バイロイトの第9新音源

beethoven_9_1951_furtwangler.jpg戦後バイロイト音楽祭の再開を記念して、バイロイト祝祭劇場の舞台上で初めてワーグナーの楽劇以外の音楽が流れた、その記念すべき大舞台の指揮者に指名されたのがヴィルヘルム・フルトヴェングラーその人である。57年前の今日、ベートーヴェンの第9 交響曲により幕開けした「バイロイト音楽祭」はヴィーラント・ワーグナーの「新バイロイト様式」と称される画期的、抽象的な演出によりしばらくの間物議を醸すことになるのだが、いまや古典と化した彼の演出も当時の一般大衆や旧態依然とした考えの一部の評論家や音楽家などには理解しがたい代物だったのだろう。古い殻を破る勇気のある芸術家(芸術家に限った話ではないが)はいつの時代も槍玉にあげられる-グスタフ・マーラー然り、古くはモーツァルト然り・・・。
画期的、革新的なものをその時代の人々の大半は煙たがるのだが、結局人間というのは「自分自身の概念を超えるもの」、つまり理解できないものは拒絶しようとする。でも、「その理解できないもの」の中にどれだけの真実が隠されているのだろうか・・・。小さい器の中に収まりきらない「もの」はいくつもある。そもそも人間が見えていること、聴こえていること、その全てが宇宙のごくごく一部に過ぎないのだから。

ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調作品125
エリザベート・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
エリザベート・ヘンゲン(メゾソプラノ)
ハンス・ホップ(テノール)
オットー・エーデルマン(バス)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団

昨秋、突如発売されたバイエルン放送音源の新発見音盤!50年以上もの間最高の第9と評されてきた「フルトヴェングラー&バイロイトの第9」とは明らかに違う演奏であるゆえ、評論家や一般愛好家の中で賛否両論、様々な見解が今でも戦わされているが、音質、演奏ともども十分で、いわゆる従来のバイロイト盤との優劣を云々してもしょうがないように僕は思う。少なくともフルトヴェングラーの遺した最高の、そして圧倒的な演奏であることには間違いないのだから、彼の新しい音源が発売されたくらいの気持ちでじっくりと耳を傾けるのがよい・・・。やはり不滅の記録である。願わくばライブそのままに、つまり最初と最後の拍手など聴衆の反応もしっかりと収録しておいてもらいたかった・・・。

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