PGのDark Side

久しぶりに「ピーター・ガブリエルⅣ」を聴く。

ジェネシスの元フロント・マン。フィル・コリンズがイニシアティブをとるまえの初期ジェネシスの魅力はピーターの奇抜なコスチュームに身を包んだ演劇風のステージであったといわれている。ところが、彼は、バンドが成功を収めるにつれ「傲慢になっていく」自分自身に嫌気が差し、突如脱退を決意したと後年回顧している。

数年のブランクを経て発表したファースト・アルバムはまだまだジェネシスの影響下にあるものであった。

しかし、80年発表のサード・アルバムから「アフリカン・リズム」の要素(当時としては画期的)をいち早く取り入れ、その流れで制作したこのアルバムはピーターの最高傑作ともいえる代物になったのである。

ほぼオン・タイムに聴いてきた僕は、のっけから戦慄を覚えたことを記憶している。
全8曲が完璧な楽曲であり、これ以上ないほどのテクニックに支えられ、何度聴いても飽きない。
1曲目の「The Rhythm of the Heat」〜2曲目の「San Jacinto」という流れから「身体の震え」が止まらないほどの感動を呼び起こす。

5枚目の「So」で売れに売れ、ピーター・ガブリエルは一躍一般にも認知されるアーティストになってしまった。「なってしまった」というのは、「なりさがってしまった」という表現に等しい。要は、「世界規格」に堕落してしまったのだ。確かに決して悪いアルバムではない。しかし、サードやフォースのもつ「知る人ぞ知る」マイナーな天才的要素=決してポピュラーになりえない(と勝手に僕が思っている)「Dark side 的要素」が薄れてしまっているのである。

PGは3枚目と4枚目がポイントである。

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2 COMMENTS

アレグロ・コン・ブリオ~第4章 » Blog Archive » 新しい血

[…] 1976年に突如「普通のロック・スターに成り上がってゆく」自身に嫌気が差し、その絶頂期でGenesisを脱退したというその行為そのものにそもそもピーター・ガブリエルの本質がある。常に自分自身のポリシーを曲げず、地に足が着き、ぶれることなく(売れ線を狙うことなく)ガブリエル・ミュージックを追究する。サード・アルバムやフォース・アルバムはその最たるもの。5枚目の”So”によって爆発的売り上げを達成するもののガブリエルはガブリエルであって、大変な長期のスパンで大事に自らの音楽を発表してゆく姿勢を以降も崩さない。そんな流れの中2011年、実績に裏打ちされた「自信」がどの瞬間にも感じられる、最新アルバム”new blood”がリリースされる。まさにそのタイトル通り「新しい血」を張り巡らされた楽曲たちが時に火を噴き、時に鎮静し、聴く者の心を捕えて離さない。 […]

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アレグロ・コン・ブリオ~第5章 » Blog Archive » ビーチャムのベートーヴェン第7交響曲

[…] 高田馬場のムトウ楽器が4月いっぱいで閉店だそうだ。 時代の趨勢というか何というか。学生時代にはお世話になった。とはいえ、それほど頻繁に出入りしていたわけでもなく、卒業後は滅多に訪れなかったのだからそうでない人に比べるとさほどの感慨はない。音盤を購入した数は数えるほどだからかどうなのか意外にあのお店で何を買ったのかを明確に憶えているから記憶というのは大したもの。 例えば、ピーター・ガブリエルの4枚目や5枚目はムトウで購入した。ツィマーマンがバーンスタイン&ウィーン・フィルと録音したブラームスの第2協奏曲もここだった。懐かしいのは、「フルトヴェングラーその生涯の秘密」というレーザーディスク。今となってはもはや二束三文の価値だが、20数年前は確か1万5千円とかしたんじゃなかったか・・・。 […]

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