全脳的生き方のススメ

bill_evans_sunday_at_the.jpg久しぶりに一日家の中で過ごす。とはいえ、10月はイベント目白押しで、やらなければならない(考えなければならない)ことが多く、ぼーっとするわけにもいかず、朝からPCに向かっては資料を作成したり、参考文献を読んだり、あるいは机の上に買ったまま積んである書籍のいくつかを同時に読み進めたり、と頭の中はいつも以上に忙しい。

ダニエル・ピンク著(大前研一訳)「ハイ・コンセプト~『新しいこと』を考え出す人の時代」を読む。残念ながら大前氏の邦訳の出来は相変わらず決して良いものとは言えない(英語ができるなら、おそらく原書で読んだ方が良さそうです)が、「全体の調和」や「共感」、「生きがい」などのキーワードで表現された「感性」について、そして全脳的なものの見方、生き方ができるようになることが重要だということが詳細に述べられており、なかなか面白い。何だか、僕自身が愚直に追い続けてきたことが、ようやく花開くのではないかという期待と、まさに「人間力向上セミナー」において提示しようとしていること(それも理屈や理論ではなく体感的に-すなわち座学ではなく、体験実習を通して)とほぼ同じことがわかりやすく書かれており、読んでいて嬉しくなった。最近では、セミナーを実施するたびに、受講生の方々の反応から「間違いなく人間にとって大切な本質を知り、体得できる」ものを提供できているという自負と自信があり、一人でも多くの方に知っていただきたいと密かに思っている。

ダニエル・ピンクのこの本を読んでいて、思い出したのがこの音盤。

Bill Evans Trio:Sunday At The Village Vanguard

Personnel
Bill Evans(p)
Scott LaFaro(b)
Paul Motian(d)

Bill Evansが黄金のトリオを率いてNew YorkのVillage Vanguardにて伝説のパフォーマンスを行ったのは1961年6月25日。そのライブ・パフォーマンスの直後に事故により急逝するScott LaFaroのうねりのベースが全面的にフューチャーされた、「Waltz for Debby」と対を成す奇跡の名盤。

ところで、ピンクは、これからの時代に求められる「6つの感性(=センス)」を次のように定義している。
1.「機能」だけでなく「デザイン」:すなわち「実用性」と「有意性」の組み合せ(=古典的な全体思考能力)
2.「議論」よりは「物語」:誰もが瞬時にアクセスできる「事実」を文脈に取り入れ、「感情的インパクト」を相手に伝える能力が重要
3.「個別」よりも「全体の調和(シンフォニー)」:バラバラの断片を統合する力(誰も考えなかったような要素の組み合わせから新たなものを創造する力)
4.「論理」ではなく「共感」:相手の状況に自分を置き換えて考えられる能力、そしてその人の気持ちを直感的に感じ取れる能力
5.「まじめ」だけでなく「遊び心」:遊び心があると右脳が活性化する(左脳には限界があるが、右脳には限界がない)
6.「モノ」よりも「生きがい」:人間を動かす動機は「生きがいを追及すること」

何だか、Bill Evans の率いた、この歴史的なトリオに上記の全てが含まれているように感じる。ちなみに、この日のパフォーマンスの全貌が収められた超オススメのCDセットもある。

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