オッター&メルドーの「ラヴ・ソングス」を聴いて思ふ

otter_mehldau_love_songsマイルス・デイヴィスが「それは単に音楽なんだ」と言ったように、本来音楽そのものに垣根はない。しかし、便宜上なのか各々のジャンルに携わる人々の余計なこだわりなのか、あるいは地域性なのか、それはわからないが、僕が物心ついた頃(これは僕が意識して音楽を聴くようになった頃という意味)にはすでに音楽の「ジャンル」というものに人々の嗜好が左右されていた。

そういえば昔、異種格闘技というものが流行った。あれはほとんどショー的な意味しかなさず、一過性のものだったように思うが、音楽の場合は1990年代以降ジャンルの壁が随分下がってきたように思う(キース・ジャレットやチック・コリアがクラシックの作品を録音するようになったのが奔りか?あるいはジョン・ルイスのバッハか・・・)。これらは演奏する側についてもそうだが、要は聴き手側の問題が大きい。

アンネ=ゾフィー・フォン・オッターがブラッド・メルドーと録音した「ラヴ・ソングス」を聴いて、メルドーの相当浪漫的でジャジーな(というか瑞々しい妖艶さを伴った、明らかにクラシック音楽とは違う奏法の)ピアノ伴奏に寄り添うように歌い囁く彼女の歌にタイトル通りの「愛」を感じた。

ここはやっぱりオッターの柔軟性の勝利。巧い。ポピュラー・シンガーと比してまったく遜色ない(もちろんメルドーの自由闊達でありながら芯のしっかりしたピアノも彼女の歌に大いなる花を咲かせる一役を担うのだけれど)。ジョニ・ミッチェルやビートルズのスタンダードあり、あるいはレオ・フェレやバルバラ、ミシェル・ルグランなどフランスものあり、と彼女は様々な名曲を縦横に歌い分けるが、僕の印象ではフランスものに一層の適性をみせる・・・。

・ブラッド・メルドー:ラブ・ソングス(全7曲)
・レオ・フェレ:時の流れに
・バルバラ:ピエール
・ジョニ・ミッチェル:マーシー
・リチャード・ロジャーズ:何かよいこと
・ミシェル・ルグラン:マクサンスの歌~「ロシュフォールの恋人たち」
・ジャック・ブレル:懐かしい恋人の歌
・フレッド・E・アラート:ウォーキング・マイ・ベイビー・バック・ホーム
・ラーシュ・フェーンレーヴ:オ・アンヨーラ・エン・ブリッガ
・バルバラ:いつ帰ってくるの
・ミシェル・ルグラン:これからの人生~「ハッピー・エンディング」
・ボブ・テルソン:コーリング・ユー~「バグダッド・カフェ」
・ジョン・レノン&ポール・マッカートニー:ブラックバード
・バーンスタイン:いつかほかの時に~「オン・ザ・タウン」
アンネ=ゾフィー・フォン・オッター(メゾ・ソプラノ)
ブラッド・メルドー(ピアノ)(2010.4録音)

ところで、オッターの歌うバーンスタインを聴いて思ったのだが、バーンスタインの音楽というのは実にボーダーレス。というかどんな風にでも料理できるということ。英語の歌だが、どこかシャンソン風のニュアンスを漂わせながらジャズ風でもあり、中南米風の雰囲気も醸し出したり・・・。とにかくテイストがひとつでワールド・ワイドなのである。バーンスタインは天才だとあらためて思った次第。

 


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5 COMMENTS

みどり

岡本さん、やっとメルドーに来てくださって、ありがとうございます(笑)
メルドーはソロでもバンドでも凄いのですよ!

特にソロは「ピアノを弾ける」というのは、こういうことなのか…と
私などは思ってしまうほどです

試しにこの2曲を…(笑)

Massive Attack “Teardrop”
http://www.youtube.com/watch?v=5GNuMfQ1N0g

Pink Floyd “Hey You”
http://www.youtube.com/watch?v=0F24oewmNG4

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岡本 浩和

>みどり様
オッターだからとたまたま手に取った音盤でしたが、「当たり」でした。
確かにメルドーというピアニストは素晴らしいです。バンドでも聴いてみたいところです。
ご紹介いただいた映像もピアノという楽器を超えてますね。
ありがとうございます。

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畑山千恵子

ひところはパウ゜ァロッティが同じようなことをしました。「バヴァロッティと友人たち」というタイトルのCDがあって、私は、エルトン・ジョンとの共演があったものを買いました。
このような競演があることはクラシックにとっても大切なことかもしれませんね。

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