ユニークな貴方

自民党が参院選において歴史的惨敗を喫した。予想通りの展開だが、安倍総理は潔く退陣すべきだと僕も思う。そもそも自分は「安倍晋三」であり、「小泉純一郎」でもなければ他の誰でもないということに彼は気づいているのだろうか。十人十色とはよく言ったもので、人間誰しもそれぞれの役目と「色」を持っている。ところが、人間というもの社会にもまれ組織にもまれ人は洗脳を受け、自分であることを捨て去り、自分自身というものを見失ってしまう。特に、前任者が強烈な印象を与えれば与えるほど、その後を受け継いだ人はある意味大変な苦労をする。

クラシック音楽の世界でいえば、常に新しいことに挑戦しそしてその挑戦がことごとく成功した革命者としてベートーヴェンという存在がある。ベートーヴェンがあまりに偉大であったがゆえに後年の作曲家たちはその影を払拭するのに随分苦労したようだ。代表格がブラームス。何と交響曲を書くのに構想から 20年近くを要しているのである。あまりに優れた9曲のベートーヴェン作品を目の前に自らが挑戦状を叩きつけることに臆して何年何ヶ月。しかし、ひとたび第1交響曲が完成して以降のブラームスはみるみるわが世界を築き上げ、晩年の作品ともなればブラームス以外の何者でもない境地に達しているから立派なものである。優れた先輩を参考にして追いかけるということはとても重要なことである。しかし、真似をしたままその先輩になろうとするのは大きな間違いで、本当の自分のあり方を探り最終的には自他共に認める「独自の世界」を創り上げなければどんな世界でも通用しないということである。

「自分以外の何者にもなるまいとすることは人間にとって最も過酷な闘いである。そしてその闘いを決して止めてはならない」~カミングス

モーツァルトのものと双璧をなすブラームス晩年のクラリネット五重奏曲。「わび、さび」の世界に通じるまさにブラームス独自の世界。一生独身を通した彼は「ユニークな存在である自分自身」になるために常に自己と闘いながら一生を終えたのかもしれない。彼の持つ孤独感が全曲のあちらこちらに溢れている。

ブラームス:クラリネット五重奏曲ロ短調 作品115
アマデウス四重奏団
カール・ライスター(クラリネット)

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