バルシャイ指揮ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ響 ショスタコーヴィチ 室内交響曲作品73aほか(2005Live)

僕は2000年代に入ってからルドルフ・バルシャイに出逢った。
彼がショスタコーヴィチと親交があり、数々の名編曲を残していることはもちろん、交響曲第14番「死者の歌」の初演者であることは知っていたけれど、正直あまり重要視していなかった。
偶々読売日本交響楽団への客演での演奏を聴いたとき、魂消た。
核心を突き、確信に満ちた、不動のショスタコーヴィチに僕は感動した。

そのときに聴いた室内交響曲は、バルシャイ自身のアレンジによるものだったが、あの暗澹たるイメージの弦楽四重奏曲が、光彩放たれる、一層有機的な響きに終始するものだったから思わず感激してのけ反ったほどだった。後半の交響曲第5番については言わずもがな。
それから僕は、ケルン放送交響楽団との交響曲全集を仕入れ、繰り返し聴いた。どれもが真に鮮烈な、また堂々たる名演奏だった。

不安や苦悩や、暗澹たる風趣は後天的なもので、世界にもともと存在したものでないとするなら、バルシャイの編曲はとても理に適っている。
作品73には木管やハープ、チェレスタを追加し、色彩をより豊かに描くことで、ショスタコーヴィチの本懐を、良心を、愉悦を表現し得ているし、一方、作品83についてもトランペットやタムタムを加えて、スターリン没後の、新たな世界を創造せんとする希望と光に満たされている。

ショスタコーヴィチ:
・弦楽器と木管楽器のための交響曲作品73a(弦楽四重奏曲第3番のバルシャイによる編曲)
・室内交響曲作品83a(弦楽四重奏曲第4番のバルシャイによる編曲)
ルドルフ・バルシャイ指揮ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団(2005Live)

作品73aの柔和で安らかな響きが心身を癒す。
作品83a終楽章アレグレットは、いかにもショスタコーヴィチらしいお道化た、喜びの音楽であり、ここでのバルシャイの気合いの入った音楽作りに僕は感激する。天才だ。

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