一条の光

2007年も3分の2が経過し、いよいよ9月の到来である。
本年本月は北欧の生んだ巨人シベリウスの没後50年の節目。いつぞやの日記にも書いたが、シベリウスの音楽はとても静謐で、後期の作品になればなるほど凝縮された厳しさとそうであるが故の「精神性」、「宇宙的広がり」をもつ傑作揃いである。彼は玄人好みの作曲家で、(特に後期の作品などは)初心者にはおいそれと薦められない楽曲が多いといえば多いのだが、思い切って「シベリウスの世界」に飛び込んでしまうのも逆に面白いかもしれない。
ところで、彼は初期の「クレルヴォ交響曲」を含めると合計で8つの交響曲を書いているのだが、ベートーヴェンと同様そのいずれもが名作で、クラシック音楽を聴く上で避けて通れないシンフォニストだと僕は思っている。ベートーヴェンの最後の交響曲、第9はご存知のように当時としては異例の大きさを持った楽曲であるのに対し、シベリウスの最後の第7交響曲はある意味極限まで凝縮した「単一楽章」による大傑作。ここで「ある意味」と書いたのは同じ「極限」でも新ウィーン学派といわれるアントン・ヴェーベルンのような楽曲になるとやり過ぎ、突き詰めすぎという感が否めないからだ。(ヴェーベルンの音楽も僕は決して嫌いじゃないが・・・)

シベリウス:交響曲第7番ハ長調作品105
パーヴォ・ベルグルンド指揮ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

姿・形は違えども、先に紹介した第6交響曲とほぼ同時に生み出された「双生児」交響曲。その性格は相似形。夜明け直前の漆黒の闇の中からの一条の光にも似た「宇宙の深遠さ」を感じさせる緊張感のある音楽である。

⇒旧ブログへ


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む