共存共栄

知人と大手町で食事をした。
丸の内線で帰る途中、どうも喉の調子が良くなく、「嫌な感じ」がする。風邪−邪気を拾ったのかもしれない。とはいえ、夜は勉強会があるのでゆっくりと休んでもいられない。

ハチャトゥリアンの第2交響曲「鐘」を聴く。
この曲は1943年、独ソ戦において圧倒的にソビエト軍が優勢に転じつつあった時期に発表された「戦争(反戦)交響曲」であり、ショスタコーヴィチの第 7&第8交響曲、プロコフィエフの第5交響曲と並び称されるべき社会主義リアリズム的傑作であるが、他の3つに比べほとんど知られておらず、演奏会の舞台にかけられることも極めて稀である。

アラム・ハチャトゥリアン:交響曲第2番イ短調「鐘」
アラム・ハチャトゥリアン指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

随分前に購入したもののほとんど聴くことなく棚に埋もれていたものを最近になって発見し、時折音を流すようになった代物である。作曲者自らが指揮した自作自演盤。しかも猛烈な怒涛の如く荒れ狂う重戦車を髣髴とさせる楽曲であり演奏である。タイトルの「鐘」からは何となく優雅で綺麗な曲かとの想像を喚起するが、実際鳴る音と比べるとあまりにも印象が違う。

ところで、ナチズム、ソビエト社会主義とは一体何だったんだろか?
第二次大戦当時いずれも独裁制を摂っていたという意味では同じであるが、イデオロギーの相違ゆえお互いのトップが相手に対し「恐怖心」を抱いたことがそもそもの戦争の始まりだといわれている。ヒトラーもスターリンも共に劣等感の塊で人間不信だったようである。そのくせ異常に「独占欲=我」が強かった。そういう人たちが「権力」を握ったときにどうなるか、という事実を歴史は証明してくれた。

今更だが、闘ってはならないのだ。「共存共栄」=「Win-Win」。他者をどれだけ信じられるか・・・。そして自分をどれだけ信じられるか・・・。そのバランスを崩さず、意識を中庸に保つことが極めて重要なのである。「鐘」がそれを教えてくれたのかどうかは定かでない。ともかくショスタコーヴィチの陰に隠れた作曲家だが、ハチャトゥリアンは素晴らしい。

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