ハモネプ初めて観ました

cherbini_marchevich.jpg少しばかり「内職」的な仕事があったので、手を動かしながらふとテレビをつけたら「青春アカペラ甲子園」という番組をやっていた。数年前から人気のある番組で通称「ハモネプ」というらしい。普段テレビは全くといっていいほど見ないし、これまでも見てこなかったのでそんな有名な番組があると初めて知った。
ところで、3時間ほどずっとこの番組を見ていて思ったのは、アカペラという「人声」だけのハーモニーによって音楽を創る手軽さがウケるということでアカペラ人口が爆発的に増えたのだろうということと、数人グループでの演奏がこれまた格好良く、若者の表現意欲を鼓舞するような魅力がとてもあるのだろうということ、そして「歌を思いっきり歌うこと」により抑圧されているものが解放され、それが人と一体化する大きな手段となり、表現者自身がとても気持ちよくなれるのだろうということである。審査員のコメントや結果を見ていると、必ずしも歌が上手かったりコーラスのバランスが良かったりすることだけが重要ではないようだ。例えば、その人たちの持つオーラ、つまり外見を含めた「エネルギー」みたいなものも影響があるのだろう。ただテクニック的に上手いだけでなく観客を楽しませようとする余裕とか姿勢があるかどうかもポイントとなっているようだし、何と言ってもリード・ヴォーカルの重要性が明らかであることは間違いない。結局のところ、大衆に支持されるためには飛び切り目立つフロント・マンと他と一体化する「気(エネルギー)」、そしてパフォーマンスそのものの斬新さが問われるようで、いわゆる「芸術」と「売れる」ということの溝の深さというか差がはっきりと明確にあることがわかってとても面白かった。クラシック音楽の場合でも技術を徹底的に磨くだけでなく、パフォーマンスとしてオーディエンスを楽しませる技、術をもっていることが「人気」のバロメーターになることは間違いない。そういう意味では今年生誕100年で盛り上がっているカラヤンは天才であったのかもしれない。

ケルビーニ:レクイエムニ短調
イーゴリ・マルケヴィッチ指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
チェコ合唱団

ベートーヴェンと同時代を生きたルイジ・ケルビーニは今でこそほとんど顧みられることのない作曲家であるが、当時の評価は相当高く、かの楽聖が最も優れたオペラ作曲家として絶賛するほど人気を博したようだ。僕もせいぜいフルトヴェングラーが録音した歌劇「アナクレオン」序曲を聴き知っていたくらいで、CDでもコンサートでもそうそう触れる機会は少ない。しかしながら、この「死者のための鎮魂曲」は名曲だ。実は、ケルビーニの「レクイエム」といえばもう1曲ハ短調の方がどちらかというと知られており、ベルリオーズやシューマン、ブラームスも絶賛していたというが、晩年のこのニ短調は自分自身の葬儀のために書いたということで、独唱を使わず、しかも男声合唱と管弦楽で奏でられる。後年ロッシーニの華やかなオペラがもてはやされ、彼の人気も一気に凋落したということだが、なるほどそれもわからないでもない。とにかくその音楽は重厚で渋い。ただ、僕自身の好みから言えば、ロッシーニよりも圧倒的にケルビーニだ。

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