高関&ワセオケ

若い頃、アマチュアのオーケストラの演奏など鼻であしらい、全くの無視、ともかく外国の著名な演奏家の、テクニック抜群という演奏だけを信じて、聴いていた。もともとそれほど大した「耳」など持っていない癖に、「知ったかぶり」の延長だと思うが、世間で一般的に褒められる演奏より、一部の評論家や愛好家が推薦する音盤や演奏家を「いかにも」とわかったふりをして通を気取っていたような時期。今となっては若気の至り。少なくとも当時聴いたいくつかの演奏を、もう一度「今の耳」で聴いてみたいという欲求に駆られることがままある。例えば、1980年代の終わりだったと思うが、高崎での小澤征爾&群馬交響楽団によるプロコフィエフとチャイコフスキーの第5交響曲というプログラム(この日は立見席も用意され、聴衆のものすごい期待と熱気の中で演奏が進んでいった)は、もっと感動できたはず(しかし、当時の小澤に対するマイナスのフィルターが邪魔をしてか、よくわからないまま時間が過ぎていった)。それと、これもその時より数年前。大学の友人がオーケストラでヴィオラを弾いており、その年の(前年だったか)ヨーロッパ楽旅の記録がドイツ・グラモフォンからリリースされるからと無理やり(笑)買わされたCD。当時は1度か2度聴いただけであとはお蔵入り。かの友人には「よかったよ」とお世辞にも近い言葉だけを差し上げて・・・(笑)。

久しぶりに聴いた。いや、これが実に熱い演奏なのである。アマチュアが、それこそ一流の指揮者(当時はこの指揮者のことも一流という認識はしていなかったけど・・・苦笑)の棒の下、一生懸命に演奏する姿が眼前に現れるくらい。

コンサート・イン・ベルリン
・武満徹:オーケストラのための「星・島」
・チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
・レスピーギ:交響詩「ローマの松」
・外山雄三:オーケストラのためのラプソディ
高関健指揮早稲田大学交響楽団(1986.2Live、ベルリン・フィルハーモニー)

外山の「ラプソディ」はアンコール曲だが、邦人作曲家の作品に挟まれるようにロシアものとイタリアものが配置されるという流れ(実際のコンサートでは、ハイドンのチェロ協奏曲も披露されたようだが)。酷寒の厳しさを感じさせるチャイコフスキーと、暖かい風と陽光がたなびくレスピーギの作風の違いが明確に見え、プログラミングの妙味もさることながら、自然の持つ両面性を難なく料理している(と思える)点が、とても学生オケとは思えない表現力で、25年を経た今頃になって卒倒してしまった(笑)。いつ、どこで、どういうタイミングで音楽を、あるいは音盤を聴くかというのはとても大事なこと。若い頃、良い印象を持たなかった演奏などは年をとってから先入観なしに聴いてみるとよい。人間の幅が広がるというもの(大袈裟!)。

高関健という指揮者の「今」については疎い。しかし、さすがにカラヤンの愛弟子だけあって、オーケストラのコントロールは抜群に上手そうだ。何より「間」と「呼吸」がスマート(内燃する炎の熱を冷静な頭脳でコントロールするから決して乱れない。ちなみに、アンコールの外山の作品中の「信濃追分」のフルート・ソロは誰が吹いているのだろう?それこそ「息の長い」素晴らしい演奏)。

そういえば、つい先日佐渡裕(こちらはバーンスタインの愛弟子)がベルリン・フィルデビューを果たしたが、テレビを見た妻曰く「とても感動した」と。早くもその時の録音がリリースされているが、どんなものだろう?


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。

>アマチュアのオーケストラの演奏など鼻であしらい、全くの無視

いいじゃないですか?  どう思われようが自由なんで(笑)。
でも、ご自分での楽器経験という視点が加わると、まだ残っているかもしれない冷淡なお考えも、もっともっとガラッと変わるかも(笑)。

私もここで、ご紹介のCDを話題にしたことがありますが、当時からアマオケ界で「ワセオケ」は別格でしたね。次のような記事が客観的事実なので・・・。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/culture/081112.htm

>高関健という指揮者の「今」については疎い。

よく話題にしますが、私がR・シュトラウス「ツァラトゥストラ」の実演で最も忘れられない最高の思い出は、数年前の1月、記録的豪雪の中「札幌コンサートホールKitara」で聴いた第505回札響定期(高関健 指揮)でしたし、その他高関健という指揮者には忘れられない貴重な思い出が数多くあります。

>つい先日佐渡裕(こちらはバーンスタインの愛弟子)がベルリン・フィルデビューを果たしたが、テレビを見た妻曰く「とても感動した」と。早くもその時の録音がリリースされているが、どんなものだろう?

奥様がおっしゃるのなら、もう間違いないですよね(笑)。しかし、残念ながら私もまだチェックできていません。特に、武満徹「フロム・ミー・フロウズ・ホワット・ユー・コール・タイム」に興味があり、ショスタコ共々、どうせならブルーレイで映像を入手したいです。武満作品の、映像を伴った鑑賞は、知的興味・発見という意味でも格別だと思います。
http://www.amazon.co.jp/%E4%BD%90%E6%B8%A1%E8%A3%95-%E6%8C%87%E6%8F%AE-%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%A3-%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%81-%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC%EF%BC%95%E7%95%AA-%E6%AD%A6%E6%BA%80%E5%BE%B9-%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A0-Blu-ray/dp/B0053NV5JE/ref=pd_cp_m_3

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
そういえばいつだったか何の話題のときだったかはすっかり忘れましたが、このCD採り上げていただいていましたね。今更ながら素晴らしい記録だと思います。

>その他高関健という指揮者には忘れられない貴重な思い出が数多くあります。

いやはや、これから勉強させていただきます。

>武満作品の、映像を伴った鑑賞は、知的興味・発見という意味でも格別だと思います。

なるほど、おっしゃるとおりですね。それに、どうせならブルーレイだと僕も思います。

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