愛による救済

今日も久しぶりに、ベートーヴェンの劇音楽「エグモント」作品84を聴く。演奏は、ジョージ・セル指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

序曲は名曲であるが、全曲がコンサートなどにかけられることは滅多にない。ドイツの文豪ゲーテが、16世紀半ばにオランダ独立のために尽力した実在の人物を主人公に、1787年に書き上げた悲劇のためにベートーヴェンが創作した付帯音楽である。

作曲の依頼を受けたベートーヴェンの筆は遅々として進まなかったらしい。当時、歌劇「フィデリオ」をほぼ同時に推敲・改作していたということだが、この2作品はいずれも「女性の愛による魂の救済」がテーマになっている。
「エグモント」は悲劇、一方の「フィデリオ」はハッピーエンド。

そう、ベートーヴェンは「マザコン」だったようだ。女性の愛に飢えていた彼は、その反動から青年期から壮年期にかけ激しい恋を何度もするが結局結婚には至っていない。実は子供も2人ほど作っていたようだ。彼にとってみれば「女性の愛による魂の救済」が成就されない「エグモント」の筋書きは納得できなかったのかもしれない。

しかし、いずれにせよこの2作品は傑作とは言わないまでも名作ではある。
CDでは他に、クラウディオ・アバド指揮ベルリンハーモニー盤(どうやら廃盤のようだ)もおすすめ。
先日池袋の芸術劇場で聴いた宇宿允人指揮フロイデ・フィルハーモニーの演奏も抜群であった。

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