Miles DavisのBitches Brew。メタル期(1972~74)King Crimsonが産み出した諸作。いずれも混沌とした中にふと垣間見える(聴こえる)「調和」が魅力的。こういう音楽を耳にすると、1970年前後-つまり昭和45年前後の思い出が明滅しながら記憶の此方に浮上してくるから不思議だ。MilesもCrimsonも2008年の今でも決して古びることはない。こんなに斬新で魂を揺さぶるリズムとハーモニーはなかなか出逢えない。
1970年代初頭。泥沼化するベトナム戦争、連合赤軍浅間山荘事件、三島事件、大阪万博。などなど。当時小学校低学年だった僕にとっては遠い過去の記憶。子どもであるがゆえに世間で起こっている事件に関してはほぼOn timeでは記憶がない。ただし、当時の事件を取材した週刊誌や特集号が自宅の書棚に並んであったという記憶は確かにある。子ども心にぱらぱらとページをめくった記憶も確かだ。
あの頃の日本人はとても気概があった(と思う)。今の、画一化された横並びの教育がまかり通る「腑抜け」のような時代に比べ、山もあり谷もあったが、人々には「生きている」という実感があったはずだ。そういう時代がもう一度戻ってこないものだろうか・・・。
何だかふと古き良き(といっていかどうかはわからないが)あの時代が妙に懐かしくなり、あの頃創り出された音盤をいくつか聴いてみた。良い。とにかく良い。予定調和的でない即興とも思える躍動感がたまらない。
マイルスはこのアルバムのためのツアーで収録曲をいくつかLiveで披露したというが、完璧に再現したのだろうか?如何せんLive(またはその音盤)を聴いていないので何とも言い難いが、にわかには信じられない。
この音の洪水とも言うべき賛否両論のジャズ・アルバムは天下無敵。ただひたすら無心に酔いしれることが正しい聴き方。真面目に頭で聴くなかれ。
ちなみにCD2の2曲目「John McLaughlin」を聴くと、Chick Corea & Return to Foreverの木霊が聴きとれ、このアルバムが明らかにいわゆるフュージョンの魁になっただろうことがわかる。いや、それは当たり前か・・・。なぜならChick Coreaもレコーディングに参加しているのだから。
明日は「みどりの日」だと思っていたらいつの間にか「昭和の日」と呼称が変わっているらしい。調べてみたら去年から「みどりの日」を5月4日に移動した代わりにそうなったとのこと。へぇ、初めて知った。
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[…] 「モダン」の頃のマイルスは誰にでも安心してお薦めできる(そういう僕は後のエレクトリック・マイルスはもちろんのこと少々アバンギャルドな彼も余裕で受け容れられるのだけれど […]
[…] マイルスのトランペットは生き物だ。女声と男声を見事に吹き分け、この20世紀の誇るフォーク・オペラがまるで最初からマイルスとジャズ・オーケストラのために書かれた作品なのではという錯覚に陥るほど。名作”Summertime”はもちろんのこと、”Prayer (Oh Doctor Jesus)”など身震いするほど感動的(“Bitches Brew”の先取りのよう)。マイルスのペットが吠える!! […]
[…] 奇跡の年1969年の音楽界のイベントの中で、”Abbey Road”リリースから解散に至るThe Beatles一連の出来事とZeppelinのデビューは絶対外せまい。あと、Miles Davisが”Bitches Brew”を引っ提げてエレクトリック・ジャズの狼煙を本格的にあげたことも。さらには、我らがショスタコーヴィチは第14番交響曲を書き上げ、それをルドルフ・バルシャイが初演したことも(このあたりは勉強不足なのでより深掘りする必要ある)。 […]