アルヴェ・テレフセン サロネン指揮スウェーデン放送響 ラーション ヴァイオリン協奏曲ほか(1993.6&8録音)

その土地が醸す雰囲気というものがれっきとある。
人が環境に影響を与えるのか、その逆なのかわからないが、確かにすべてがつながっていて一つなのだと実感する。僕たちは間違いなくシステムの中にあるということだ。

未知の作品を掘り起こす興奮。
しかし、大抵がどこかで聴いたような旋律やリズムに満ちる。ヤルマル・グッルベリの物語詩「偽りの神」の音楽は、ワーグナーのジークフリート牧歌の如し。冒頭から何と懐かしさに溢れるのだろう。
北欧の冷たい空気と、人々の温かな心が交わる自然と人間の叡智が汲み出す音の力。緻密なサロネンの棒がまた素晴らしい。

ラーシュ=エーリク・ラーション:
・偽りの神作品24(1940)
ヒレヴィ・マッティンペルト(ソプラノ)
ホーカン・ハーゲゴール(バリトン)
エーランド・ユーセフソン(語り)
スウェーデン放送合唱団(マット・ニルソン合唱指揮)
・田園組曲作品19(1938)
・ヴァイオリン協奏曲作品42(1953)
アルヴェ・テレフセン(ヴァイオリン)
エサ=ペッカ・サロネン指揮スウェーデン放送交響楽団(1993.6.14-17&8.20録音)

エーリク・ラーションを僕は初めて聴いた。
「田園組曲」の澄んだ浪漫の薫る音調が何とも美しい。それは決して表面的なものではない。まるでイングマール・ベルイマンが描く物語のように綿密だ。
ラーションはアルバン・ベルクに師事したが、ワーグナーの影響もありそうだ。第2曲「ロマンス」がむせび泣く。

残るヴァイオリン協奏曲は、少々毛色が違う。高踏的な、哲学的な、20世紀の、やはりベルクから受けた影響が刻印されるのだろうか、独奏も伴奏も最高の出来。ちなみに、1929年にベルクと出逢ったときのことを、ラーションは次のように語っている。

とても優しい人だった。わたしが携えていた自作の交響曲、演奏会序曲、その他数曲の楽譜をパラパラめくると、彼は、「なぜ私のところに来たのかな?」と怪訝そうにたずねた。わたしは答に窮したが、ともかく、彼はわたしを温かく迎え入れ、勉強にとりかかってくれた。時代の最先端に一直線に投げ込まれ、彼の作曲の方法をいささかでも学ぶのだろうと思っていたものだから、その指導法には驚いたのなんの。予期していたようなことはちっとも教えず、かわりに、いくらかの主題を書き、変奏の技法を勉強しろとのこと。時折、わたしが大胆なことをしたりすると、彼はすぐに、「この脈絡では、それはおかしい」と、指摘してくれた」
(1963年のラジオ・インタヴュー)

基礎を変奏によって培う方法は、確かブラームスもそうだったのでは?
第1楽章モデラートの強固な意志、第2楽章アンダンテ・パストラーレの安寧、終楽章レントは、独奏ヴァイオリンが絶品で、音楽が宙を舞い、踊る。

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