過信は禁物

「就職活動はショッピングである。もちろん企業から選んでもらえないとお話にならないのだが、会社を選べるあなた自身になろう」と学生に常々語りかけてきた。今から7、8年前の就職氷河期といわれた頃、学生は就職先の企業を探すのに一苦労した。以来、就職活動に向けての準備は絶対に必要だと口を酸っぱくして説いてきた。
今の学生にとっては信じられない話だろう。

大企業の新卒採用担当者が優秀な学生を確保するべくこぞって地方大学行脚を繰り返しているらしい。こういうニュースをまともに見ると学生は安心して「就職は余裕だろう」と思ってしまう。しかし、本当に誰でも余裕で内定が獲得できるのだろうか?
現実はそうではない。やはり、「できる人材」、「魅力的な人材」に人気は集中するのだ。だから「自分は大丈夫だろう」という過信は慎んだほうが良い。受験同様準備は重要なのだ。

それともう一つ、「自らが選択するのだ」という観点を忘れないこと。確かに余裕で内定は出るのかもしれない。ただ、就職はある意味人生の岐路であるわけだから、選択という点では慎重になるべきなのだ。自分は何をしたいのか、何に向いているのか、具体的にはまだまだ見えないにせよ、ある程度のベクトルを定めなければ話にならない。そのためには相応の準備、対策が必要なのである。

来週はいよいよ第10回目の「早わかり古典音楽講座」である。約1ヶ月ぶり。師走ということもあり、ベートーヴェンの第9交響曲をとりあげる。音楽を好んで聴き始めて30年ほど。その間、この大曲はもう何度聴いたことだろうか・・・。

ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付」
ヘルマン・アーベントロート指揮ライプツィヒ放送交響楽団&合唱団
エディット・ラウクス、ディアナ・オイストラティ、ルートヴィヒ・ズートハウス、カール・パウルほか

10年前に購入したきり棚の奥に仕舞ってあった「幻」の1枚。1951年の録音だから、音はモノラルで古い。しかし、そのフレッシュで凄まじい演奏にしびれた。2回連続で聴いてしまったほどだ。
ベートーヴェンはこの大傑作交響曲を生み出すのに30年近くの年月を要した。耳疾や気管支、腸などの病、身内の問題、そして自由主義を謳歌しようとしていた市民へのメッテルニヒによる抑圧など、交響曲第9番が作曲されるに至る背景には様々な心労や苦労が存在する(そういった闘争的な心境は第1楽章に集約されている)。
しかし、周りの協力もあり、その壁をベートーヴェンは乗り越えた。見事に創作への精力を取り戻し、この「シラーの詩『歓喜頌歌』による終末合唱付交響曲(正式名称)」を世に送り出したのである。

誰でもスランプはある。やる気が出ないこともあるだろう。しかし、常に初心でコトに臨むこと。過信は禁物、良い意味での緊張感はとても重要だ。

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