ドヴォルザークとシューマン

dvorak_schumann_p_quintet_abq.jpgドヴォルザークやグリーグの音楽は聴いていてまったく疲れを感じさせない。とても自然で、メロディも美しく、入門者であろうとそこそこの玄人筋であろうと、追究すればするほど実は「はまる」要素を秘めている(ように僕は思う)。

O夫妻とY夫妻との恒例のお食事会。昨年末に開催予定が、事情により本日のランチ。ということで、二子玉川の「SHUTTERS」で美味しいイタリアンのコースをいただいた。例によってワーグナーやR.シュトラウスのオペラの話からベートーヴェンの後期ソナタの話、など話題は尽きない。2時間半ほどの時間があっという間に過ぎる。

帰宅後、ここ数日の流れからアルバン・ベルク四重奏団とブッフビンダーによるドヴォルザークのピアノ五重奏曲を聴きながらうっとりした。ついでに(海賊盤だろうが)アルゲリッチがアッカルドほかと演奏した実況録音盤の同曲を聴き、そのテンションの違いに驚きつつもやっぱりこれは名曲だと確信。ABQによるこの音盤にはシューマンの五重奏曲も収められており、こちらも素敵な演奏で、しばらく聴き惚れた。そういえば、第43回の「早わかりクラシック音楽講座」まであと1週間であることに気づき、そろそろ講座の構成をどうするか、何の曲をどれくらい採り上げるか決めねばと、しばらくロベルト&クララ・シューマンについて考えた。文献をざっと読み返してみると、この2人の出逢いから結婚に至るまでの過程には紆余曲折、様々な事件があり、それもいつ何が起こったか日付までもが極めて正確に残されており、下手な恋愛小説を読むより余程面白い。

1840年、「歌曲の年」。1841年、「交響曲の年」。そして1842年、「室内楽の年」。と、正式に結婚が認められた直後のシューマンの創作意欲には目を見張るものがある。その後、天才ピアニスト、クララ・シューマンの随伴者としてしか認識されない自分に嫌気がさし、少しずつ精神を病んでいくロベル
ト。この感情のアップダウンこそが、良くも悪くもロベルト・シューマンの音楽の根底に流れる特長であり、善悪も陰陽も、プラスマイナスもない「包括されたもの」を表している(と僕は思う)。

いずれにせよ、ロベルト&クララ・シューマンについて勉強するのは極めて興味深い。来週の講座が楽しみだ。

ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲イ長調作品81
シューマン:ピアノ五重奏曲変ホ長調作品44
ロベルト・ブッフビンダー(ピアノ)
フィリップ・アントルモン(ピアノ)
アルバン・ベルク四重奏団

音楽の創作行為が感情の発露であるとするならシューマンの作品ほど陰影に富み、聴く者を上げたり落としたりしてくれる音楽はそうそうない。比較するものでも
ないが、ある見方をすればドヴォルザークの作品などはあまりに能天気(に聴こえる)。感情を見事にコントロールし、自身が確かだと信じる作品だけを発表するドヴォルザークに対し、感情の垂れ流し的な様相を見せるシューマン。この際どちらが天才かなどと野暮なことは言うまい。どちらも凡人でない、ミューズに選ばれし者だから。

ちょうど今、クララのピアノ作品集を聴きながらこれを書いている。嗚呼、美しい・・・。


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
>比較するものでもないが、ある見方をすればドヴォルザークの作品などはあまりに能天気(に聴こえる)。
もしクラシックの作曲家で友達になれるなら、ドヴォルザークがいいです。元祖「鉄ヲタ」で、男同士のヲタ会話で盛り上がりそうだから!!(鉄子は来ないでね)
もしドヴォルザークに会えたら、あのCDをプレゼントしよっと!!
鉄オタ・クラシック~オーケストラ曲編 スターレク&カイザースラウテルン放送管
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3786889
このCDの楽しさ、時代的にもシューマン先生じゃあ、わかんねえだろうなあ(笑)。もちろん、ドヴォ先生の作品も入っています。
ご紹介のCDについては私も愛聴盤なので同感です。二人の作曲家の作風、対比すると確かに面白いですね。
なお、シューマンについては、最も最近の実演経験は、東京在住時代に聴いた、田部京子(p)カルミナ四重奏団 によるものです。とても感動しました。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2691141

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
またニッチなCDを・・・。(笑)
しかし、面白そうですね。僕は鉄道については素人ですが、こういう音楽集は興味深いです。ご紹介ありがとうございます。
>最も最近の実演経験は、東京在住時代に聴いた、田部京子(p)カルミナ四重奏団 によるものです。とても感動しました。
羨ましいご体験です。名古屋に戻られる直前の演奏会ですよね。ちょうど初めてお会いした頃のことですが、あれから3年近く経つんですね。早いものです。

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