ジュリエット・グレコの声

いろいろと気づきの多い一日だった。
当たり前のことなのだが、過去のすべてを受け容れること。未来については心配ご無用。転んでも怪我をしないよう鍛えておくこと。そして、ともかく「今」を一生懸命に生きること。しかも漠然と曖昧に生活するのでなく、輪郭まで具体的に想像しながら生きることが大事なのだと。

僕は生来意思が強い方である。頑固というのとは違う。これが正しいと思ったことは譲らない。そして続ける。ただし、少しでも疑問を感じるようなことがあるなら修正するべく他人の意見を謙虚に素直に聞く。

ちなみに、想像力の具体性に若干難点があることもわかった。長所の裏に短所あり。弱点を否定しないこと。陰陽、明暗、長短、すべてありのままを受容する。あらためて確認させていただいた。ありがとうございます。

気分を明るく保つのに、シャンソンなどはいかがかとジュリエット・グレコを昨晩から聴いている。20数年前に仕入れた音盤だが、これが実に良い。カルチェ・ラタンの鄙びた雰囲気と、退廃的な様子を想像させてくれる響きが、かえって人々にやる気を与えてくれる。ラテン的な開放感というのか・・・。その地で生まれたものには、どんなものでも魂が宿る。強烈な意志を感じさせる、と同時に「今」を実感させてくれる音楽。

The Best Of Juliette Greco

有名な「枯葉」に始まり、「にれの木の広場」までの全20曲。
「グレコはその喉に、未だ書かれざる数百万の詩を持つ」(サルトル)
「彼女の最も貴重な宝石は、黒いセーターの下に脈打つその心だ」(コクトー)
「グレコ、黒いほっそりした魚。この魚にソースはいらない。薬味すら自ら用意している」(モーリアック)
著名人のこれらの言葉を待つまでもなく、一聴、その歌声を耳にするだけで我々は一気に「感性の世界」に誘われる。感じたありのままを表現するグレコの声。

繰り返し聴くことで、わからなかったものがわかるようになる。
繰り返し読むことで、理解できなかったことがある時突然理解できるようになる。

素敵だ・・・。


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アレグロ・コン・ブリオ~第4章 » Blog Archive » 退廃の美

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