カエターニ指揮ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ響 ショスタコーヴィチ第4番(2004.3Live)ほかを聴いて思ふ

レッド・ツェッペリンの進化。アルバムをリリースするたびに彼らの音楽は激しくも神々しいものに深化していった。文字通り「神々とのつながり」を認識させる、決して廃れることのない傑作の連続体。はじまりは、”Good Times Bad Times”。シンプルでありながら、巨大な熱量に20歳の僕はのけ反った。また、”Babe I’m Gonna Leave You”の抒情に僕は即座に感化された。名作”Dazed And Confused”にはもちろんいまだにひれ伏す思い。

・Led Zeppelin (2014 Deluxe Edition)

Personnel
Robert Plant (lead vocal, harmonica)
Jimmy Page (electric guitar, acoustic guitar, pedal steel guitar, backing vocal)
John Paul Jones (bass, organ, backing vocal)
John Bonham (drums, tympani, backing vocal)

痺れる。

レッド・ツェッペリンの音楽を大きく凌駕する強烈な破壊力。
聴けば聴くほど、音楽をものにすればするほど、彼の美学に翻弄されつつもその魅力に憑かれる摩訶不思議。もしもプラウダ紙の批判なく、この作品が予定通り初演されていたとするなら、あるいは、もしも彼に真の勇気があり、粛清を恐れることなく、自身の感性にのみ基づいた作品を生み出し続けていたとするなら、音楽の歴史は随分と変わっていただろう。

しかし、ソヴィエト連邦なくして、また、スターリンの恐怖政治なくして、ドミトリー・ショスタコーヴィチの音楽はなかった。脅威と恐怖、そして抑圧が混淆するゆえの、同時に反骨の精神が宿るがゆえの爆発力に唖然とせざるを得ない。

電気を通さずとも、自然音でこれほどまでの巨大な音塊が荒れ狂う様に、僕の耳はいつも悲鳴を上げる。しかし、心魂は常に震え通しなのだ。

夜が明け始める頃、一睡もせず、明かりを消すこともなかったモスクワの街を、上り坂になったトヴェルスカヤ通り沿いに何千人もの騎馬兵が列をなし、舗装された道路に蹄の音を高く響かせながら行進して、その場にいる者をみな蹴散らし、建物の入り口やショーウインドウに押しつけて窓ガラスを割った。赤いバシュリークの先がグレーの背中で揺れ、槍の先が空に向かってそびえていた。どこもかしこも混乱を極めている街を切り裂くように、列を組んでどんどん前に進んでいく騎馬兵を見て、それまで走り回ったり叫んだりしていた群衆はあっという間に生気を取り戻した。歩道にいた人々は期待に満ちた大声を上げた。
「運命の卵」
ミハイル・ブルガーコフ/増本浩子、ヴァレリー・グレチュコ訳「犬の心臓・運命の卵」(新潮文庫)P361-362

ブルガーコフの奇想天外な物語は、そのままショスタコーヴィチの音楽にも通じる体制への痛烈批判を秘めたものだ。

オレグ・カエターニの演奏が実に生々しく、素晴らしい。唯一無二の絶品だ。

ショスタコーヴィチ:
・交響曲第4番ハ短調作品43
・未出版楽章断片
オレグ・カエターニ指揮ミラノ・ジェゼッペ・ヴェルディ交響楽団(2004.3Live)

僕は特に終楽章ラルゴ、アレグロの美しさに歓喜する。
ここには、チャイコフスキーの「悲愴」交響曲終楽章をおそらく模範としながら、そんな枠組みを一挙に超えたショスタコーヴィチの天才的創造力が横溢する。何より指揮者の思念の刷り込みが素晴らしい。

破壊と創造のドラマ、あるいは、死と生を克明に描く音劇。
ちなみに、未発表の楽章断片が収録されている点は嬉しい限り。

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