたうこと」。その夢を叶え、一夜にしてスターになったが、結局は孤独のまま世を去ることになる。でも、それはそれで本望だろう。やりたいことをやり、できることを一生懸命やり、人に喜びを与えられたのだから。

2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
そうですか・・・、ジャニス・ジョプリンは大阪万博の年の10月4日になくなったんですか・・・。
1970年に亡くなった我々に馴染みの深い芸術家をウィキペディアで調べてみると、けっこういるものです。
1月25日 – 円谷英二、映画監督・円谷プロダクション創設者(* 1901年)
7月29日 – ジョン・バルビローリ、指揮者(* 1899年)
7月30日 – ジョージ・セル、指揮者(* 1897年)
9月18日 – ジミ・ヘンドリックス、ギタリスト(* 1942年)
10月4日 – ジャニス・ジョプリン、歌手(* 1943年)
10月22日 – サンソン・フランソワ、ピアニスト(* 1924年)
11月25日 – 三島由紀夫、作家(* 1925年)
11月25日 -アルバート・アイラー、ジャズ・サックス奏者(* 1936年)
などなど・・・。
バルビローリとセルは7月末に続けて亡くなったんですね。
ジミ・ヘンドリックスとジャニス・ジョプリンが似た年齢で似た時期に亡くなっている共通性も初めて気が付きました。それにしても若い・・・。
でも、人の心を慰める傑作を後世に残し世の中に貢献し、今もなお多くのファンに愛され「伝説」になって生き続けているんですから、おっしゃるように本望だったのでしょうね・・・、セミのように短い活動期間でも。私も岡本さんの文章を読んで久しぶりにジャニスを聴いてみたくなりました・・・・・・・・・・・・・・・、いや、もっと涼しい秋の日にします(笑)。
あのお、書くまい書くまいと思ってこの夏はほとんどコメントで意識的に触れませんでしたが・・・、とにかく朝なのにクーラー切ったら暑いのなんの!!!!!!!!!!
もう9月なのに、当地の本日の最高気温予想は38度!!
こりゃ11日の多治見のコンサートの日も暑いですよ!!
こういう時のブログでの選曲は、シベリウスとか、ヘンデル「水上の音楽」とか、R・シュトラウスの「アルプス交響曲」とか、涼しげな曲にしてくださいよ!(爆)
私の本日のおススメは、やっぱこれでしょう!!!
「太陽と戦慄」King Crimson
もう、太陽と断固闘うぞ!!
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1411336
岡本さんは、いつ採りあげておられましたっけ?
とにかく、才能も、他者への愛も、人生も、老後も、国の借金も、もうそんなことどうだっていいから、この目の前の異常な暑さを何とかして!!生物の一員としての限界!!!!!!!・・・(そして、かわいそうについに発狂)
では、さようなら

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岡本 浩和

>雅之様
こんにちわ。
1970年というのはいろんな意味で「変化」の年だったということですね。ジミヘンもジャニスも27歳(ジミヘンは11月生まれ、ジャニスは1月生まれの同学年です)。その翌年にジム・モリスンも27歳で亡くなってますから、ロック・ミュージシャンの間ではジンクスになっていますよね(カート・コバーンが27歳で自殺したのも有名です)。
>もう9月なのに、当地の本日の最高気温予想は38度!!
ほんと参りますよね。
外にいるだけでくたびれてしまいます。
涼し気な曲ですね・・・(笑)
今日からそうしてみます。
ちなみに、「太陽と戦慄」は2007年6月に採り上げました。もう3年以上前。ブログを始めて間もない時です。
http://opus-3.net/blog/archives/2007/06/post-29/
>この目の前の異常な暑さを何とかして!!
名古屋は東京以上なんでしょうね・・・。お疲れ様です。

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