初夏の匂い~R.シュトラウス

strauss_sonate_chung.jpg5月も半ば。ちょっと前の嘘のような寒さも過ぎ去り、今日は随分暖かい。ふと急に話がしたくなってTに電話をしたら見事に新宿にいた。2月にセミナーのヘルプをしてもらって以来だから実に3ヶ月以上ぶりだ(先日のHのお通夜のときに一瞬顔は合わせたが・・・)。三越の裏にあるLionでビールをジョッキ1杯だけ飲みながら、小1時間ほどお互いの近況報告をし、語った。彼はいつも良いアドバイスをくれる。今日も「人間力向上セミナー」の集客宣伝方法「いかに内容をわかりやすく伝えるか」について一言。
セミナーのコンテンツそのものは問題なし(確かにセミナーそのもののコンテンツ作りには自信があるし、かつファシリテートにも相応の自負をもっている)。しかし、どんなに良いものであっても顧客あってのことゆえ、いかに一般の方々にわかりやすく内容を伝えるかを専門的に考える必要がある、という。当たり前のことなのだが、謙虚に耳を傾ける。

リヒャルト・シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ変ホ長調作品18
チョン・キョン=ファ(ヴァイオリン)
クリスティアン・ツィマーマン(ピアノ)

若き日のR.シュトラウスの傑作室内楽曲。R.シュトラウスといえば、歌劇と交響詩によってその名を知られているが、1888年、すなわち24歳の時に書かれたこの音楽はロマンティックな開放感に満ち、予想以上に美しい。R.シュトラウスは、ナチス第三帝国時代の音楽局総裁という立場から、一般的にはナチス擁護者、協力者というレッテルを貼られることが多いが、実際は逆。身内にユダヤ人がいたが、自分自身の信念を断固として曲げず、権力者に媚びることなく政府と対峙したという。実際、ヒトラーやゲッペルスはシュトラウスの音楽のファンであり、当時のドイツ音楽界で絶大なる名声を誇っていたR.シュトラウスに媚びていたのは逆にナチ側だったという話も聞かれるほどなのである。
軸がぶれることなく自らの才能と力で権力と闘い、後世に残る素晴らしい音楽を書き続けたこの作曲家には頭が下がる思いだ。

もうかれこれ20年にもなるのか・・・。チョン・キョン=ファとツィマーマンが協演したこの音盤を購入してから随分時間が経過する。久しぶりに取り出して聴いてみたが、例のアルゲリッチ&クレーメルのコンビとは別の意味でバランス的に良く溶け合った印象を受ける。おそらくこの盤以降二人の協演CDは発売されていないはずだし、ツアーを回ったという話も聞かないから一緒に活動することはほぼないのであろうが、非常にもったいない(それとも何か特別な事情があって協演することが無理なのかもしれないが・・・)。
それにしても魅力的なデュオなので、一度実演で聴いてみたいものである。
そういえば昨年の秋にクレーメル&ツィマーマンがスーパー・デュオと銘打ち、来日公演をやったことを思い出した(プログラムはブラームスとフランクだったか・・・??)。この時は事情があって足を運ぶことができなかったのだが、実演を聴いた知人の話ではとても感動的なコンサートだったらしい。うーん、それでも僕はチョン・キョン=ファとツィマーマンのコンビ復活を希望する。

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