おそらく聴衆が固唾を飲んで見守る中(バンドが演奏を始めた瞬間歓声はもちろん洩れるけれど)、まずは英国国歌”God Save The Queen”が荘厳に演奏される。キーボード(ムーグ)主体にようやく後半ギターとドラムが絡む。そのまま音楽(“The Last Judgement”)はボレロのリズムを伴奏にグレゴリオ聖歌「怒りの日」の旋律が奏でられ、次第にクレッシェンド・・・、まるでオーケストラではないかと思われるほど(おそらく6,7名ほどの編成でこのライヴは敢行されているはずだが、抜群のテクニックとアンサンブルと・・・、何よりその作曲能力の素晴らしさよ)。音楽が緩やかにデクレッシェンドし、3曲目の”In the Region of the Summer Stars”へなだれ込む。
英国の誇る伝説の(?)バンドThe Enidを聴いていると、音楽のジャンルを云々することがほとほと馬鹿らしくなる。残念ながら彼らのライヴに接した経験はないものの、残された実況録音盤を繰り返し聴くたびに、超絶名プレーヤーたちによるバンドの枠を超えた現代音楽ともクラシック音楽とも、あるいはロック・ミュージックとも見分けのつかない壮大で交響的なサウンドに金縛りに遭う。音の洪水に究極の静寂が流れ、何とも言えぬ祈りと浄化と、それでいて人心を捉えて離さないエモーショナルなゆらぎが駆け巡る。
そう、これらの音楽は選ばれた楽器が偶然電気楽器だったに過ぎないというだけ。
会場に集まる聴衆はクラシックだろうとロックだろうと、あるいはジャズだろうと関係なし。彼らはエニドの音楽を聴きたいがために会場に赴き、そして我々はエニドを聴きたくて音響装置の前に静かに居座るのである。よりによってクリスマス・イヴの日に・・・(笑)。
音楽は、ある時は押し寄せる大波の如くすべてを掻き消し、またある時は静寂と戯れるさざ波のように引いては寄せ・・・、脈々延々と続く。
The Enid:Live at Hammersmith Vol.1(1979.3.2Live)
Personnel
Robert John Godfrey(keyboards)
William Gilmour(keyboards)
Francis Lickerish(guitars)
Stephen Stewart(guitars, keyboards, percussion)
David Storey(drums, percussion)
Terry Pack(bass)
Tony Freer(oboe, keyboards)
何とすべての演奏がスタジオでのオーバーダビングなしでのライヴ音源そのままなのだと!(ありえない・・・)
人の可能性の無限をこんなところからも感じてしまう。
The Enidは30数年前のこの時も、そして2011年の今も見事な音楽を聴く者に届けてくれる。これほどの幸せが他にあろうか。
イヴのパーティーに参加した。あらためて「一つになる」感覚をいただいた。
類稀な求心力。人が互いに影響を与え合う、そして支え合う、仲間に感謝、である。
明日は早朝稽古・・・。これから瞑想して風呂に入って・・・。寝れるかな(笑)。
※Live at Hammersmith Vol.2はまた別日に。
おはようございます。
ご紹介の盤も未聴なので、来年は聴いてみたいです。いつも勉強になり感謝です。
私がクリスマスに愛聴しているのは、もう25年以上前からこれです。
Cantate Domino
http://www.amazon.co.jp/Cantate-Domino-Oscars-Motet-Choir/dp/B0000E64YT/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1324770543&sr=8-1
LP→CD→SACDと買い換えていますが、この音盤の知名度とファンは、私の経験上、想像以上に多いです。皆さん一様に絶賛しておられます。こちらの合唱の美しさも素晴らしく、幸せな気分になれますよ。
>雅之様
おはようございます。
長岡先生ご推薦盤ですね!!
残念ながら未聴ですので、この機会に聴いてみます。
ありがとうございます。
来年のクリスマスはこれですかね?(笑)