口は災いの元??

人の声って面白い。イントネーションひとつでニュアンスが変わってしまう。関西生まれの僕は関西弁といわゆる標準語を難なく操れるが、例えば「箸」と「橋」という単語の場合、発音は関西と関東でまったく逆になる。そういう特長を全く知らずにどちらかの地域に突然飛び込んだらいろんな誤解が生まれるのだろうな、とふと考えた。

自分の言葉には責任を持たなければいけないと思うが、人はついつい本音を語ったときに誰にでも受け入れてもらえるものだ、共感してもらえるものだという錯覚に陥る。本当は時と状況、場所に合わせて使い分けなければならないが、その言葉がストレートであればあるほど直面する人たちの気を損ねてしまうことも大いにある。言霊あり。自分の立ち位置と周囲の様子を伺って的確にコミュニケーションできる人間になりたいものである。

「声」、といえば、僕は昔から合唱音楽に目がない。大学入学当初、混声合唱団に入ってやろうと目論んだものの、当時から楽譜が全く読めない僕は部員のあまりのレベルの高さに尻込みし、2日ほど通っただけで逃げてしまった(汗)。あの時ああしておけば良かった、などと後悔は表明したくないが、でもやっぱり少しくらいの劣等感は横に置いておいて挑戦すれば良かったとつくづく思う。
代わりに、合唱音楽はよく聴いた。いわゆるリートなどの独唱モノや重唱モノ、あるいはオペラ・アリアなどは当時苦手としていた。でも、ハーモニーで聴かせる、特に無伴奏の合唱音楽はよく聴いた。

人に話を聞いてもらいたいと人は願う。ただただ聞いてもらいたい、そこに何らかの回答を求めているわけではない。特に女性はそう思っている人が多いよう。だから僕はいつも妻の話の聞き役である(笑)。帰るなり僕の様子など眼中になく彼女は機関銃のようにその日起こったことを報告する。そして僕は半ばうわの空で相槌を打ちながら話を聞く(笑)。心理学の先生曰く、「ほんの15分だけ手を止めて身体を相手に向け、黙って聴いてあげるだけでいい」のだと。それで関係が万全なら円滑な人間関係構築のためのとっておきのメソッドである。
まぁ、昔から「聞き上手」だったから苦にはならない。さて、今日はこれからどんな話を聞かされるのだろう?楽しみである・・・(笑)。

僕が大学に入学した年、1983年はヨハネス・ブラームスの生誕150年の記念年だった。「レコ芸」などの音楽雑誌では随分様々な特集がうたれたと記憶するが、その中に「ブラームス・エディション」と題する大判のボックスセットがグラモフォンから発売されるという記事があった。直感的に欲しいと思ったが、その頃はそんな大仰なものを購入する金銭的余裕などなかったものだから、誌面を見ながらあれやこれやと空想しながら日々を過ごした。それから何年かし、レコード媒体が完全にCDに移行した頃、確かちょうどブラームスの没後100年を記念して先のエディションがCDのボックスセットで発売されたとき、ようやくその一部を手にし、大事に1枚ずつじっくりと聴いた。青年期の作品から晩年のもの、しかも作品番号のついていないものまでもが網羅されている4枚組の堂々たる合唱作品集。

ブラームス・コンプリート・エディション第7巻
合唱作品集
ギュンター・イェナ指揮北ドイツ放送合唱団
エディット・マティス(ソプラノ)
アン・マレイ(アルト)
ゲルノート・カール(ピアノ)
マルティン・アルブレヒト・ローデ(ヴィオラ)
ゲルハルト・ディッケル(オルガン)ほか

ブラームス25歳の時の合唱における最初の傑作が「アヴェ・マリア」作品12。女声合唱と管弦楽のための作品だが、ここではディッケルのオルガン伴奏により歌われる。作品27の「詩篇第13番」も素敵(こちらは翌年の作曲)。
声楽作品はブラームスにとって重要なジャンルだったようで生涯にわたって書き続けている(それに彼は信仰心が篤かったようで宗教に題材を得たものも多い)。崇高な作品に耳を傾けていると、どんな楽器より「声」の祈りこそが人の心にもっとも届きやすいもののように思えてくる。たった今、「教会歌」作品30が流れているのだが、胸を締め付けられるほどの切なさ(よくよく調べると1856年の作曲!ということはロベルト・シューマンの死と関係があるのかも・・・)。


3 COMMENTS

雅之

おはようございます。

>たった今、「教会歌」作品30が流れているのだが、胸を締め付けられるほどの切なさ(よくよく調べると1856年の作曲!ということはロベルト・シューマンの死と関係があるのかも・・・)。

なるほど!!おっしゃるとおりかもしれませんね。

ところで、1856年はハイネが亡くなった年でもあるんですよね。
そこで私は、ブラームスの4つの歌曲 Op.96より 「 死、それは涼しい夜 」 を連想しました(F=ディースカウ盤のみで愛聴、彼のブラームス歌唱も素晴らしいですね)。
※ 藤井宏行さんによる優れた和訳
http://homepage2.nifty.com/182494/LiederhausUmegaoka/songs/B/Brahms/S2238.htm

なお、竹内まりやの名曲「真夜中のナイチンゲール」は、ブラームス「 死、それは涼しい夜 」への返歌であると、勝手に解釈しています(笑)。
http://www.uta-net.com/song/12820/

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岡本 浩和

>雅之様
そうそう、1856年はハイネが亡くなった年でもあります。
ブラームスのものに限らずハイネの詩にインスパイアされた音楽は名作が多いですね。
しかし、「真夜中のナイチンゲール」が「 死、それは涼しい夜」の返歌とは!!(笑)
お見事です。
そんな気がしてきました。まりやは本当に良い曲を書きますね。

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