グラーフ&カルミナ・トリオのモーツァルト四重奏曲K.285ほか(1988.1録音)を聴いて思ふ

モーツァルトって良いですねと皆さんおっしゃる。実際、モーツァルトは良い。
モーツァルトは不滅だ。

1777年のクリスマス。フルート四重奏曲第1番ニ長調K.285完成。
同年12月10日付、父レオポルト宛の手紙には次のようにある。

翌日ぼくは、いつものように、ヴェンドリングさんのところへ食事に行きました。するとヴェンドリングさんがぼくに言いました。「例の(西)インドの人(これは自分の財産で暮しているオランダ人で、すべての学問を愛好し、ぼくの大の友人であり、崇拝者である人ですが)、この人はとても貴重な人物です。あなたがこの人のために、フルートのための小さな、やさしい、短い協奏曲を3曲と、四重奏を2,3曲作曲して下さったら、200フローリーン差し上げると言います。
(1777年12月10日付、マンハイムのモーツァルトからザルツブルクの父レオポルト宛)
柴田治三郎編訳「モーツァルトの手紙(上)」(岩波文庫)P102

短い期間で書かれた四重奏曲K.285は、豊かで美しい旋律に溢れ、音楽は極めて画期的。
21歳のモーツァルトの生気が見事に伝わる傑作だ。とはいえ、この時に仕上げられた作品は、実際にはフルートを含む四重奏曲3曲と協奏曲2曲で、96フローリーンをもらっただけだったそう。悲しいかな。

モーツァルト:
・フルート四重奏曲第1番ニ長調K.285
・フルート四重奏曲第2番ト長調K.285a
・フルート四重奏曲第3番ハ長調K.Anh.171(285b)
・フルート四重奏曲第4番イ長調K.298
ペーター=ルーカス・グラーフ(フルート)
カルミナ・トリオ(カルミナ四重奏団メンバー)
マティーアス・エンデルレ(ヴァイオリン)
ウェンディ・チャンプニー(ヴィオラ)
シュテファン・ゲルナー(チェロ)(1988.1.7-9録音)

イ長調K.298第1楽章は変奏曲だが、牧歌的なほのぼのとした旋律が柔らかく美しい。続く、第2楽章メヌエットの明朗さ、あるいは終楽章ロンドーの軽快な遊びの精神に、モーツァルトは(少なくとも音楽を創出するとき)常にセンス(感覚)にリーチできた人だったのだと確信する。天才だ。

久しぶりにグラーフを聴いた。
縦横に楽器を操る、雅な音色に心が癒される。

 

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