
威厳に満ちた体躯。
ステージに登場するシーン、コンサート・マスターと握手を交わす冒頭シーンから緊張感を孕む、生きる音楽のような印象。強面ながら演奏が始まるとその音調は一気に柔和に、心地良いものに変貌する。弾き振りのアイザック・スターンの慈しみよ。
イスラエル・フィル創立60周年を記念しての、テル・アヴィヴはマン・オーディトリウムでのガラ・コンサートの記録。バッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲第2楽章ラルゴ・マ・ノン・タントでの、若きギル・シャハムを見守るスターンの厳しさの中に垣間見る、砂漠の中のオアシスの如くの安心感よ。
緊張と緩和を繰り返し、歴史は進歩、発展、向上する。
陰陽相対世界に住む同じく我ら人間もだ。
スターン102回目の誕生日に!