お祭り

今日は毎月恒例の「早わかり古典音楽講座」の日。気がつけば10回目を迎える。12名もの人たちにご参加いただき、大いに盛り上がった。詳しいご報告は後日に委ねることとする。

テーマはベートーヴェンの第9交響曲。初心者には多少ハードルが高いかなと思いつつも、例のフルトヴェングラーのバイロイト盤を軸にして講座を進めた。しかし、流石に天下の名盤。音の悪さを乗り越えて参加していただいた皆様にとても感動してもらえたことがとにかく嬉しい。僕が常々人生のテーマにしている「愛」、「勇気」、「一体化」を表現している最美の音楽が第9であり、その音楽を繊細にして最も優美かつ厳粛に表現したのがかの録音なのである。そのあたりのことに関して勝手ながら熱弁を揮わせていただけたことに感謝である。

ところで、講座の後、鍋パーティーをやらないかとお誘いしたら、ノリのいい何名かが賛同してくれて、「豆乳鍋」を囲んだ。さらには、1989年にベルリンの壁の崩壊を記念してバーンスタインが指揮した第9の映像があるといったら、ぜひ観せてくれということになり、全曲は時間的に厳しかったので、第1 楽章のさわりと、第3楽章からフィナーレを皆で固唾を飲みながら鑑賞してお開きになった。

ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付」
ジューン・アンダースン(ソプラノ)
サラ・ウォーカー(メゾソプラノ)
クラウス・ケーニッヒ(テノール)
ヤン=ヘンドリク・ロータリング(バリトン)
レナード・バーンスタイン指揮バイエルン放送交響楽団、ドレスデン・シュターツカペレ、レニングラード・キーロフ劇場管弦楽団、ロンドン交響楽団、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団、パリ管弦楽団、バイエルン放送合唱団ほか

お祭りである。死の10ヶ月前のバーンスタインの手に汗握る熱演。流石に指揮者は肉体的疲労の極致に達しているように見える。しかし、東も西も無くなったドイツのオーケストラが中心になり、会場で聴いている観客も、中に入りきらずに外のオーロラビジョンで観ていた観衆も一体となる光景が感動的で、まるで自分自身がその日その地で共に体感しているような錯覚に襲われる劇的なパフォーマンスであった(演奏ではなく、あえてパフォーマンスという表現をさせていただく)。
バイロイトの第9のように、この曲は何か特別な日に演奏し聴くのが相応しい音楽のように思える。日本のように年末になると猫も杓子も第9っていうのはちょっと違うかもな、と正直思うのだ。

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