メンゲルベルク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管 マーラー 交響曲第4番(1939.11.9Live)ほか

ヴィレム・メンゲルベルク生誕150年であり、また、没後70年の2021年。
ポルタメントを多用した、浪漫的ながら、いかにも古色蒼然とした音楽は、今となっては好き嫌いがあるかもしれぬ。しかし、当時、少なくともアムステルダムの聴衆には「絶対」であったその解釈を、音盤を通して鑑賞できることは、実に有難いこと。
生前のマーラーが最も高く評価した指揮者。

マーラーの交響曲第5番から第4楽章アダージェットに痺れた。
こんな音楽を創造する、また、創造できる指揮者はもはやいまい。

・マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調から第4楽章アダージェット
ヴィレム・メンゲルベルク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(1926.5録音)

そして、同じくマーラーの交響曲第4番。奇蹟的に(当時としては)鑑賞に堪えるライヴ録音が残されたことはひとつの天啓ともいえる。第1楽章から熱のこもった、そして、思い入れたっぷりの、(相変わらず)テンポの伸縮激しい粘着質のマーラーに僕は言葉を失う。

・マーラー:交響曲第4番ト長調
ジョー・ヴィンセント(ソプラノ)
ヴィレム・メンゲルベルク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(1939.11.9Live)

こんな音楽を聴かされて感動しない愛好家はいないだろう。
何よりアダージョ楽章の、身もとろけるほどの官能が、僕の脳みそを襲う。感無量。

ところで、1904年10月末にマーラーはアムステルダムを訪れ、23日にコンセルトヘボウで交響曲第4番を、また27日には第2番「復活」を初演した。第4番は何と一晩に2度(!)演奏されたらしい。

本日お手紙を差し上げました主な理由は、あなたの許の驚嘆に値する合唱団と見事なオーケストラに、私の謝意を代弁して伝えていただきたいとお願いすることであります。この両者が一致協力してあの日々に達成したことは、私—とあなた—だけが判断しうるものであります。この比類ない活力、この深い真剣さ、それあってこそじつに、かくなる最難曲のまさに模範的な演奏が達成されえたものと感謝に堪えません。どうか演奏者のすべてに、私を感動させた彼らの熱意と火を噴くような昂揚をけっして忘れることはないであろうとお伝えください。
(1904年11月4日付、ヴィレム・メンゲルベルク宛)
ヘルタ・ブラウコップフ編/須永恒雄訳「マーラー書簡集」(法政大学出版局)P311

マーラーの高揚感伝わる書簡である。同時にここからは、マーラーのメンゲルベルクへの厚い信頼が感じ取れる。

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