環境問題

今年の4月から企業などで「特定健康診査・特定保健指導」が義務化される。いわゆるメタボリック症候群該当者と予備軍を5年後には10%以上減らす目標を掲げ、未達成の会社には「罰金」を科すということのようだ。「メタボ」とは、男性なら腹囲が85cm以上の場合を指すらしいが、サイズはともかくとして暴飲暴食、美食そして運動不足の果ての姿だから「贅沢病」の極致のようなものだろう。
こういう法律が定められたときにはダイエット商品や健康器具開発など、必ずそこに商機を見出し一儲けしようと考える企業も多い。ただし、大抵のものは表面的な効果しかなく決して根本的な解決になるものではないと僕は思う。個人の「意識」そのものを変革しない限りは何にも変わらないのではないかと考えるからだ。

昨日も夕方ふとテレビをつけると、あるニュース番組で4kgのハンバーガーや2kgのステーキを平らげることに挑戦する女性を特集していた。世界のあちこちで飢餓に瀕している国があるという一方でわが日本国は誠に平和の限りで、グルメはともかくとして大食いや早食いという馬鹿げた番組までが持て囃されていることに呆れて物が言えない。ここまで来たらもう「病気」である。そして、夜、同じチャンネルの古館伊知郎が司会をする報道番組で、ガラパゴス諸島などの環境問題をとりあげていた。地球環境の汚染などは20世紀の後半になってから喧しくいわれているが、人間の欲望の裏返しとしての「汚染」なわけで、エコカーを開発したり、電力消費量を軽減する努力をしたところで、人間の意識そのものを改革しない限りは焼け石に水のようなものでこれも根本的、抜本的な解決には程遠いように思うのである。

当たり前のことなのだが、経済発展とは名ばかりで、人間が自分たちの「我欲」だけで突っ走ってきた代償として地球が悲鳴をあげているのだとまずは気づかなければならない。切って張ってというアングロ・サクソン的なものの考えでは到底無理な話で、地球と人間が共存するために人間は本来あるべき姿に今から戻るべきなのかもしれない。「大食い」にスポットを当てる一方でなぜ「環境問題」にスポットを当てるのか?全く矛盾以外何ものでもない(国連食糧農業機関(FAO)発表によると、環境問題への最大の原因は、人間が食肉のために繁殖させた15億頭を数える牛だという)。

そんなことを考えていると思考がネガティブになってしまうので、「ぼやき」はこの辺にして、「浄化」のために心を静かにし、洗ってくれる「愛」の音楽を聴く。

フォーレ:レクイエム作品48(オリジナル版:第2版)
キャサリン・ボット(ソプラノ)
ジル・カシュマイユ(バリトン)
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮モンテヴェルディ合唱団
オルケストレル・レヴォリューショネル・ロマンティーク

死者のための鎮魂曲らしく、清澄で耳に優しい音楽。数あるレクイエムの中でも一、二を争う名曲である。特にこのガーディナー盤は通常聴かれるオーケストラ版よりも小編成による原典第2稿というもので、一層「静謐さ」を増す美演。

「楽園に」

天使らは 天国へと導かん
汝 そこに着きしとき 殉教者ら出迎え
エルサレムの聖なる都へと誘いゆかん

エルサレム

天使らの合唱が汝を出迎え
その昔 貧しかりしラザロが入りしと同じき
永遠の安息へと導かん

永遠の安息へと導かん

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1 COMMENT

アレグロ・コン・ブリオ~第3章 » Blog Archive » 浄化の力?!~デュリュフレのレクイエム

[…] 20年ほど前だったか、フォーレの有名な「レクイエム」と双子のような鎮魂曲が存在することを知り、早速仕入れ聴いたとき、その美しさに打ちひしがれた。もっと以前からフォーレの作品が大好きで、これまで何度か実演にも触れているが(いつだったかサントリーホールで聴いたパイヤールのも良かったし、「ラ・フォル・ジュルネ」でコルボが演奏した時のも涙が出るほど素晴らしかった)、それらの体験と比較してみても、このデュリュフレの「レクイエム」は敬虔な祈りと永遠の平和を願う人々の心に満ち満ちており、繰り返し何度聴いても心が洗われる。 1947年の作曲というから、そこには当然第2次世界大戦の生々しい傷痕に対するメッセージが込められているのだろうが、震災復興のために一丸となっている今の日本人の心にも直接的に響く音楽なのでは。いわゆる宗教音楽だから、なかなか一般人が聴く機会には恵まれないもののように思うが、ともかくたくさんの方々にぜひ触れてみていただきたい、そんなことを感じさせてくれる名曲だと確信する。 […]

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