泣く子も黙る・・・

bruckner_8_uno.jpg19:00からの大崎のとある企業での「リーダーシップ研修」に備えて朝から気持ちを鎮め、そして意識を鼓舞するためにゆっくりした。毎度毎度そうなのだが、研修というのはLive感がとても大切で、その日その時、その場にいらっしゃる受講生の状態や反応にあわせて都度話の内容を変えたり、適宜pauseを挟みながら切り盛りしていくのがベストだと僕は考えている。それゆえ、事前に頭で描いた通りには大抵ならず、その瞬間瞬間に閃いたことを俎上に乗せながら相手の反応を確かめ動いていくことが重要になる。いつも緊張感いっぱいの「舞台」といえばいいのだろうか・・・。
「緊張感」といっても良い意味のものだから、20年近くやってきた講師稼業もそういう「プレッシャー」があるから面白くて辞められないんだとも思う。

今日も20数名の中間管理職の方々を前に、僕なりの「ビジョン設定論」と「コミュニケーション論」を多少のワークを交え、語らせていただいた。3時間弱の研修ゆえ、それほど深いレベルまでコミットはできなかったが、8割以上は予定していたことがお伝えできたと思うので良しとする。

そういえば、指揮者(指揮者に限らないが)も舞台の一度一度が「緊張感」いっぱいの勝負どころであり、どんなに老成した芸術家といえども100%の完成度を誇ることはまずないと聞く。ムラヴィンスキーなどリハーサルに途轍もない時間をかけたというし、我々凡人からすると究極の名演奏だろうと思わせてくれた舞台に接しても、どうやら本人は納得ゆかず、次回の公演までにはさらに勉強し、自己練磨し新たなステージに臨む姿勢を一秒たりとも忘れないというのだから大したものである。天才とは1%の才能と99%の努力とはよく言ったものである。

泣く子も黙る何とやら・・・。自分自身を鼓舞するために出掛けに聴いた音楽・・・。驚かないでください(笑)。

ブルックナー:交響曲第8番ハ短調(ノヴァーク版)
宇野功芳指揮新星日本交響楽団(1992.4.9Live)

何と!宇野先生指揮するブル8。ゲテモノ扱いすることなかれ。宇野さんがオーケストラを指揮した音盤はおそらく全て所持していると思う(あくまで一般に販売されたものに限るが)。昨今はアンサンブルSAKURAや日大オケなどアマチュアを中心に活躍されているようだが、新星日響との一連のコンサートのライブはそれなりの説得力があり、少なくとも会場で生音を聴く限りでは価値あるものだと思う。そうはいうものの、実際僕はいつだったかベートーヴェンの第9を聴いて、面白いと思った反面ある意味失望し、それ以降実際のコンサートには足を運ばなかったのだから決して偉そうなことはいえないが・・・。
ただし、このブルックナーの第8交響曲だけは別格の高みに達している演奏だと僕は感じるのだ。今や、朝比奈盤、ヴァント盤を筆頭に様々な名盤が残されているのであえてこの宇野盤に言及することもないといえばないのかもしれないが、久しぶりに取り出して聴いてみて、のけ反るような感動を与えてくれたものだから、これは本物だろうと考え、この文章を書き出した次第である。
とにかくいつもの宇野節(極端なデフォルメなど)が影を潜め(随所随所にはもちろんありますが)、安心してブルックナーの孤高の世界に没入できるところが素晴らしい。クナッパーツブッシュからの影響、シューリヒトからの影響、朝比奈からの影響、宇野さんがこれまで口を酸っぱくして賞賛されてきた演奏の折衷という見方も確かにできるかもしれない。しかしながら、そういうことを抜きにして純粋に耳を傾けてみよう。おそろしい感激が待っているから。
実演に接さなかったことが悔やまれる・・・。

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