2つの傑作変奏曲

beethoven_concertos_backhaus.jpgゴールデン・ウィークが明けて、世間は普段どおりに戻った。僕にとってはGWも何も関係ないのだが、それでも街中を初夏の風を感じながらぶらりとすると、木の芽の青臭い匂いと共に何か新しいことが始まる予感がするものだからとても気持ち良い。そういえばこのブログを書き始めてちょうど今日で1年。明日から2年目に突入するわけだが、お盆や正月に帰省したとき以外は毎日日記のように書き続けたことを振り返ると、我ながらよくやったと感心する(まぁ、1年間継続するなんてのは大したことではないですが・・・)。
ということで、今日はブログ開設1周年前夜祭ということで1年を締めくくるに相応しい音楽をとりあげようとあれこれ棚をひっくり返してみた。
「調和」の音楽。ゴルトベルク変奏曲BWV988。昨日もNHKの「知るを楽しむ」ではグレン・グールドの弾くこの楽曲がとりあげられていた。鮮烈なデビュー盤となったこのJ.S.バッハの名曲は、グールド最晩年の81年に再録音され、巷の話題になった。以前このブログでもとりあげたDVDはこの81年盤の映像記録。どちらかというと81年盤を好む僕だが、55年録音のこのデビュー盤も捨て難い。とにかく神が舞い降りるかの如くのグールドの超絶技巧、そして反復を省き極めて速いテンポで駆け抜ける様は「5月の風」のように爽やかだ。しかしながら、つい先日もとりあげたばかりでまた「ゴルトベルク」か・・・、という感じなので、今日はあえてもう一つの傑作変奏曲について書くことにする。

ベートーヴェン:ディアベリのワルツによる33の変奏曲作品120
ヴィルヘルム・バックハウス(ピアノ)

J.S.バッハが不眠症のゴルトベルク伯爵のために書いた曲が件の「ゴルトベルク変奏曲」だが、とても眠ってなどいられない刺激的な音楽であることは周知の事実。この「ゴルトベルク」と並び称される傑作変奏曲がベートーヴェン晩年の「ディアベリ変奏曲」なのだが、主題のわかりやすさに比して、何と難解で「眠くなる」曲だろうか・・・。夕食に飲んだビールが多少効いてきたのかどうかはわからないが、バックハウスの弾くこの曲をバックに意識朦朧としながらブログを書いている次第。1822年頃から名作「荘厳ミサ曲」と平行して書かれたという楽曲だけあり、一筋縄ではいかないようだ。とにかく集中力が途中で切れてしまうというのが難点。そういえば「荘厳ミサ曲」もまともに集中して聴けたことがなかったかもしれない。クレンペラーの名盤を聴く時もそう。DVDで観るバーンスタイン指揮アムステルダム・コンセルトヘボウの演奏でもそう。かつて聴いた朝比奈隆の実演でもそうだった。凡人の僕には理解できないほどあまりに精神性が高みに達しているからだろうか・・・。

ところで、25日に開催される愛知とし子ピアノ・リサイタル「愛と知と・・・」のチケットがお陰さまで完売となりました。わずか200席弱の会場(杉並公会堂小ホール)とはいえ2週間以上も前にSold Outとは我ながらびっくりです。本当にご購入いただいた皆様には感謝いたします。きっと当日は素晴らしい演奏が繰り広げられることと思います。乞うご期待!

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アレグロ・コン・ブリオ~第3章 » Blog Archive » 生きがい、やりがい

[…] 作曲家が気に入った主題をもとに変奏するヴァリエーションという楽曲を僕はことのほか好む。人生とは変奏曲のようなものか・・・。J.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」、ベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」を2大巨頭にして、モーツァルトやブラームスや、メンデルスゾーン、ラフマニノフなど、もうどこをどう切り取っても宝物になるような、その作曲家の全精魂が込められているような作品が多いのも興味をそそる点。 […]

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