ベルクの7つの初期の歌

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先週末の「ワークショップZERO」での気づき。
才能開花のポイントは、いかに「不安」を打ち消して「勇気」を持って行動を続けられるかということ。「勇気」と「不安」はコインの表裏のようなもので、意識が内に向けば自ずと「不安」が生じ、意識が外に向けば「勇気」が湧く。純粋に人に喜んでもいたいという気持ちがあり、自分が「できること」で何かをやって差し上げることができるというだけで、才能の種が蕾と化す。詳しいことはあえて書かないが、やりたいことをやって自立するのはそんなに難しいことではない。それと、「不安」を打ち消してくれるのは「仲間」の存在。特に、人生のある時期寝食を共にし、切磋琢磨した友の存在は大きい。根っこにある信頼関係。単なるノウハウ的な意味でなく、人間関係構築力を磨くだけで状況が随分一変する。
インタビューを続けている。自立的に生きている人たちの特長はやっぱり「不安」がないということ。そして、幼い頃から親からともかく「否定されていない」ということ、つまり、何でもやりたいことをチャレンジさせてもらっているということ。才能の芽を摘まない教育って大切だ。

モーツァルトにせよベートーヴェンにせよ、天才音楽家は幼少時から「才能の種」を芽吹かすだけの教育を受けている(というより強いられていると言った方が正しい)。たとえそれが厳格で愛の不足するものであったとしても、音楽的才能を見出すや親は徹底的にその能力を伸ばすために例えば家庭教師をつけ、時には人前で演奏させるべく演奏旅行をこなす。誰でも最初から「天才」だったわけじゃないということだ。

親が才能に気づいてくれなかったなら、大人になってからでも遅くない、自分で探してみたらどうなのか?コミュニケーションを深くとり、自分を掘り下げ、できることって何なのか熟考する、それだけでヒントは生まれてくる。

マーラー:交響曲第4番ト長調
ベルク:7つの初期の歌
ルネ・フレミング(ソプラノ)
クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

実に久しぶりにマーラーでも聴こうかと取り出したが、やっぱりアバドは旧盤の方が良い。シュターデのあの歌唱は天使の歌声とは言えず、むしろ母なる宇宙の鳴動のように聴こえ、愛聴盤になって久しい。しかし、カップリングのフレミングが歌うベルクの7つの初期の歌の素晴らしさよ。作曲者が最高の出来と判断したライナー・マリア・リルケの詩による「夢の冠」は、とりわけ美しい。まだリルケについて知識が浅い大学生の頃、詩集を買って読んでみるものの、理解し難いフレーズが並び、読み解くのに苦労したことを思い出す。要は、考えるのではなく感じるしかないのだ。そのことに気づいたのは随分後になってから。

白い菊の花が咲く日だった。
私はその花のあまりの輝きに驚かされた。
そしてその時、真夜中にあなたが私の魂を奪いに
現れたのだ。

あの頃の記憶と錯綜し、何ともいえぬ憧憬の想いがこみ上げる。


3 COMMENTS

岡本 浩和

>雅之様
こんにちは。
このCDは良さそうですね。
ご紹介ありがとうございます。
聴いてみます。

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アレグロ・コン・ブリオ~第3章 » Blog Archive » 人魚姫

[…] マーラーがアルマ縁の第5交響曲初演の棒をとったのが1904年10月18日(ケルンにて)、そして翌19日にはアムステルダムでコンセルトヘボウを相手に第4交響曲を演奏(同日メンゲルベルクも棒を振り、一晩で2回演奏されたらしい)。12月14日には第3交響曲をウィーンで初演、翌年1月29日には、管弦楽伴奏による「亡き子をしのぶ歌」、「リュッケルトの詩による4つの歌曲」が初演される。作曲家としても指揮者としても超多忙な日々を送っていたマーラーの全盛期(1905年11月9日にはライプツィヒで例のピアノ・ロールを収録する)。 […]

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