第15回「早わかりクラシック音楽講座」終了しました。今回は自分的には決して納得のいかない内容。メンデルスゾーンが極めて優れた才能を持ち合わせながら、後世も含めた万人に認められる超一流作曲家になれなかったのは、幼年時に環境に迎合し、ほぼ自分自身のアイデンティティをなくし、いわば親のレールの敷かれるまま生きてきた「弱さ」が最大要因だったように思う。そのメンデルスゾーンとオーバーラップするかのように環境に怖いくらいに左右されてしまう自分自身の脆弱性にあらためて気づかされたことが収穫といえば収穫。「人間力向上セミナー」では他者と比べるなかれ、己の意思を強固にもて、と口を酸っぱく語っているにもかかわらず、それは自分自身に言い聞かせていたのだと痛感した。
あとから参加していただいた皆様からは「あなたが思うほど問題はなかった」と言っていただけたことがせめてもの救いだが、次回以降の「音楽講座」、そして本業のセミナーに生かすよう日々精進することを決意した(大袈裟ですね・・・)。
今日の講座の後もビール片手に食事をしながらつい先ほどまで音楽談義や近況報告で盛り上がった。いつもそうなのだが、講座中よりも話はエスカレートする(笑)。どういう話の流れだったか忘れたが、メンデルスゾーンがバッハ再評価の架け橋となったということから、かの音楽の父の音楽を聴いてみようということになり、2月の講座でとりあげた不滅の無伴奏モノをいくつか聴き比べしてみた。シェリングのシャコンヌ。無伴奏チェロ組曲第1番のプレリュードのみ4種(マイスキー旧盤、新盤、カザルス盤、ロストロポーヴィチ盤)。やはりJ.S.バッハの音楽は究極だ。神の境地。
講座の詳細UPは明日以降に譲るとして、お口直し、お耳直しとして鬱積した心理状態を解放してくれる音楽を聴こうとCD棚を漁ってみた。
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
アンジェラ・ヒューイット(ピアノ)
つい3年前の今頃、紀尾井ホールでヒューイットのゴルトベルク変奏曲の実演を聴いた。そのあまりの素晴らしさに早速CDを買い求め、サインまでしてもらったのだが、その公演以降彼女の演奏に触れることは一度もない(10日ほど前初台のオペラシティで「平均律クラヴィーア曲集」全曲の演奏会が催されたようだが、残念ながら行けなかった)。このバッハ不滅の変奏曲のCDはいくつも所持しているが、それぞれに味わいがあり、時と場合によって聴きわけている。特に「天使が舞い降りてくるかのよう」と僕自身表現している第26変奏以降の「天国的なハーモニー」、そして最後のアリアの安寧を耳にするにつれ、ざわめいていた気持ちがあっという間に落ち着きを取り戻し、心の安らぎが訪れる。究極の「癒し」音楽だ。
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