爽やかな夜風~ボッケリーニ

boccherini_esterhazy.jpg9月も半ばになると随分涼しくなり、都会の喧騒の中にいてもふと耳を澄ますと虫の鳴き声などが聴こえてきて何だか落ち着いて気持ちが良い。南の方から台風が迫ってきているらしく日中は鬱陶しい雨模様だったものの、黄昏時にはすっかり晴れ上がり、不思議な玄妙感を漂わせている。
リーマン・ブラザーズの経営破綻が原因かどうかはわからないが、今週は心身の不調を訴える人が多いようだ(あくまで僕個人の周辺での出来事なので、一般論ではないが)。つい先年、ライブドアがフジテレビ株を買収した際に金銭的支援を買って出たのがリーマン・ブラザーズだったことを思い出してみると、まさに因果応報、お金の持つ力の怖さを今更ながら思い知らされる。働かずして、楽してお金を稼ごうとする行為は良いときもあるだろうが、最終的には損をすることが多いと聞く。自己責任といえばそれまでだが、為替にせよ株価にせよ自分とは全く関係のないところで起こっている事柄が原因で上下するのだから、これほど怖いものはない。まさに博打!これまでもそうだが、投機に失敗して大損失を被り、自らの命を絶つような人も出るわけだから、資本主義というのはやっぱり恐ろしいシステムだとつくづく思う。こういうエネルギーに世界の人々が一喜一憂して踊らされている様を見ると、人間って愚かなもんだなと妙に客観的になってしまう自分を発見する。

世間の狂騒を一顧だにせず、あぶく銭稼ぎなど考えず、額に汗水たらして働くことが健全。軸をしっかりと、だ。

自分のことがわからなくなったり、何だか落ち込んでしまった時に聴くと良い音楽。

ボッケリーニ:弦楽四重奏曲作品32(全6曲)
エステルハージ四重奏団

ハイドンやモーツァルトと同時代を生きたルイジ・ボッケリーニの音楽は早秋の今頃、それも雨上がりの爽やかな風を伴った涼しい時期にとてもよく似合う。ハイドンの音楽よりも軽快で(南国イタリア的ということか・・・)、モーツァルトのそれよりも高尚で明るい(能天気?!笑)ボッケリーニの音楽は、繰り返し何度聴いても耳に邪魔にならず、しかも心に真っ直ぐに訴えかけてくる不思議な力を持つ。
僕の好みでは四重奏曲より五重奏曲(通常の四重奏編成にチェロをもう一挺加えた形が100曲を超える!)に軍配が挙がるが、このヤープ・シュレーダーを第1ヴァイオリンに据えた、エステルハージ四重奏団のピリオド楽器による演奏は極めてレベルが高く、録音も万全の万人にオススメの音盤(今から30年前の録音とは!)。

今日一日で何回繰り返したろうか・・・。

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