天の邪鬼な僕はジョン・レノンの命日に「イマジン」は聴かない

stravinsky_pulcinella_boulez.jpg本日の朝日新聞夕刊第一面の「素粒子」。
「世界中で今日どれだけの人がイマジンを聴くだろう。ジョン・レノンが凶弾に倒れて30年。」

天の邪鬼の僕は絶対聴かない(笑)。ジョン・レノンというと「イマジン」という図式がそもそも気に入らない。確かに名曲である。音楽も歌詞も素晴らしい。誰もが認める代表曲であることは間違いない。でも、この歌はあくまでジョンのいくつもある人格のわずか数%にしか過ぎない。

「イマジン」が1971年にシングル・リリースされた時、B面には同じアルバム”Imagine”から”It’s So Hard”が収められていた。僕ならあえてこちらのジョンを聴く。ジョンの心の叫び・・・。ジョン・レノンは決して神様ではない。これ以上人間っぽい男はいないのではないかと思えるほど人間臭い。歌詞もさることながら、聴きどころは、この録音の直後に刺殺されたキング・カーティスの力強くも哀愁感漂うサックス・プレイ。

生きなきゃ、愛さなきゃ、偉くなれよ、髭を剃れよ
でも、きついよ。本当にしんどいんだ。
時々滅茶苦茶落ち込んでしまう。

食べなきゃ、飲まなきゃ、感じろ、心配しなきゃ
でも、きついよ。本当にしんどいんだ。
時々滅茶苦茶落ち込んでしまう。

それでも、良い時は最高に良い感じなんだ。
ただし、君を抱擁している時だってひどく憂鬱になってしまう。
~John Lennon “It’s So Hard”

ところで、昨日聴いたストラヴィンスキーの「エボニー協奏曲」に触発され、今日は「プルチネルラ」。それも、ちょうどジョン・レノンが暗殺された同時期に録音されたブーレーズ盤で。

ストラヴィンスキー:
・バレエ「プルチネルラ」全曲(1980.12録音)
アン・マレイ(メゾ・ソプラノ)
アントニー・ロルフ=ジョンソン(テノール)
サイモン・エステス(バス)
ピエール・ブーレーズ指揮アンサンブル・アンテルコンタンポラン
・交響詩「うぐいすの歌」(1981.6録音)
パトリース・フォンタナローザ(ヴァイオリン)
パトリック・ガロワ(フルート)
ベルトラン・グレナー(オーボエ)
イヴ・クェッフ(トランペット)
ピエール・ブーレーズ指揮フランス国立管弦楽団

時代の寵児として君臨していた若きストラヴィンスキーの、実に「優しい」傑作。今年生誕300年を迎えたペルゴレージの音楽(後の研究で実際には他の作曲家の作品も混じっているが)をセルゲイ・ディアギレフの委嘱によりストラヴィンスキー風にアレンジした美しい作品。歌詞は強烈だけど・・・(何だかJohnが書きそうな詩だ・・・笑)。John Lennonに乾杯!

男「女は悪魔より賢い と人は言うが
こいつは 真実だ まったく真実のことだよな」

女「もしも あなたが わたしだけを想ってくれるのなら
やさしい羊飼いさん わたしはあなたの愛を 悦びます
でも だからといって わたしが愛するのは あなただけ
なんて考えないでちょうだいね
羊飼いさん きっと そんな考えが間違いだってこと すぐにわかるはず」

男「愛の焔に燃える瞳よ おまえのために 悩めるわが心よ・・・」
~「プルチネルラ」(訳:秋山邦晴)


4 COMMENTS

雅之

こんばんは。東京から戻りました。
>生きなきゃ、愛さなきゃ、偉くなれよ、髭を剃れよ
でも、きついよ。本当にしんどいんだ。
時々滅茶苦茶落ち込んでしまう。
「プルチネルラ」、一度聴いたら忘れられない超個性的なクレンペラー指揮の名演・名盤で、美しいブーレーズの演奏に対抗します(笑)。
『ペトルーシュカ』『プルチネルラ』 クレンペラー
http://www.hmv.co.jp/product/detail/124455
・・・・・・ハンブルクの指揮者時代に、クレンペラーはある女性オペラ歌手と不倫関係となった。その歌手と共演し帰宅した際、待ち伏せしていた不倫に怒った相手の夫(指揮者)から棍棒で打たれた。次のステージに頭に包帯を巻いてピットに現れたところ、客席からはブーイングとヤジが飛び出した。クレンペラーは客席に向かって怒鳴った。「俺の音楽が聴きたくないやつは出ていけ!」・・・・・・ウィキペディア 「オットー・クレンペラー」〈逸話〉の項より
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%BC
海老蔵よ、負けるな!頑張れ!! 

返信する
岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
東京出張お疲れ様でした。
ご紹介のクレンペラー盤、未聴ですが興味深いですね。特に、晩年のクレンペラーの表現はまったく想像不可能ですからぜひとも聴いてみたいです。ありがとうございます。「プルチネルラ」もそうですが、「ペトルーシュカ」も面白そう・・・。
>海老蔵よ、負けるな!頑張れ!! 
うーん、これはどうでしょう(笑)。僕は自業自得だと思います。

返信する
雅之

>僕は自業自得だと思います。
ごく「常識的」なご意見ですね(笑)。それでは話が膨らまないですよね(笑)。
コメント欄で我々が過去話題にしてきた、「ベートーヴェン秘密諜報部員説」や、「日航123便事故」
http://www.jalcrew.jp/jca/welcome/press_release/08112010.html
での「深読みアプローチ」から比較すると、あまりにもステレオ・タイプなご意見で、がっかりです。
私は、海老蔵事件でのマスコミの過剰な報道ぶりからは、国家権力だか黒幕だかが、何か重大な事実から国民の目を逸らそうとする意図の臭いが、ぷんぷんしてきますが・・・。
例えば、「海老蔵礼賛掲示板」というサイトには、下のようなご意見がありましたが、私は、とても説得力がある説を含んでいると思い感心しました。
■癒着 投稿者:すみれ 投稿日:2010年12月 9日(木)12時40分43秒
マスコミのバッシングがあまりにも異様です。海老蔵さんを半殺しの目に合わせた元暴走族とやらとマスコミがグルだとしか思えない報道です。飲食店関係者の証言ばかり強調して報道されることから飲食店自体も非常に怪しいです。診断書を出したという医師とその医師を取材しテレビで映像放映している報道陣は犯人隠匿罪に当たらないのでしょうか。警察もいつまでも逮捕せずにバカみたいに犯人の出頭待ち状態というのも不可解です。これらのことから、おそらく三者が癒着しているのだと感じます。
中川蔵相の酩酊会見のように、マスコミが闇勢力を使ったり海老蔵さんの知人に成りすました人間を送り込んで、今回の事件を仕組んだ可能性すら感じます。今回は日本の伝統芸能、ちょっと前は日本の国技である相撲、と立て続けに日本の文化の象徴的存在を叩きまくっていることから、反日勢力が深く関与している可能性も感じます。恐ろしいです。
http://6323.teacup.com/tabu_2002/bbs

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
確かに「常識的」なコメントでした(汗)。
ご紹介の投稿文を読んでみると、なるほどと思いました。
そういわれると何かありそうですね。
クリティカル・シンキングは忘れちゃいけませんな。肝に銘じます。
ありがとうございます。

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