あまりに壮絶なその解釈に唖然とした。
一聴そんな様子。エルガーって、否、イギリス音楽ってもう少し冷静でスノッブな演奏の方がしっくりくるとこれまで思っていたが、何の何の、独墺系ロマン派音楽の衣を借りた厚みのある重心の低い音楽がすぐさま僕の心を捕えた。なるほど・・・。エルガーという作曲家の懐は非常に深いということだ。
そういえば、20分近くに及ぶ第1楽章の威容も、第2楽章のまるでダース・ベイダーのテーマ(?)のような主題もドイツの後期ロマン派の「形」に極めて近い。
1ヶ月ほど前、ふみ君とサシでオフ会をしたとき是非とも聴いてくれと手渡されたのがこれ。思うように時間がとれず、直後に「ながら」で聴いても凄さはわかったが、このたび腰を据えてじっくりと拝聴し、その「すごさ」が身に沁みて理解できた。というより、正直この曲にそれほどのシンパシーを感じていなかった僕が、まさに今、この音盤により開眼させられた、そうまで言っても言い過ぎでない、それほどの感激が僕の中に押し寄せている。
アルトゥール・ニキシュをして「ブラームスの第5交響曲」と言わしめたこの作品の真の威力。第1楽章冒頭からワクワクドキドキ、主題が姿を現す頃には思わずガッツポーズが出てしまうほど(笑)魅力的な演奏。高貴な英国紳士(といってもエルガーは商人の出だけれど)が創作した音楽だから英国風にというのは正しくないということか。「重厚長大」という形容が間違っていいないだろうこの作品には、コリン・デイヴィスのような思い切った表現が的を射る。阿修羅のような轟音が鳴らされる瞬間とそっとささやきかける弱音の対比。時に浮き上がるコンサートマスターのソロ・ヴァイオリンが哀愁を漂わす。
それにしてもアダージョ楽章は深遠だ。そして尊い。
2度、3度と立て続けに聴くことでますます「意味」が腑に落ちる。いや、頭で考えるのは止そう。ともかくどの瞬間も感動的。
僕は常々講座では、楽曲の背景を知ることを強調する。
作曲家がどんな思いでその音楽を創作したのかがその作品への理解度を左右するから。
この音盤を聴いて、エルガーは「愛の音楽家」と呼ばれることが多いけれど、闘争的精神も非常に旺盛だということがわかる。つまり、愛と死とが裏腹であると同じく、「愛」と「闘争」とは表裏一体ということだ。深い。
>主題が姿を現す頃には思わずガッツポーズが
辺りで、もう爆笑。
エルガーの1番が好きな方からの評価が非常に高い名盤ですよね。
「思わずガッツポーズの出るクラシック」なんてスレッドがないかと
検索してしまいました。
生憎と発見できなかったのですが、ブラームスの3番の第3楽章を
挙げておいでの方が。
自分だったら?と思い浮かべようとすると、何故かRushばかりが
鳴り響き、クラシックで??
「ライン」の第1楽章!
シューマンの交響曲に聴くべきものはないなんて評判は許し難い。
久々に聴きまくり、これから夜勤だというのに既に疲労困憊です。
このエルガーの「アダージョ」を自分の葬儀で流したいと仰る方も
多いようですが、ベルクのヴァイオリン協奏曲を挙げる方も。
>「愛」と「闘争」とは表裏一体
同意します。
>みどり様
こんにちは。
ブラームスの3番の3楽章ですか?!
これは意外ですね。
それと、みどり様の頭の中で鳴り響くRushというのもこれまた通ですねぇ。素晴らしい!!
ところで、シューマンの「ライン」!!
確かにこれはガッツポーズの音楽です。僕はシューマンの4曲はいずれも名作だと信じております。
「ライン」ももちろんですが、暗い2番や4番が好みです(笑)。
>このエルガーの「アダージョ」を自分の葬儀で流したいと仰る方も
多いようですが、ベルクのヴァイオリン協奏曲を挙げる方も。
へぇ、そうなんですか!!それは知りませんでした。
ありがとうございます。