天の守護神サンタナ

santana_abraxas.jpgボサノバやタンゴなど南米の音楽というのは休日の午後にまったり聴くのに相応しい。

多治見市文化会館での「愛知とし子presents1日だけのクラシック音楽レストランへ」まであと1週間になった。ピアニストの追い込み練習は頂点に達しているようで、ラヴェルの「ボレロ」やメントリ第1楽章が繰り返し流れるのをよそ目に、僕はといえば先日から少々体調を崩していることもあり、ともかく体内に溜まったものを吐き出そうと、隣の部屋で毛布にくるまりながらとことん汗をかいた。お陰で随分すっきりした。途中、ピアソラの「リベルタンゴ」のピアノ伴奏部を聴くうち、記憶が遠のきわずかばかりの心地良い眠りに陥った。嗚呼、幸福なり。

南米は未知の土地である。結構世界中を旅した経験はあるものの、南半球には一度も縁がない。いずれは、オーストラリアはもちろんのことアフリカやラテン・アメリカにも足を延ばしたいと思っているが、さていつのことになることやら。

オーストラリアのアボリジニーの音楽やアフリカ大陸の民族音楽や、南米のフォルクローレなどに興味を持ったのは比較的最近、とはいっても1990年代の中頃のことである。特に南米ものについてはまだまだ知識の幅は狭いものの、とても興味深く、僕の心をとらえて離さない。実は、かつてイベント会社時代に一度だけ濱田滋郎先生とお会いする機会があった(それは前にも書いた「中南米フェスティバル」というもので、高輪プリンス・ホテルでの「タンギッシモ」公演をピークに中南米クラシックやポピュラー音楽コンサートを数日にわたって繰り広げたイベントにおいてだった)。それは、タンゴ界の巨匠ロベルト・ゴジェネチェやネリー・バスケスなどそうそうたるメンバーが名を連ねた一世一大のイベントで(日本ではそれほど話題にならなかったが、本国アルゼンチンでは大変な騒ぎだったようだ。それについては当時のプロデューサーだった本田さんのブログに詳しい)、その公演の評論を書くためにおそらく招かれていた先生に、少しばかりお話を伺うことができた。おそらくそのことがきっかけでラテン・アメリカやスペインの音楽に一層興味を惹かれたのだろうと思う。アンテナに引っかかった音楽をできるだけ聴こうと努力はするが、とはいえ、世界中の音楽を聴き尽くすというのは物理的に困難だ。

ところで、ジャニス・ジョプリンを聴いたのと同じ頃、サンタナという名のバンドの音楽を聴いた。その時は正直ピンと来なかった。しかし間もなく、ジャニスが亡くなるほぼ同時期に彼らが録音していたセカンド・アルバム「天の守護神サンタナ」を聴くに及び、この途轍もなく明るくポジティブなノリの作品に脳天を貫くほどの衝撃を受けた。

Santana:Abraxas(邦題:天の守護神)

何より、独特のリズムの上に絡みつくようににのっかるカルロス・サンタナのギターがたまらない。ラブ&ピースを標榜する70年代幕開けの、その時代にぴったりの音楽の波状攻撃だが、不思議と40年後の今でも新しい。

繰り返し聴けば聴くほどに忘れられなくなる作品・・・。
休日の午後に、まったりと・・・、と書いたものの、「まったり」どころか見事に覚醒させてくれるいわば「トリップ・ミュージック」。ピンク・フロイドとはまた違った雰囲気で・・・。ちなみに、このあたりの作品はジャケットのアートワークがまた素晴らしく、紙ジャケCDで所有するに限る。


4 COMMENTS

雅之

おはようございます。
9月11日の多治見でのコンサートについては、あえて事前情報をあまり知ろうとせず、真っ白な気持ちで実演に接したいと思います。かわいらしいパンフレットを眺めながら、すごく期待しております。岡本さんも重責なので、体調には気をつけてください。
聴くときの気温に相応しい音楽っていうものがありますよね。ご紹介のCD、今の時期にぴったり合いそうですね。本日のブログ本文内容についても、知らないことばかりでしたので、すべて勉強になりました。感謝です。
勉強不足で話題についていけませんでしたので、代わりに私が昨日楽しんだCDのご紹介を・・・。内容的には、10枚ほど持っているガムランのCDの中で、最も好きかもしれません。
「ガムラン変幻」スマラ・ラティ歌舞団
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AC%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%83%B3%E5%A4%89%E5%B9%BB-%E6%B0%91%E6%97%8F%E9%9F%B3%E6%A5%BD/dp/B00005GWBY
下のブログを読んで学び、実際に聴いて、その音楽的内容の充実と録音の良さに満足できました。
http://gamelan.blog.so-net.ne.jp/2006-01-24
ただ、これがSACDだったらもっといいのになあ!というのが残念なところではあります。

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんわ。
11日まであと少しになりました。
少し緊張してきました。がんばります。
ご紹介のガムランのCDは未聴です。しかし、最近、妻が「音浴じかん」の関係で俄然ガムラン、バリ島に興味を持ち始めまして、近いうちに訪れて生音を聴くことになるかもしれません。
以前コメントをいただいたガムランについての詳細情報いまだに重宝しております。
http://classic.opus-3.net/blog/cat53/post-162/
ありがとうございます。こちらこそ勉強になります。
多治見が最高気温を記録する理由、なるほどと思いました。
絶対的なものじゃないんですね、こういうものは・・・。

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